僕たちは日々と踊る#2
案の定、友人達は定刻には間に合わなかった。
そしてなんの前触れもなく現れて、悪びれもせずドカドカと部屋に上がり込み、ジロジロと部屋を見回す。とりあえずと言わんばかりに「いい部屋だ」と褒めてくれたりもした。
酷くデリカシーのない連中と思われるかもしれないが、そんなことはない。
ここではそう、というだけで、なんなら僕たちの間でも、最低限のマナーと距離感を間違えない信頼のおける友人達だ。
気は使わない。代わりにお前も気を使うな。と言われているような気分になる。
おそらく友人達はそんなことを考えてはいないだろうけど、僕はそれに安堵したりもする。
それ相応の時間を僕たちは重ねたし、言葉を交わした。
会えない時間がどれだけ長くなっても、その事実は変わらない。
だからいつも、いつも通りなのだ。
せっかくの休日だから、なるべく早く帰れるようにと昼間に時間を設定した。
みんなが帰宅した後、家族になるべく文句を言われませんように、と願いつつ思い思いの飲み物で乾杯をした。
話はすぐに盛り上がる。
仕事の話も家族の話も馬鹿げた話もした。
"積もる話も"なんてよく言うが、どうやら各々それぞれ積もっていたらしい。
今日のメニューはしゃぶしゃぶだ。
友人の1人が良い肉を持ってきてくれたのだ。
弁当や菓子パンを食べながら学校の机を囲んでいた連中と今は酒を片手に鍋をつついてるだなんて、なんだか大人になったな、なんて思ったりもした。
そうしてダラダラ話していると、突然、家のインターホンが鳴った。
どうやら追加の友人が来たらしい。
これも友人の1人が声をかけていたようだった。
わざわざ、遠くから来てくれた者もいる。
おいおい、これじゃあ夕方に解散出来そうもないじゃないか。
仕方ない。僕の計画は仲間達の前じゃいつもうまくいかないのだ。
それもまた、悪くない。
そんな考えも、新しい缶が開く音にかき消されてしまった。
さて、何はともあれ、改めて乾杯を。
そして、話を続けよう。
つづく
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