ホワイトボード

浮かんでは消える有象無象。意識的にも無意識にも、私は頭の中に小さな雲を常に何個か浮かべていた。風の強い日の空を眺めるように、ぼーっと見ている日もあれば、その流れが楽しいことへと運んでくれることもあった。雲が集まりすぎて大きくなり、雷鳴を轟かすこともあった。雨をひとしきり降らした雲は一旦消える。そしてまた浮かびだす。

始まりは、ハンガーラックだった。10畳一間、東北に引っ越して広くなった部屋は私にとって十分快適なものだったが、ある日衣装ケースを捨ててすべての服を吊るして保管しようと思い立った。ケースの中にはまるまったライブTシャツ、古い靴下、クリーニング待ちのセーター。クリアケースだから隠れてもいない。「見せる収納」に憧れて、友人や恋人が来るたびに最近の忙しさを大げさに話す自分ともさよならしたかった。

「一週間に何回くるの?」そう言われている気がするほど、ニトリと3coinsに通った。特に3coinsは職場のすぐ近くだったので、毎日のように覗いていた。簡単なケースを一日に三個ほど買い足す日々。変なあだ名がついていないか心配だが、もう自分にはかかせないお店だ。そんなこんなでハンガーラックも買い、衣装ケース並びに雑多に詰め込まれたカラーボックスの中身を全部引っ張り出し、仕分けして再びしまっていく。蓋つきのカラーボックスでも、その中身が整理されているだけで、すっきりとした印象を受ける。気のせいかもしれないが、中身の雰囲気が外に漏れだすような感じだ。色々と大胆に掃除をしたので、また別コーナーについては話す機会がつくりたい。

そして今回、部屋に新たに迎え入れたのが「ホワイトボード」だ。メンタリストのDaigoやその弟の松丸くんが部屋一面をホワイトボードにしようかと思った、みたいな話や熱心な教育ママが壁に黒板をつけたと聞いて、何か効果があるのかと試しにつけてみた。

具体的には玄関に一つ、部屋に二つ、パソコンの画面くらいのものを取り付けた。玄関のほうは自分を励ます言葉(Have a nice day!的なもの。見られたら恥ずかしいやつ。)を書いたり、料金の払い込みや必要な買い物などtodoリストとして使っている。部屋の二つにはそれぞれ「やりたいこと」と「やりたかったこと」と一番上に書いてある。これは精力的な友人が最近始めたyoutubeで、やりたいと思ったことはやってみないとそれが本当にやりたかったかもわからない、だから一度やってみるんだと言っていたことに影響された。やりたいことを書いて、書いたことを実行し、書き写して評価してる。長いことやりたいことにとどまっているものもあって、勝手に消えて行ったりする。やらないということはその時点でそこまでやりたくないのかもしれないから、それでいいと思っている。

ホワイトボード導入の結果、なんとなく頭もすっきりした。ガス代を払うにしても、書きだして消すという行為は達成感がある。急な誘いがあるときも自分との約束を思い出しやすい。特にタスクを書き出すホワイトボードはおすすめだ。私は職場にも導入した。

限られた時間の中で、いかにめんどくさいことをやるか。やりたいことができるか。それをやったことでいかに自分のテンションをあげられるか。ホワイトボードにはそれを助ける力があると思う。頭の中の有象無象を書き出してみよう。

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