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日本全国のグランピング人気について感じる、「創られたもの」に対する違和感について

 福井県にある、あなたの第二の実家「玉村屋」アカンパニストのナカタニショーです。

 ここ数年話題になっている「グランピング」
「なんかおしゃれな感じ!」とか「なにも準備しなくて楽!」ということもあり、人気を博しているようですが、自分自身の中では「なんとなくの違和感」があったんです。今回は、その違和感の正体を突き止めたのでお伝えしたいと思います。


1.そもそもグランピングとは?

 そもそも「グランピング」は、グラマラス(Glamorous)×キャンピング(Camping)をあわせた造語です。Glamorous Campingを直訳すると「魅力的なキャンプ」となります。では、魅力的なキャンプであれば、なんでもかんでもグランピングと言って良いのか。表面上だけで捉えるのであれあれば、それで十分。なぜなら「魅力的」というのは、あくまで感覚。人それぞれに感じるもの。もし「〇〇な人向けグランピング」だったら、自分自身も違和感を感じていなかったかも知れません。

 グランピングは元々海外の文化なので、海外での表現を見てみるといくつかの要件が見えてきます。

*キャンプの醍醐味を享受できること
 →自然の雄大さ、家族や仲間と時間を過ごす、キャンプファイヤー(焚き火)を囲ってスイーツを食べながら語らう。
*キャンプの課題点を解消できること
 →道具がなくてもできる、寝袋ではなく快適な寝具で寝る、テントは防水、暑くなく寒くなく快適な環境で過ごす

 つまりは、都市部にあるようなグランピングは矛盾しているし、焚き火ができないグランピングは魅力がない、そういった点に注目するのが本来のグランピングなのです。

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2.すでに創られたものへの違和感

 自分自身は、小学校1年生から家族や林間学校で「キャンプ」を経験してきました。その中で感じたキャンプの魅力は
*大自然の中で過ごせること
*一緒に過ごす仲間と「テント」を立ち上げることで「住」の場所を作れること
*自炊するために、野菜を切り、火を起こし「食」を作り出すこと
だと感じています。
 スイッチを捻ればガス火が出て(最近だとスイッチひとつでIH)、ボタン一つでレンジチンで食べ物が温まる。便利だけども、生き物としての人間の感覚が劣っているような気がします。そんな中、便利ではないけども火を起こすことは、人間が他の動物にはない能力を得た人間だからできること。
 テントを立ち上げるのは、先にしないと暗くなってからだと見えづらくなおさら時間がかかってしまう。お腹が空いてからご飯の準備をすると、ペコペコになってエネルギーがなくなってしんどくなる。
 そう思うとキャンプは、人間として「考えて生きること」を教えてくれました。

 一方、日本ではやっているグランピングは、食材は切られ、火はつけられていて、テントは常設。私が考えるキャンプの良さが全て排除されているのです。便利なのは間違いなく便利。
 もし、『Convenience Campinp』だったら、これで良かったのかも知れない。けれども、あえてConvenienceを使わなかったところに、本来のグランピングの良さがあると思います。

3.大切なのは、量よりも「本質」

 キャンプが「グランピング」になり、一般受けするようになりました。それはそれで良いのかも知れません。しかし、現状のグランピングはただ「便利」なだけのキャンプ。つまりは人工的に作り出されたものを表面上だけで楽しむようなもの。

オートキャンプ白書2018よりJTB総合研究所作成

(オートキャンプ白書2018よりJTB総合研究所作成)

 グランピングだけの統計はないので、一番近いであろう「オートキャンプ」の参加人口統計を見ると、1996年をピークに下がり続けていたものが、2012年を坂に再び上がり始めました。2012年は日本初と言われているグランピング施設「伊勢志摩エバーグレイズ」が開業した年です。このグランピング施設が開業したことでオートキャンプ人口が増えている、つまり、グランピング利用者が増え続けていると見ても言い過ぎではないと思います。

 従来のキャンプだと行きたいと思わなかった層が、キャンプに関心を持ち、やり始めるのは良いことかも知れません。そうすることによりキャンプ人口が増える(量は確保できる)。しかし、本来のキャンプにあった良さを「便利さ」によって薄めてしまっていると感じています。

4.まとめ

 グランピングは海外の文化が入ってきました。その中であえて『Convenience Campinp』ではなく、『Glamorous Camping』と表現し、「便利なキャンプ」ではなく、「魅力的なキャンプ」とした意味を考えると、本来のキャンプが持つ隠れた魅力を、表現を変え、磨くことに現代にも通じる「魅力さ」にしていくのが、グランピングの良さだと思います。
 そうではなく、キャンプの本来持つ力を考えず、不便さの解消だけをしたグランピングに、自分自身が感じた違和感があったのかもしれません。


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