吉本闇営業問題の整理

【事案】


6月24日吉本興業HDがプレスリリース「宮迫博之、田村亮、レイザーラモン HG、福島善成、くまだまさし、パンチ浜崎、木村卓寛、ムーディ勝山、2700、ディエゴに関するご報告とお詫び」を発表した。
https://www.yoshimoto.co.jp/corp/news/media/media190624.html


弊社所属の雨上がり決死隊・宮迫博之(みやさこひろゆき/49歳)、ロンドンブーツ 1号2号・田村亮(たむらりょう/47歳)、レイザーラモン・HG(住谷正樹・すみたにまさき/43歳)、ガリットチュウ・福島善成(ふくしまよしなり/41歳)、くまだまさし(46歳)、ザ・パンチ・パンチ浜崎(ぱんちはまさき/38歳)、天津・木村卓寛(きむらたくひろ/43歳)、 ムーディ勝山(むーでぃかつやま/39歳)、2700・八十島宏行(やそしまひろゆき/35歳)、2700・常道裕史(つねみちひろし/36歳)、ストロベビー・ディエゴ(41歳)、の11名を、本日をもって、当面の間、活動を停止し、謹慎処分とする旨を決定致しました。 
本件は、5年ほど前に、上記芸人が特殊詐欺グループとされる反社会的勢力主催の会合へ参加していたとするものです。弊社が、複数回にわたり、該当タレントへのヒアリングや各自の記憶の整理、確認を丁寧に行った結果、該当する芸人において、反社会的勢力主催の会合であるとの認識はなく、また、報じられていたような金額ではありませんでしたが、会合への参加により一定の金銭を受領していたことが認められました。
 弊社は、日頃より所属芸人・タレント、及び、社員に向けたコンプライアンス研修を通じ、コンプライアンス遵守や意識の向上を徹底してまいりました。弊社にとって、今回の事実確認結果は、重大な問題であると考え、今回の処分に至り、弊社としてもその責任を痛感するものであります。
 関係各位、ファンのみなさまには多大なるご迷惑をおかけしておりますことを、深くお詫び致しますと共に、今後、所属タレントへのコンプライアンス研修の一層の強化を図り、二度とこのような事態が起こらないよう、全社一丸となって、社内意識の徹底を行ってまいります。

【特殊詐欺とは】


週刊誌Friday のスクープから始まった今回の騒動。これ以降、「闇営業」という言葉が一般化するが、既に指摘されている様に事務所を挟まないいわゆる「直営業」自体は当人の契約上で問題がなければしてはいけないことではなく、今回は闇社会から資金を得ていたことが問題だった。この仲介をしたとされるカラテカの入江慎也(42)は6月4日付で所属の吉本興業から契約を解除され、さらにその上で上記関係者の期限を定めない謹慎処分となった。

特殊詐欺とは、「面識のない不特定多数の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、対面することなく被害者をだまし、不正に入手した架空または他人名義の預貯金口座への振り込みなどの方法により、被害者に現金などを交付させたりする詐欺」のことで、
・オレオレ詐欺
・架空請求詐欺
・融資保証金詐欺
・還付金詐欺

 等が存在する。

警察庁の「組織犯罪対策に関する統計」によると被害総額は年々減少しているがその逆に検挙件数は増加の一途を辿っており、社会問題の一つである。

図表① 特殊詐欺の情勢の推移
  平成25      26     27     28        29      30
認知件数 11,998  13,392  13,824  14,154    18,212   16,493
被害総額 489.5    565.5    482.0    407.7      394.7     356.8 (単位:億円)
検挙件数 3,419  3,252   4,112     4,471      4,644     5,162
検挙人員 1,774  1,985   2,506     2,369      2,448     2,747

この特殊詐欺には独特の隠語が存在し、
電話をかけて相手を騙す役をする「かけ子」、口座からお金を引き出す役をする「出し子」、直接お金を受け取る「受け子」に分かれる。

【条文】


基本的に詐欺罪は刑法に根拠があり、
刑法
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

であるが、これに加える形で一般に組織犯罪処罰法と呼ばれる
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
第三条 次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十六条(封印等破棄)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
二 刑法第九十六条の二(強制執行妨害目的財産損壊等)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
三 刑法第九十六条の三(強制執行行為妨害等)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
四 刑法第九十六条の四(強制執行関係売却妨害)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
五 刑法第百八十六条第一項(常習賭博)の罪 五年以下の懲役
六 刑法第百八十六条第二項(賭博場開張等図利)の罪 三月以上七年以下の懲役
七 刑法第百九十九条(殺人)の罪 死刑又は無期若しくは六年以上の懲役
八 刑法第二百二十条(逮捕及び監禁)の罪 三月以上十年以下の懲役
九 刑法第二百二十三条第一項又は第二項(強要)の罪 五年以下の懲役
十 刑法第二百二十五条の二(身の代金目的略取等)の罪 無期又は五年以上の懲役
十一 刑法第二百三十三条(信用毀損及び業務妨害)の罪 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金
十二 刑法第二百三十四条(威力業務妨害)の罪 五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金
十三 刑法第二百四十六条(詐欺)の罪 一年以上の有期懲役
十四 刑法第二百四十九条(恐喝)の罪 一年以上の有期懲役
十五 刑法第二百六十条前段(建造物等損壊)の罪 七年以下の懲役

いわゆる組織的詐欺罪である。

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