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3分切れ負け攻略法~読むだけで勝率1%アップのウォーズテクニック~

今回は3分切れ負けにおいて勝率を上げるための考え方についてお話したいと思います。

3分切れ負けにおいて有利なとき、不利なとき、それぞれの指し方はとても大切です。

3分切れ負けは時間切れになってしまうから嫌という方がこれを読めば3分切れ負けのスリルが好きになれば幸いです。

まず、形勢によっての指し方の前に、いかなる時でも大切な概念があります。

それはタイムマネジメントです。

3分切れ負けを得意にしている人たちは、無意識にどの程度残り時間があれば時間切れせずに詰ますことが出来るか、という目安を持っています。

その許容時間の範囲で最善手を探し、時には迷いながらも妥協して指すという繰り返しを行っています。

これまでこういった意識をしてこなかった方は、序盤30秒、中盤1分、終盤1分30秒で乗り切るように目指してみると良いかもしれません。

これを超えるような時間になってしまった場合にはたとえ形勢は有利になる手が指せたとしても、最後は時間切れになってしまうかもしれません。

それであれば、勝負の観点ではタイムリミットを決めて決断していくのがとても大事です。

また、将棋は対局後に振り返ることが出来るゲームです。あとで迷った局面はじっくり後で考えることで、次の対局に備えることも出来ます。

こういった目安があると今使うべき残り時間リスクを低減することが出来て、終局から逆算して今の1手に使うことが出来るタイムリミットがイメージ出来ます。

もちろん少し悩むような局面であれば、この時間内で読みを深めることが大事です。時間切れしない範囲で好手が指せれば形勢に差をつけることが出来ます。

優勢な終盤は決断が命

「局面がいいのに時間切れで負けてしまう」

これは切れ負け将棋では避けては通れないもので、本当に悔しい負け方です。

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こうならないために、筆者が最近指した将棋から決断の大事さをお伝えしましょう。

図は後手が△7九銀と詰めろをかけてきた局面。形勢不利ながら鋭い一手で、▲同銀だと、△7七馬▲同金△9八金の詰みを狙っています。

いま冷静な目で見ると、△7七馬に▲8八銀打の合駒で詰まないのですが、この原稿を書いていてようやく気付くほどの盲点でした。

実戦での先手の思考回路を再現してみましょう。

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1.うわっこんな手があったか

2.でもまだ形勢は良いはず、▲7八歩が普通かな

3.でも穴熊から這いずりだされるの嫌だなあ

4.受ける前に▲7一銀決めたほうがいいかな

5.でもよくわからないなあ

6.やっぱり受けるか、歩じゃ怖いから銀かなあ

7.でも銀使うの勿体ないなあ

8.あれあれ、時間がなくなってるどうしようどうしよう

9.しょうがない銀打とう

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と紆余曲折の末に指し手を決断しました。

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この指し手において一番罪が重かったのは勝ちを守りたいという思いでこの手に29秒もの時間を使ってしまったことです。

すると後手はさっきまで時間でも形勢でも不利でしたが、時間では逆転をしたことで、時間を切らして勝つという勝ち筋が発生しました。

その結果

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無念の時間切れ負けです。

>>2.でもまだ形勢は良いはず、▲7八歩が普通かな

この決断が出来れば10秒程度の消費時間で対局が続き、恐らく有利なまた違った展開になっていたでしょう。

有利なときこそシンプルに、悩んだら最初に浮かんだ(ひと目、第一感といいます)手を指すのは3分切れ負けでの勝率アップにはとても大事な要素です。

3分切れ負けは形勢・持ち時間の2軸で戦う将棋のe-sportsのような競技です。

対策:時間も形勢の一部。有利なときこそ悩みすぎずに踏み込んで指す。

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不利なときの逆転法

逆に形勢が不利な時の考え方についてお話します。

少し苦しい局面な時、人はなんとかして一発逆転したいと思いがちです。それで上手くいくことももちろんありますが、長い目で見るとそれは相手を楽にしていることのほうが多いのではないか、と筆者は思います。

先程の有利だった時を思い出してみましょう。

有利な局面を迎えている側は、「この将棋は逃せない」、「こんな有利な将棋負けられない」と考えていることが多々あります。そんな時一番嫌な手は、一発逆転の手段ではなく、しっかりと粘っていく手なのです。

もちろん局面によるケースバイケースではあるのですが、自分がこの局面をどう見ているかと自分の立場だけから見るのではなく、相手の立場で局面を俯瞰してみると、意外に冷静な粘る手段が見えてくることもあります。

元々苦しい将棋です。一度この境地での粘りを試してみてください。

対策:勝ち切るために苦しいのは相手も同じ。暴発しないで楽をさせない。


3分切れ負けのススメ

最後にこれから初段を目指す、あまり3分切れ負けを指したことの無い方へのススメです。

3分切れ負けの良さはなんといっても6分あれば将棋が1局指せることに尽きます。

将棋には無限の可能性があり、いろんな戦法が日々指されて世界中で楽しまれています。

1つの戦法のエキスパートと呼ばれる人たちも、将棋のメジャー戦法は居飛車振飛車問わず指すことは出来ます。

もし今の得意戦法とは別に指せる戦法を増やしたいときには、3分切れ負けを多用していくのはおすすめです。

最初はなかなか勝てないと思います。

でも、その負けた棋譜からどこが悪かったのかを振り返ることで一つ一つその戦法の大事なポイントが見えてくるはずです。

何をして良いのか完全にわからないときにはまずは長い持ち時間や本などを読んでみてもいいでしょう。そしてその得た知識を3分切れ負けで試してみる。

この繰り返しで序盤を乗り切ることが出来るようになっている時、あなたの戦法レパートリーが広がっているはずです。

将棋ウォーズ運営チーム ブライト





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