★体験談★生まれて初めて絵画を購入した件
私にはとても応援したい画家の方がいらっしゃる。ツイッターでその画家の方が個展を開くと知り、 個展に伺った。
一番最後に飾られていた一枚の絵画。
透明感のあるタルトケーキと、深い青色のカップとソーサーに入っているコーヒーが描かれている絵画。その赤いタルトを見て、子供の頃寝室に飾られていた一枚の写真を思い出した。
その写真は、若い頃の両親と中央にフランボワーズのケーキが写っていた。その写真を強烈に思い出させる絵画だった。その影響なのか、その絵画を鑑賞する度に、“哀愁”を感じるのだ。それがその絵画を購入した決定的な理由だ。ちなみに残念ながら、両親とケーキの写真はどこにあるのかが分からないので、見返す事はできない。
その個展は、レストランとコラボしていたので、個展の題材となった料理たちを後日注文して頂いた。どうしてもチョコレートタルトを食べたかったので、メニューにタルトが入っているのを知った時は、とても嬉しかった。料理を頂いてみて、全ての料理が素晴らしくおいしく、とても感動した。一番食べたかったタルトは、一切れを家族4人で分けたので、一人分がほんの一口分になってしまった。それでも、その味に私は救われた。
今、手本にある例の絵画を見ると、鮮明にあの甘酸っぱい味が蘇ってくるのだ。これは、「絵画を鑑賞する」といった視点からすると、非常に不思議な体験である。味と芸術作品がリンクする事なんて、そうそう無いのではなかろうか。
絵画の美しさ、味の記憶、哀愁ー。これらが今後、私の道を照らしてくれるのではないか。そしてこの絵を、いつか家族ができたら、大切に継いでいきたい。かつて私の父が「小さい頃からピアノとピアノから奏でられる音楽があれば、その素晴らしさにいつか気付く日が来る」と言っていたように、私はそれを芸術で体現したい。
最後に、この絵画にご縁を頂けた事を、心から感謝している。運命だったと言えば簡単だが、様々な奇跡がこの絵と私を引き合わせてくれたのだと、私はそう思っている。
愛をこめて。