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玉村屋の臨時休業をなぜ5月末までに延長したのか(4月20日付)

 こんにちは!午後のひととき、いかがお過ごしですか?福井県で地域まるっと体感宿 玉村屋をやっていますナカタニ ショーです。

今年2月頃から本格的に猛威を振るい始めた新型コロナウイルス感染症、その影響を受け、玉村屋はいち早く3月中の休業を決めました。今から約2ヶ月ほど前の話です。ディズニーランドが休園を発表する前日に玉村屋は休業を発表しました。全国のゲストハウスの中でも早い方だったのではないかと思っています。

1.最初の休業発表の時点で考えてたとこ

 振り返るとそのときは「1ヶ月もあれば、落ち着くだろう」と考えていました。今から考えると甘い考えです。この時点では
① 1ヶ月の間に感染がコントロールできるようになり、見通しが立つ
② 意外と強いウイルスじゃなかった(風邪程度だった)という根拠が出る
のどちらかだと考えていました。

 どちらかというと②の意外と強いウイルスじゃなかったという結果を想像していました。4月にはその結果が出ていて、むしろみんなの「心の健康のため」に宿を再開して、人を動かしたほうがいいとまで思っていました。今となっては甘い見通しでした。4月の再開を楽しみにしてくださった方、大変申し訳ございません。

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2.そして現在の状況と宿屋という現実

 これを書いている4月20日現在も収束する道筋が見えない中、全国では緊急事態宣言が出され、全国的に外出自粛を迎えた週末が明けた今日、再び臨時休業の延長を行いました。今では全国のゲストハウスでも臨時休業をしているところが増えていってます。ただ、どこの宿もゲストが来ずにどうやって持続するかを真剣に悩んでます。

 私たち宿屋が心配しているのは当面のお金のこともありますが、それ以上に「移動する」「観光」が全て自粛というムードの中、人々はゲストハウスへの関心をなくさないかどうか。この新型コロナウイルスが落ち着いた時にゲストハウスという宿形態を必要としてくれてるのかどうか。

 そこで、ゲストハウス仲間が「みらいの宿泊券」という企画を作りました。これは、参画しているゲストハウス、どこでも使える宿泊券を通常の宿泊料金よりも少しお得に購入できるというもの。私の宿「地域まるっと体感宿 玉村屋」も参画しています。

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 そして、なぜ玉村屋が参画してるかと言うと、「選べる宿が多い方が支援してくれる人が多くなるはず!」と考えたからです。玉村屋がどれほど魅力に映るかわかりませんが、少しでも同じようにゲストを地域で迎えている宿の力になれればと考え、参画することにしました!

みらいのオミヤゲ

3.地域と生きる宿「地域まるっと体感宿 玉村屋」の意義と責任

「地域まるっと体感宿 玉村屋」は、約1,300人が暮らす南越前町今庄宿に位置しています。リゾートホテルのように宿の中で滞在を完結するのではなく、宿の周りを歩いてもらい、地元商店をまわり、地域の空気を味わってもらうことを大切にしています。つまりは、「地域の日常にお邪魔する」ということ。地域住民との関係性を大切に宿の運営をしています。旅人優先、地元住民優先ではなく、お互いにバランス良く関わることが大切だと考えています。
 福井県でも患者さんが増え続け、日本全体でも感染が広がっている中、地域外から人が入ってこれば、ウイルスが地域に入ってくる可能性も増える。町内で感染源が出来てしまう可能性があるのは、観光施設、駅、そして宿。全国で小さな宿の休業が増えている今、営業しているところに人が集まるかも知れません。
 玉村屋はありがたいことに、全国各地からゲストが集まる場所となりつつあります。ゲストのことを疑っているわけではありません。しかし、ウイルスは、その人がどんな人か、健康的な生活を送っている、めっちゃいい人かどうかには一切関係なく、身体についてきてしまうことがあるんです。そして厄介なのは目に見えないと言うこと。
 もし、玉村屋がウイルスを広げることになってしまったら、地域住民の「宿」に対する考え方が、「外から人が来て、楽しい。ありがたい!」から、「外から人が来るの怖い」に変わってしまい、ゲストに対しての温かな受け入れができなくなる可能性もあります。
 地域と生きる宿としては、地域住民の暮らしを守り、そして旅人も安心して地域に溶け込める関係性を作り続ける責任があります。

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4.なぜ5月末まで休業を延長したのか

 全国的には連休明けの5月6日までが自粛要請期間とされています。玉村屋も4月頭時点ではそこまでの自粛を決めていました。そこから先、国や地方自治体が自粛要請期間延長前に5月末まで延長したかをお伝えしたいと思います。

 全国的に緊急事態宣言が出された週末の4月18日、19日。全国の友達のFacebookの投稿を見ていると、「本当に自粛してたの?」と言うほど、出かけている人の姿がありました。もちろん、多くの人は家にいたと思います。そして、出たとしても必要最小限だけだったと思います。しかし、そうでない人がいるのも事実。先の見えない自粛期間。今は5月6日までと言っているけど、このまま延びる可能性も大いにあります。そうなったとき、ゴールデンウィークは、例年よりは大幅に減るでしょうが、出かける人もいると予想しています。そうなれば、GWにウイルスに触れ、潜伏期間を経て発症するとするなら、5月中旬が爆発的に増える可能性も高くなります。そうなると2次感染、3次感染と広がり、収拾がつかなくなる事態になる可能性もあります。

 特に宿泊施設は、予約を直前に入れる方もいますが、前々からいれる方が多くいらっしゃいます。そう思った時に早め早めに判断しないと多くの方にご迷惑をおかけする結果になる。そういったことも踏まえ、現時点で5月末までの臨時休業を決定しました。

5.この先「玉村屋」はどうするのか

 臨時休業期間については、見通しが経たないというのが正直なところです。6月には紫外線が多くなりウイルスに強くなるという仮説もありますし、ハーバード大学は2年後の2022年まで、落ち着かないという予測を発表したりしています。なので、誰もわかりません。ただ、私たちは「ゲスト」「地域住民」の摩擦が起こるような不安な状態で再開することはできないと考えています。なので、もしかすると他の観光施設より営業再開が遅いかもしれません。ただそれは、私たちの利益よりも大切な「ゲスト」と「地域住民」を守るための結果だと思います。

 何れにせよ、インバウンド需要で伸びていたゲストハウス業界は、今回の新型コロナウイルスの影響で淘汰され、生き残るところと潰れるところにはっきりと分かれてくるのが事実です。小さなゲストハウスの良いところは、意思決定が早く小回りが聞くということ。だからこそ、これからの時代に必要とされるゲストハウスをつくっていきたいと考えています。

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