街で突然からまれたとき,周りの人に助けてもらうには


■問題

もし,あなたが,街で,以下のような状況に巻き込まれたら――突然,ケンカや犯罪に巻き込まれたら――どうすべきでしょうか?


「レイプ被害者」の叫び無視する通行人、インドの実験動画が波紋 (AFP=時事) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140616-00000033-jij_afp-int 

「動画には、夜間に人通りの少ない地域にとめられた、車内が見えない白いワゴン車が写されている。車内からは女性の叫び声がはっきりと聞こえてくるものの、多くの男性が徒歩や自転車でその横を通り過ぎていく。何人かは立ち止まって耳をすましたが、そのまま静かに立ち去ってしまった。」

「動画を投稿した団体『イエスノーメイビー(YesNoMaybe)』は、動画に添えたメッセージの中で、『多くの人が(レイプ事件に抗議するために)ろうそくを灯して行進に参加するが、本当に重要な時に行動できる人は一握りしかいない。だからもし誰かがひどい目に遭っている時に、何人くらいの人が実際に助けようとするか調べることにした』と述べている。」



■結論

第1に,「助けて」とハッキリ述べること。

第2に,あなたの周りにいる人から誰かを選んで,その人を「指名」して助けを求めること。



■説明

ある研究によれば,冒頭のニュースのような現象は,「社会学的証明の原理」に基づいて発生していると指摘されています。

社会学的証明の原理とは,「私たちは他人が何を正しいと考えているかにもとづいて物事が正しいかどうかを判断する」という原理です(ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器[第二版]』〔誠信書房,2007年〕189頁。太字部分は原典では傍点)。


孫引きになってしまいますので,詳細は本書をお読みいただきたいのですが,インドのような現象が発生する理由は2つあるそうです。

第1に,「助けられそうな人が他に何人かいれば,一人ひとりの個人的な責任は少なくなります」(同書215頁。太字部分は原典では傍点)。


第2に,このような突発的な事態の場合,何が起きているのか分からないという不確実性があります。

「このような不確実さがあるときには,周囲を見回して,他の人びとの行動のなかに手掛かりを求めることが自然なやり方といえるでしょう。」(同書215頁)。

「私たちは,落ち着いていて取り乱さない人間だと人から見られたいと思っていますから,その証拠を探す場合でも,平然とした風で何気なくチラッと周りの人たちを見がちです。そこで,誰もが,少しも慌てず行動しないでいる他者を見ることになります。その結果,社会的証明の原理により,その出来事は緊急事態ではないと容赦なく解釈されてしまうのです。」(同書216頁)。


今回のニュースとの関係では,この第2の理由の部分が重要です。

つまり,上掲書に紹介されている研究結果によれば,周りの人達が助けてくれないという理由の1つは,周りの人達が「これは,本当に助けなければいけない緊急事態かどうか分からない」という状態になっているからです。


ですから,そのような不確実性を消し去るようなメッセージを示す必要があります。例えば,「そこのグレーのスーツのお兄さん,助けて」というようにです。



■最後に

もちろん,周りの人達があなたを助けてくれない理由は,これだけではないと思います。

上記の理論で全てが説明できる訳ではないと思います。

ですが,上記の理論は,多少なりともあなたに降りかかる危険を減らしてくれるかもしれません。


■参考

影響力の武器 [第二版] - 株式会社 誠信書房http://www.seishinshobo.co.jp/book/b87835.html 






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?