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毎日誰かの誕生日

去年の夏、毎週のようにケーキを食べる機会があった。
職場で誕生日の人がいると、サプライズケーキでお祝い会が恒例になっていたからだ。

そっとケーキを買いに行く担当がいて、
夕方突然消える電気。

ノリノリのハッピーバースデーの曲と共に
クラッカーが鳴らされる。
奥からケーキが登場し、

「「ハッピーバースデー!」」
口々にお祝いの言葉を投げかける。

その日の主役は、恥ずかしそうにそして嬉しそうに
「ありがとう」とお礼を言っていく。

10数人の会社でのお誕生日おめでとうの儀式は、それはそれで楽しいものだった。

いま私はテレワークなので、
残念ながらその会に参加することは出来ていない。

メッセージで、
「お誕生日おめでとうのございます!」と
伝えることしかできない。

それにしても、私は誕生日というものが
どうも苦手だ。
たぶん、いつの頃からか。
きっと大人になってからだろうと思う。

小さい頃は、誕生日はプレゼントをもらえる。欲しいのを買ってもらえることがなにより楽しみで。
そして一つ歳が増えることで、大人に近づくことが誇らしく嬉しかった。

ただ残念ながら、私の誕生日周辺は実家の稼業が一年に一度の繁忙期と重なるため、誕生日当日も忘れられて、忙しく動き回る大人の中でぽつんと取り残されていた。

繁忙がわって、私の誕生日も2週間も過ぎた頃家族で揃って食卓を囲み、パーティーかひらかれるのだった。

パーティのなんとなくは思い出せるのだが、なにをプレゼントにもらったかをどうしても思い出せない。

不思議なもので、自分の記念日はあまり記憶にない。それでもその頃はお祝いしてもらえることはこそばゆくも嬉しかったと思う。

たぶん。

最近は、自分の誕生日は誰にも告げず、ひっそりとすぎればいいと思っている。
たまに、SNSで誕生日の表示をしない設定ものから知った人が連絡をくれるのだが、とても申し訳ない気持ちになって、居た堪れない気持ちになる。

毎日誰かの誕生日。

毎日だれかを愛しんで
過ごせばいいのにと思うのだ。

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