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【初心者向け】GTOxを使ったGTO戦略の簡略化法(バケッティング(バケツ化))
この記事では、初心者がGTO戦略を簡易的に学習する上で必要な概念である「バケッティング」という手法を説明しています。
Solverを使ってGTOを独学するのが難しいなあと感じていらっしゃる初心者の方に是非ご一読いただきたい内容になっています。
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ポーカーを学ぶ最も一般的な方法の一つは、パターン認識です。
例えば、ハイカードばかりのフロップでは、プリフロップのアグレッサーが有利だと知っているので、CBetをする人が多いでしょう。
ただし、ポーカーには無限に近い数のシチュエーションが存在するため、全く同じ変数が繰り返されているスポットを見つけることは非常に難しく、その結果、パターン認識が困難になっています。
この問題を解決するために、GTOxでは、人工知能の世界で使われている
「バケッティング(バケツ化)」というテクニックを使っています。
「バケッティング」とは、AIが似たような強さのハンドをグループ化するために使用するもので、バケッティングによって対応しなければならない変数の数を減らし、ゲームを単純化することができます。
例えば、K♣7♣3♠のボードでは、A◆K◆とA♥K♥は、ショウダウンバリューも同じでどちらもバックドアフラッシュドローを持っていないことから、戦略的に同じバリューとなります。そのため、これらの2つのAを持つコンボを個別に検討することに何の価値もありません。
実際のところ、ほとんどのプレイヤーが自覚せずにバケッティングをしています。プレイしている最中に、ほとんどのプレイヤーは、特定のコンボをどうプレイすべきかではなく、自分のハンドのカテゴリーを考えてどうプレイすべきかを考えています。例えば、このボードでA♠K♠ではどうプレイすべきかを考えるのではなく、トップペアやTPGKではどうプレイべきかを考えるプレイヤーがほとんどです。
しかし、1000個ものバケツ(カテゴリー)を簡単に実装できるコンピュータとは異なり、人間が管理できるバケツの数は遥かに少なく、また、少ないバケツを使って戦略を簡略化することと、EVを最大化することはトレードオフの関係にあってジレンマがあります。
実際には、各プレイヤーが経験と学習を重ねていく中で、使用するバケツの数を徐々に増やしていくことで、分析の精度を高めていくことが目標となります。
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実際にバケッティングがどのように機能するのかについて例をあげると、6マックスのキャッシュゲームでLJがオープンし、SBがコール。フロップはKT7rで、SBがベットすべきかチェックすべきかを決めます。
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この場合、ほとんどの経験豊富なプレイヤーは、あまり深く考えずにこのボードですぐにチェックしているでしょう。実際に、この状況でプレイヤーが行っていることは、自分はポジションがなく、レンジ的にもかなり不利であるという事実を認識し、その結果として、ハンドレンジの100%を同じようにプレイしているということです。
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この抽象化され簡略化された戦略が最適であることは、レンジのEV Regretを見ると確認できます。この値は、SBがGTOの相手に対して、このスポットで100%のハンドでチェックすることを選択した場合に、どれだけの期待値を失うかを示すもので、この場合はすべてのハンドでチェックしたとしても失われる期待値は0となっています。しかしながら、LJ側の戦略は、もっと複雑になっていることがわかります。
このように様々なアクションのプレイ頻度のすべてを記憶することが不可能な状況で初心者はどのようにベッティング戦略を構築すべきでしょうか?
バケッティングを使うことで戦略を大幅に簡略化することができます。GTOxでは、ポーカーのすべてのコンセプトの中で最も重要な「EV」に焦点を当てることで、恣意的ではない合理的な方法でバケッティングを行います。
バケッティングの方法
まず、最も強いハンドのバケツを作ることから始めます。すべてのセットを最初のバケツにまとめてみると、いくつもの異なるサイジングをベットした場合のEV Regretが比較的少ないことがわかります。つまり、このスポットでセットの1~2%でポットベットした場合、GTOと比べて失うEVの最大値はポットの0.9%分、つまり100分の4BB程度となります。
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また、セットの100%で4分の1ポットベットする場合には、失うEVの最大値は0BBとなります。
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しかしながら、セットやその他のハンドクラスに対して独自の戦略を立てようとすると、非常に複雑なものになってしまいます。もっとシンプルにする方法はないでしょうか?このバケツに2ペアを加えてみましょう。セットとツーペアの組合せの100%で4分の1ベットした場合、失うEVの最大値は0.2%ポット、つまり100分の1BB以下であることがわかります。これにオーバーペアを加えてみましょう。そして、これらの組合せのすべてを4分の1ポットでベットした場合もEV Regretは変わりません。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57880686/picture_pc_0771ae9137660fe78fd7fc4ec4847249.jpg?width=1200)
しかし、トップペアを加えるとどうなるでしょうか。すると、EV Regretが5%以上と大幅に上昇していることがわかります。この場合、戦略を単純化しすぎたのかもしれないということが分かります。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57880708/picture_pc_0fbf700234223576ef35d91c3cfc6929.jpg?width=1200)
よって、最初の強さのハンドのバケツは、セット、ツーペア、オーバーペア以上で構成されるべきであり、そのすべてを4分の1ポットにベットすることが簡易なGTO戦略となります。
さらに残りのレンジの戦略も構築する必要があります。
フィルターをリセットして、トップペアから始まる次のレベルのハンド用のバケツを作成します。さらにバケツを追加するとEVロスが大きくなるポイントに到達するまでクラスを追加していきますが、このケースでは最も弱いペアまでが次のバケツになります。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57880738/picture_pc_b2685061ba92013e6a9525830f69278b.jpg?width=1200)
トップペア、アンダーペア、セカンドペア、サードペアからなるバケツを作り、このバケツ内のすべてのコンボをチェックすることにしても、GTOソリューションに比べてポットの0.9%のポイントのEVしか失わないことがわかります。これは、中くらいの強さハンドでは、大きなポットを作らずEVを実現したいと思うことが多いため、直感的にも理解できます。
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最後に、最も弱いハンドをまとめてバケッティングしてみましょう。そして、これらの組合せのすべてで4分の1ポットベットをしてもEVロスはゼロになることがわかります。これは、これらのハンドはショーダウンバリューが限られているため、相手をフォールドさせることで大きな利益を得られるからです。
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このように、コンボごとにすべてのレンジを再構築するのではなく、バケッティングを利用することで、EVロスなく同じようにプレイできる3つのクラスを作り、戦略を大幅に簡略化できることがわかります。
さて、この時点で見ているGTOオタク(GTO Wizard)の方の中には、
「このような簡略化された戦略はエクスプロイトされやすいし、偏りすぎていて様々なカードに対するカバー率が低いため、EVを最大化できない」と考えている方もいるかもしれませんが、その通りです。しかし、誰もがどこかから始める必要があります。そして、「完璧が十分によいの敵」であってはいけません。また、初心者の方は、このようにいくつかのバケツを使うことで、エクイティ分布の基礎をしっかりと理解することができれば、その後は、使うバケツの数を少しずつ増やしていくことができます。
例えば、自分の戦略をもう少し洗練させて、強いハンドをチェックして、自分のレンジのミドル部分を守りたいと思ったら、まず、相手のコールレンジの中で最も大きな割合をブロックしているセット(この場合はTT)をチェックすることにします。また、すべてのセットをチェックすると、大きなEVロスになることがわかりますが、TTをチェックするだけならば、EVロスは比較的小さくなります。
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また、トップペアの一部をベットに回すことで、戦略にもう少し複雑さを加えることもできます。キッカーの強いトップペアの一部または全部をベットに回すことで、EV Regretが少ないことを確認した後、弱いキッカーのトップペアの全部をチェックすることにして、ベットのEVが高く、チェックするときのEV Regretが少ないことを確認できます。
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また、中程度のハンドをベッティングレンジに組み入れることもできます。例えば、バックドアフラッシュドローを持つコンボのいくつかをベットすることにしてもEV Regretが0.1%ポイントしかありませんし、バックドアフラッシュドローを持たないコンボのすべてをチェックすることにしても、通常これらはベットしない方がよいです。
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さらに、ポケットペアと非ポケットペアで区別することもできます。ミドルペアをクリックすると、88と99がほとんどチェックしているのに対し、7Xはランク的には弱いものの、実際にはよりアグレッシブにプレイしていることがわかります。
このように、少し混ぜた戦略を使って中程度の強さのハンドをベッティングレンジに加えることで、プロテクションによるEVの獲得と、様々なランアウトに対するカバー力を高めることができます。
最後に、役を完成させられなかったハンドのすべてでベットするのではなく、すべてのボードでミックスすることで、戦略を少し洗練させることができます。小さくベットした場合とチェックした場合では、どちらの場合も大差はないことがわかります。
例えば、ドローが引けなかった場合の30%をチェックし70%をベットすることで、これはGTOを完全に再現することはできていませんが、ゲームツリーの様々な枝で十分なドローとブラフを確保することができます
このように、バケッティングシステムは、複雑なGTO戦略をシンプルにするための重要なツールです。また、この種のバケッティングシステムは、プレイヤーの経験値に応じてバケツの数を調整できるため、拡張性・柔軟性があり、初心者にとって重要なツールとなります。
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