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#15_「光石研の東京古着日和」感想

プライベートでも洋服好きで有名な俳優の光石研さんが、東京の古着屋さんを巡り、試着し、何を買うか悩み、熟考の末に1着あるいは試着したもの全てを買う。ただ彼が心のうちではしゃぎ、物欲に翻弄される姿を映し、観終わることにはなんだか自分までいい買い物をしたような気持ちを味わえる。それが「光石研の東京古着日和」だ。

各話で登場する古着屋さんはどのお店も特色や個性がはっきりしているため、毎回違ったテイストの洋服が見られる。自分が知っているブランドのものが映れば光石さんと一緒に盛り上がり、たとえ知らないものでもナレーション、テロップ、店員さんとの会話等で解説で魅力を知ることができる。僕は洋服に詳しいわけではないので、実際に古着屋さんで買い物する時も店員さんにその洋服の素材や、ディテール、歴史について教えてもらうことが多々ある。そういった優しい古着屋さんで買った服は着る度にその時のことを思い出して幸せな気持ちになるし、そういった思いも込みで服へ愛着が湧く。このドラマのディープなことをやっているのに初心者も置いていかない丁寧さは、そういった上質な接客のようなものを表しているように思う。

光石さんは一通り試着を済ますと、一旦店を出て食事やお茶に行く。そこで一休みして気持ちを整理するのだが、そこで登場するお店も素敵なのだ。そういった箸休めにもこだわり、自由に行ったり来たりする様はまるで雑誌のようで、この番組の制作に携わっているpenの本領といったところだろうか。そして勢いに任せず、本当に自分に必要なものを考えて買っている光石さんの姿は、僕たちにあるべき買い物の形を教えてくれているようで、とても心地いい。

服を買った後、光石さんは必ずその服を着て帰る。スキップなんかして、子どものようだ。振り返り満面の笑みでカメラに映る光石さん。軽快なエンディングが流れ出す。僕の心もすっかりごきげんだ。


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