猿の学生さん


バイトを終えて乗り込んだ電車。
優先席を占拠した甲高い声で笑う猿の群れを見た。

崩れた生活リズムと、行かなくなった授業の数を勲章にした奴らは、バドミントンのラケットを片手に、さっきまでの飲み会の内容に管を巻いていた。

大声を出せることが先輩としての威厳になるのだ、と遺伝子に刻まれているように、歳を重ねた奴らほど、およそ公共の場とは思えない態勢で奇声をあげる。

しくじった。
今日に限ってイヤホンがない。

嫌でも耳に飛び込んで来るこの世で最も不快な旋律。
奴らにしか伝わらない名詞の連呼とお笑い芸人の口癖。おいそこの音頭取り、お前スベってんぞ。


どの世代にも一定数は存在する猿の学生。
口座振替の用紙に押す印鑑が絶対綺麗に押せないように、家に鍵をかけてからじゃないと忘れ物に気づけないように、世の中の法則で括るしかない猿の発生。

今日も東京は動物園だった。

#日記

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