010.大企業病と言いたい人びと
ちょっと前の記事になるけど、谷尻誠さんの「採用したくないスタッフ」にとても共感したのだが、フト思った。
他者を手伝わないのは「他者を手伝うカルチャーがない会社」で育ったからかもねと思う。https://note.mu/tanijirimakoto/n/nc4840992af49
ここで展開される話題は「他者を手伝うのはよいこと」という前提だ。
しかし、その逆の会社は実際に存在する。
つまり「手伝うと感謝されるどころか、叱られる会社」が。
そういう会社は大抵「共用部」が汚い。
「他者のため」に綺麗にしてあげようという発想がないから、荒れ放題になる。昨日綺麗に片付けたはずのコピー機周りに、翌朝には紙が散乱してる。
ではなぜ「手伝わないのか」というと、それは「そういう仕組み」によって運営されてるから。
「そういう仕組み」とは、社員それぞれにアメフトのようにキッチリと役割が決まってて、その役割をキッチリと真っ当すること「だけ」を求められる「役割主義」によって運営されている。
彼らの好きなフレーズは「餅は餅屋で」ってやつだ(今時、餅屋なんて見た事ないけど)。
そのフレーズは、通常あまり聞かないけれど、彼等は連発する。
「役割主義」の場合、チームで気にかける存在はパスを出す相手だけでいい(大抵は自分を評価する上司)。だから、チームがいま勝ってるのか負けてるのか、どこに向かってるのかさえ知らなくていい。
その徹底した「役割主義」をやればやるほど、人は「代替え可能」になっていく(当たり前の話だ)。結果的に、本人がどれほど有能であろうとなかろうと、サクッと取り替えられてしまう。プロジェクトの途中であろうとなかろうと、どんどん人が入れ替わる。春になれば恒例で、日本中で引っ越しが増える「異動」ってやつによって。
で、それを繰り返すうちに、「下手な感情移入なんかしたら、自分が傷つくだけ」って思うようになる。他人を気にかけなくなる。結果、みんなが「他人のこと手伝うのは無駄」っていう境地に達する。
だから共用部が散らかってようが、隣で誰かがパニックになりつつ、プレゼン資料をホチキス留めてようが、誰も手伝ったりしない。だって「自分の役割じゃない」から。
かくして、その「役割主義デススパイラル」に入りはじめたら、会社は緩やかにそして確実に傾き始め、やがて倒れる。
なぜならば、他者を手伝わない会社は、「構造的にミスを発見できない」からだ。最初はひとりの凡ミスからはじまり、複数人がミスを起こすから、会社としてはミスを連発する。てんでバラバラに起こるミスが、やがて大惨事あるいは、大事故につながる。
この症状を別名「大企業病」という呼びたいひともいるようだが、それは違うと私は思う。
この症状を発症するのに「人間の数」は関係ない。1000人でもチームワークのいい組織もあるし、50人でもバラバラの組織もある。
つまり、この病は「大企業」なのが原因なのではなく、「役割主義」というカルチャーが原因なのではないかと私は思う。
ところで、チームワークには、役割はとても大切だ。それぞれの役割を全うすることはチームにとってなくてはならないことだ。
ようするに、目指すゴールが「チームで達成することを目指している」のか、「自分の役割を果たすことだけを目指している」のか、ということだ。
そもそも「大企業病」って言葉をすぐに使いたがる人ほど、自分のことしか考えてなかったりするんだよ笑。
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