夢のうさぎ

ある国に何でも持っている子がいました

お腹が空いたら好きなものを好きなだけ食べて

遊びたくなったら遊びたい相手と飽きるまで遊んで

眠くなったらお気に入りの場所でおやすみします

欲しいものすべて手に入りました

夏の暑さも、冬の寒さも、雨の日も風の強い日もその子にはありません

いつも晴れていて、いつも穏やかな風が吹き、空は澄み渡り、毎日は過ごしやすい日なのです

どこか体にいたい所があれば、世界一のお医者がすぐみにきてくれます

いつも誰かが笑わせてくれますし、楽しませてくれます

その子は自分が一番だと思っていました

お父さんもお母さんもいて、お兄さんやお姉さんもいます、弟も妹もいます

友達もたくさんいます

けれど自分が一番なのです


その子はいつも寝る時にうさぎのぬいぐるみをそばに置いて寝ました

起きてる時はいつも誰かがそばにいます

けれど寝る時はひとりだからです

でもこのうさぎをそばに置いておくと、

夢の中にうさぎがでてきて1人になりません

だから寝る時にはいつもそばにうさきがいました

でもある日そのうさぎがいなくなりました

あぁーうさぎがいない!

その子は泣きわめいて、国中で大騒ぎになりました

すべての人がうさぎを探しに出かけました

でも探しても探しても探しても見つかりません

うさぎが見つからないのでその子は泣いてばかりいました

どんなに面白いことや楽しいことをしてみせても泣き止みません

すぐに代わりのうさぎのぬいぐるみが、世界中からたくさん届けられました

でも、その子は泣き止みません

ほかのうさぎでは、夢に出てきてくれないからです

泣いてばかりいるうちに、その子は泣き疲れて眠ってしまいました

すると夢の中であのうさぎに出会いました

ぬいぐるみそっくりのあのうさぎです

うさぎはその子に話しかけます

私がいなくなってあなたはさびしいの?

その子は答えます

とってもさびしいよ。いますぐもどってきて。

うさぎはまばたきをしました

ずっと君のそばをはなれていないよ

うさぎが答えます

どうして?そばにいないじゃない!

ほら、そばにいるでしょ

そう、うさぎがいうと、その子はたくさんの星につつまれました

あなたは自分が一番だと思っているけどみんなが1番なんだよ)

すべてのものごとは美しいのさ

するといきなり大雨が降りました

雷もなっています

つぎは吹雪までふいてきました

その子は大騒ぎです

だってこんな天気にいままであったことがないのですから

ふと耳を澄ますと、どこかでお父さんやお母さん、兄妹達の声がします

どこ?みんなどこにいるの?

上を見上げても周りを見渡してみても姿はありません

その子は目をぎゅっと閉じて、ゆっくり開けてみました

するとみんなの顔が見えてくるのです

みんなが悲しい顔をしていました、泣いている人もいます

どうして悲しそうなんだろう?

いつもみんな笑っているのに

どうしてかわからないだろう?

みんなが悲しいと君も悲しくないかい?

うん、とっても悲しい気持ちだよ

さぁもうみんなのところに戻るんだ

星に囲まれながら、その子は夢から覚めました

周りには沢山の人が心配そうに見つめていました

その子はにっこり笑いました

空にはふしぎな雲がでていました











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