見出し画像

大好きなバンドのラストライブに行った日のこと


2023年2月26日
WEAVER LAST LIVE
「PIANO TRIO〜2004→2023〜」

大好きなバンドの勇姿を見届けてきた。彼らの存在や生き方をそのまま映し出したかような、優しくて愛おしい、愛に溢れるライブだった。

あれから1ヶ月。忘れたくない、残さなきゃという一心でライブ終了後ホテルに帰った夜から感想を書き始めたけど、いろんな気持ちが胸をぐるぐる巡ってまとまらず、その日は結局全然書きおわらないまま朝を迎えて、日々に追われるまま気がついたらもう1ヶ月経ってしまった。

あんなに忘れたくないと願っていたのに、確かにそこに居て見た映像や聴いた音は、断片的なシーンとしてははっきり残っているものの、悲しいことにそっくりそのまま全部はやっぱり覚えていられなくて、過ごした時間が過去になった瞬間から時を追うごとに記憶から薄れてしまってきている。それでも、そのとき感じたことは、今でもしっかりと思い出として胸に残っている。

たとえば、トキドキセカイで立ち上がり叫び出すようにして音を鳴らす河邉さんの姿に胸打たれて、2曲目にもかかわらずもう号泣したこととか。何度も見てきた光景なんだけど、いつも以上に衝動を抑えきれないような、想いが溢れ出るような姿に、こちらも感情が抑えきれなかった。河邉さんだけじゃなく3人とも、序盤からかなり飛ばしてるなと思った。ずっと迫真の演奏で、本当にかっこよかった。

Boys&Girlsでおっくんが前に出てきてくれて、いつもどおりみんなで一緒に手を挙げて跳んだ光景も、カラーで鮮明に思い出せる。何度だってあの場にいたい大好きな空間。初めて行ったワンマンライブで聴いてからずっと思い入れのある曲だから聴けて嬉しかった。今まででいちばん高く飛んでやるぞという気持ちでジャンプした。

杉くんが話してくれた地元神戸やそこで暮らす大切な方々への思いと、そんな思いを乗せて歌われた海のある街にじーんとしたことも。

スペシャルメドレーで、曲が切り替わるたびに驚きと喜びと切なさで感情が振り回され続けたことも。アーティスト、透明少女、光と呼ぶもの、ふいうちのTime will find a way、最高に熱かったキューブライト。好きな曲ばかりだった。昔のWEAVERからたった今の最新のWEAVERまで余すことなく見せてくれた。

あとは、今度は転けなかったピアノからの大ジャンプ。かっこいいシーンのはずなのに、本人含めみんなが着地のときに身構えたよね。そういうふんわりとした空気感もすき。

僕らの音楽人生を変えた曲といって演奏された、僕らの永遠〜何度生まれ変わっても手を繋ぎたいだけの愛だから〜。“永遠がいいな わがままも言うよ どうせ無理だと知ってる” ラストライブで聴くことで、ずっと聴いていた歌にまた新しい意味が加わる。そんな想いを受け止めてくれるかのような、優しい3人の音。

今回はコロナ禍以降、正式に声出し解禁になった初めてのライブでもあった。解散の発表があったときにはきっともう一緒に歌うことは叶わないと思っていたFreewillを杉くんの指揮に合わせてもう一度みんなで歌えたのがとても幸せだった。やっぱりライブって最高だなと思った。

ずっとずっと大好きすぎるShall we danceも聴けた。ライブって楽しい!を体現するような曲。聴き納めだと思ったら涙が出たけど、最後であろうと、やっぱり楽しいものは変わらず楽しかった。

アンコールのメドレー2曲目、ギターを弾いて歌う杉くんの後ろにおっくんとべえちゃんが並んでひとつの椅子で連弾していたTonightでは、ぎゅっと小さく集まって座った3人の背中が愛おしすぎて、ライブが始まって史上いちばん泣いた。

そしてアンコールラストのShine。“笑顔も涙も手にした僕らは それぞれ世界でひとつの光だ”  客席からサプライズで放たれた光と歌を受け取って声を詰まらせた杉くん、べえちゃん、おっくん、それぞれの表情が全てを物語っているような気がした。

ダブルアンコールも嬉しかった。最後はデビュー曲、白朝夢。今まで聴いたなかでいちばん美しい音楽だと思った。

ほかにもたくさん。これまでのWEAVERとの思い出をひとつずつ取り出してみんなで愛でながら、たくさんの新しい思い出をもらったライブだった。全部忘れたくない。腕いっぱいにもらった思い出を、私はきっと、ずっと忘れない。

今回のライブでは、終始、メンバー3人の人生の一部を共有してもらっている実感が強くあった。今、3人のひとの人生におけるすごく大事な時間に立ち合ってるんだなと、なんとなくだけどずっと思いながらその場に居た。

もともと彼らは、学生時代、放課後ゲーセンに遊びに行ったり、マックで雑談したり、一緒に音をだして楽しいねって言ったりしていたところから始まった3人組だ。そんな出発点から3人の乗った汽車は走り出して、途中で出会った仲間たちのことを同じ車両に乗せながら、ずっとずっと同じレールの上を途切れることなく走ってきたのがWEAVERだったんだなと改めて思った。MCでもそれぞれがそれぞれの言葉で話してくれていたが、 WEAVERは、彼らの青春そのものだったんだなあと。

特に印象的だったのが、ライブが終わったいちばん最後、3人が手を繋いで横並びになったとき、おっくんが反対側の空いた手を私たちのほうに向かって差し出して、何度もぎゅっと握ってくれたこと。彼らの大切な青春、WEAVERという汽車には、わたしもちゃんと一緒に乗せてもらっていたんだなと実感した瞬間だった。

ただでさえ同じ時代に産まれ落ちたこと自体が奇跡みたいなものなのに、人生を歩むなかで偶然出会って、好きになって、相手からもこんなに大切に思ってもらえるなんて、本当に奇跡なんだと思った。WEAVERは、バンドとファンとの関係性も人と人との関係で、かけがえのない出会いなんだと本気で思わせてくれた。出逢えてよかったと心から思った。

同時に、未だ咀嚼しきれていなかった解散という彼らの選択も、どこか腑に落ちるような感じもした。彼らは、ちゃんと青春は青春のまま、キラキラとした思い出のまま、綺麗に包んで私たちに渡すことでその旅路を完結させる選択をしたんだなと思った。

勿論、メンバーだってそれぞれが違う人間なのだから、それぞれに違う思いもあったことだろう。もしかしたらその結論に至るまでにわたしには想像もできないような苦しい時間もたくさんあったのかもしれない。現に、結果的にバンドを終わらせてしまったことに対して、みんなが大切にしてくれたバンドを守れなかった、悔しい、と言ってくれているメンバーもいる。

でもわたしはその日のライブを見て、彼らは彼らの青春を、わたしたちのだいすきなWEAVERを、“最後まできちんと描ききる”という方法で守ってくれたんだなと感じた。自分がその日ライブで受け取ったもの、感じたことが、彼らがWEAVERとして見せたかった真実で、全てなのだと思う。そう思いたい。

それぞれに色々な想いがあるなか、ファンたちの気持ちを真正面に受け止めながら『WEAVERとしての終着点をしっかりと見せる』というゴールに向かって1年間走り続け、最後には泣いたり笑ったりしながら最高のエンディングを描ききった3人の姿は、とてもとてもかっこよかった。そんな彼らの姿に、わたしも人生頑張らなきゃと勇気をもらった。

WEAVERの3人にはあらためて、心からのありがとうと、おつかれさまを送りたい。最後の1年間、向き合う時間をいっぱいくれてありがとう。そして、これまで大切な汽車に一緒に乗せてくれて、大切な青春に共に居させてくれて、本当にありがとうございました。WEAVERというバンドに出逢えた人生を歩めて、私は幸せです。

これからも私は、3人が丁寧に包んでくれたキラキラした思い出を何度もそっと広げては、これまでと変わらず、WEAVERというバンドとその音楽を愛していくだろう。

そして、また新たにスタートした3人それぞれのこれからの旅路も、どうかたくさんのひとに出逢い愛し愛される、幸せいっぱいなものになることを心から願っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?