テレビ番組のパブリック・ビューイングを開催するときは放送会社の承諾が必要です

 サッカーのワールドカップとかオリンピックとかで実施されるパブリック・ビューイング(大画面や大型プロジェクターで実施されるものを想定しています)。盛り上がますよね。

 ただ,誤解されがちなのですが,このようなパブリック・ビューイングは,非営利目的であっても,著作権法上はテレビ放送事業者の承諾を得ておく必要があります。


■参考サイト

 この問題に関する詳細については,國安耕太先生の『スポーツ中継映像にまつわる著作権法の規律と放送権』が大変よくまとまっていますので,こちらをご参照ください。


■簡単な説明

 まず,テレビで放送されている番組は,「映画の著作物」(著作権法10条1項7号)に当たることがあります(当たらないことも理論上はあり得ます)。

 番組が「映画の著作物」に当たる場合,テレビ放送事業者は,その番組について「伝達権」(著作権法29条)という権利を有します。伝達権とは,非常に荒く&簡単に言えば,テレビで不特定多数の人に番組を見させる権利です。

 そして,確かに,この伝達権については,「営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合」には問題にしません,と著作権法で決められています著作権法38条3項)。


 しかし――ここがややこしい部分なのですが――テレビ放送事業者は「テレビジョン放送の伝達権」という別の権利を有しています(著作権法100条)。これは著作隣接権と呼ばれる権利の一種です。

 そして,このテレビジョン放送の伝達権については,上記の著作権法38条3項が適用(準用)されないのです(著作権法102条1項は,38条3項を意図的に準用対象から外しています)。

 したがって,テレビジョン放送の伝達権との関係では,非営利目的であったとしても,テレビ放送事業者の承諾がなければ,パブリック・ビューイングを実施してはならない,ということになります。


 まとめますと

「伝達権」
 → 非営利目的で料金を取らなければ問題ないですよー。

「テレビジョン放送の伝達権」
 → パブリック・ビューイングするならうちの許可を取って貰おうか!

 ということです。

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