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自分で説明できる人

90年代後半のことでしょうか。

「自分の作った音楽をちゃんと自分自身で説明できる人が音楽業界で生き残ることができるんだ」と、あるベテランミュージシャンの方に言われたことがあります。

あの頃は自分の音楽を自分で説明すると「それじゃわかんねーよ(笑)」って必ず言われました。どこかで「わかる人にだけわかればいい」とあきらめていた部分があったからでしょうか。

うまく説明できないもどかしさから、自分は自分の音楽で表に出る人間ではないなと。その後はしばらく友達の音楽を手伝ってたりしていましたが、自分の音楽はずっと封印していました。

ところが、いざ自分のグループのアルバムを発売したら、むしろ自分よりも全然わかりやすく的確な説明をしているリスナーの方々がいたのです。これは嬉しい驚きでした。

ただアルバムを出すたびに「前の方がよかった」と言う人も必ずいるんですよね。でも、そんなのいちいちヘコんでいたら、本当に何も作れなくなってしまいます。自分が自分に負けるなんて。

そういう意味でライバルは常に過去の自分なのです。

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