顔面痙攣の改善

顔面痙攣は、顔面神経の興奮によって引き起こされる現象で、その原因には、器質的なもの(前下小脳動脈、後下小脳動脈、腫瘍などによる圧迫)と機能的なもの(精神的緊張、神経細胞の興奮)がありますが、今回の症例は、転倒後に、顔面痙攣が出現したものです。打撲以外に、大きなダメージ、症状もないので脳に出血などはないと判断した上での治療です。右の笑筋、広頚筋あたりの痙攣が起きているのは、顔面神経核(神経細胞)あるいは神経線維に物理的(わずかな浮腫による酸欠、神経線維の伸張など)侵襲が加わることで、脱神経(Denervation)が発生し、筋線維束攣縮(Fasiculation)が生じたものと判断しました。
 治療の戦略の一つ目は、右顔面神経核の興奮を抑制することで、もう一つは頭蓋内外の血行動態を改善し、橋(脳幹)に存在する顔面神経核あるいは顔面神経の起始部の微小な浮腫を減少させることです。

1.右顔面神経の興奮を抑制する方法
  左手首、左手指に運動刺激を与え、右大脳皮質(視床ー大脳皮質感覚野ー運動野)を興奮させ、左右の大脳皮質の相互抑制機能を利用して、左の大脳皮質(運動野)に抑制をかけ、その支配下にある右顔面神経核への刺激を減らし、右顔面神経の興奮を抑制します。
2.頭蓋内外の血行動態を改善する方法
  上部頸椎のわずかな変位と周囲組織を調整し、椎骨脳底動脈の血流を改善し、頭蓋にリズミカルな振動を加えて、頭蓋内の液体(動脈、静脈(洞)、脳脊髄液)を動かすことで、動脈血が組織に酸素を送り、頭蓋内での髄液循環が促進され、局所の浮腫と鬱熱を解消し炎症物質も排出される。
 最終的には、静脈の頭蓋外への排出により正常な血行動態が完成します。

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