the WALL / buzzG feat.初音ミク MV&歌詞考察

buzzGさんの「the WALL」初音ミク版(バチャシン版)のMVと歌詞を考察していきます。
考察というよりは自分用の整理って感じに近いかもです。MV内の画像は転載していないため、別ウィンドウや別端末でMVを見ながら読んでいただくことをおすすめします。
当然間違いとか甘い部分とかあるかと思いますので、そういう考えもあるんだな〜程度に受け止めていただければ助かります。


初めに

今回MVを担当された津田さんがTwitterで、MVに登場するキャラの設定画を公開されていました。そこに添えられている情報が盛りだくさん&非常に重要なので、こちらからも引用させて頂いてます。
そこに書かれていること+個人の想像で補完して考察していこうと思います。

1.世界観

ずっと夕方で時間が止まっているセカイ。このセカイは崩壊しかけているものの、「スコア」から生み出された「ウタ」によってなんとか維持できている。

・スコア
人間の命を削って生み出されるもの。スコアを生成すればするほど身体が結晶化して崩れていく。いびつな星の形をしていて、エメラルドグリーンに発光する。スコアを生成した人間には青い傷跡が残る。
おそらく「楽譜」が由来ですが、scoreには刻み目、溝、ひっかいた線、切り傷といった意味もあるようです。

・ウタ
壊れかけているセカイを維持するために必要なもの。スコアを元に生み出される。

2.登場人物

固有の名前は記載されていなかったため、設定画に基づいて主人公A•Bとします。

主人公A(以下、A)
黒に近い濃紺の髪色。頬や首、足には青い傷跡があり、スコアを生み出したことがあると分かります。設定画には、「身を削ってスコアを生み出す 作曲家 創作者 の意」とあり、そういったモチーフも込められているようです。
傷を隠すような服装をしている。声が出ない。
津田さんのツイートによると、髪色は一歌ちゃんカラーとのことです。

主人公B(以下、B)
初音ミクのような髪色。人間ではなく、ナゾの技術で作られた機械のような存在。人間じゃないので成長しない。大昔は世界中の人にウタを届ける存在だったらしい。頭に載っている破片のようなものはその頃の名残。(初音ミクの髪飾りの破片にしか見えない!)
今はウタでセカイの崩壊を防ぐ機構として存在している。Aとの別離に思うところがある。
創作活動や音楽そのもの のメタファーかもしれない。とのことで、Aと対になる存在として描かれているようです。
通常時は一見すると普通の人間のように見えますが、作中でもうなじあたりからコードのようなものが伸びて、何かと接続している描写があります。繋がっていないといずれ機能が停止するとのこと。

AとBは昔一緒に過ごしていた時期がありましたが、のちに離別しました。(MV時系列の現在)

成れの果て
崩壊しかけた街に暮らしている人々。Aからは人外の姿に見えている=心理的な「壁」
どう見ても異形ですが、人々という記載から、あの見た目でも人間であるようです。また、Aからは人外に見えているという記載から、本人たちは自分たちの姿は普通の人間のように認識しているのかもしれません。MVの終盤では正真正銘の人間に戻れたかのような描写があります。

3.MV考察 

ざっくりと全体の流れをまとめると、
1.AとBの現在。崩壊しかけるセカイをBが防いでいる。
2.AとBの一緒に過ごしてた頃の過去回想。
3.AはBを連れ出そう(助け出そう?)とするが、Bを保護してる集団的な人たちに阻まれる。
4.最終的には連れ出すことに成功し、セカイの崩壊も停止する。

0:00〜
高い建物から落ちる光、終盤のシーンに繋がります。
場面が変わって光が差し込む場所にある2人分のローブ。終盤でBを保護してる人たちのローブと同じデザインですが、脱ぎ捨てられた=人間に戻れた=セカイの崩壊が止まった つまり物語終盤のシーンを最初に持ってきていると思います。

0:08〜
高い建物を見るA。この建物にBが居ると思われます。

0:13〜
巨大な壁を見るB。建物を見上げるAと構図が対比されています。

0:18〜
廃墟のような場所にいるA、暗い空間にいるB。
Bの周りに散らばっている綺麗な石ころは、かなりのサイズですがおそらくスコア。多分ですが、セカイの崩壊を防ぐために日々スコアからウタを生み出す生活を強いられているのだと思います。

0:39〜
街の人と柵を隔てたところに座っているA。
心理的な壁、というキーワードが出ていましたが、成れの果てになった人たちはセカイの崩壊に無関心(Bが大変な役目を担ってることに無関心)だけど、Aはそんな人たちと距離をとっている、という解釈をしました。

0:47
一瞬ですが、壁に刻まれた傷と手が映ります。袖の色的にBの手? 

0:48〜(1番サビ)
Aが驚いた瞬間、セカイの空が赤くなり、黒い落雷が発生します。具体的なことは不明ですがこれがセカイの崩壊なんだと思います。
Aの傷跡が右頬に発現していますが、それまで確認できていなかったため、この瞬間に発現したのかどうか含めて原理は不明。もっと後のシーンでもはっきり右頬が映るシーンがありますがそこでは青い傷跡も黒い傷跡もありませんでした。
青いはずの傷跡が黒くなったのも不明ですが、セカイの崩壊と連動して起こる現象か、単にセカイが崩壊しかけてるよという変化の演出かも。

0:59〜
Bが登場。ウタの力でセカイの崩壊を食い止めます。めちゃめちゃコードが出ていて、この子が機械の存在なんだと分かりますね。
こんな感じで日々崩壊しそうになったら出動してウタで食い止める日々を繰り返しているのでしょうか?

1:16〜
壁を見上げるツノが生えたローブの3人。あとで出てきますが、この人たちがBを管理?保護?利用?している集団のようです。

1:24〜
街で遠くを見上げるA、暗い空間にいるB。
Bの空間は1番でも出てきましたが、周りの結晶=スコアの量がかなり増えました。相当頑張っているのでしょうね... 思ったのですが、Bはウタでセカイの崩壊を防ぐ機構ではあるけど、スコアを自力で生み出せるとはどこにも書かれていないので、周りにあるスコアが全部元人間だったりします...?

1:46〜
Bのいる場所は勝手に暗い空間と呼んでいましたが、ここで壁の前だと判明しました。1番サビ前の手はBのものと見て良さそうです。

1:51
壁に絵を描くような人々の姿。過去に思いを馳せている表現かと思います。

1:53
笑顔のA。B視点の過去の記憶のようです。右手にはスコアがあります。Aが生み出したスコアをBに渡そうとしているようです。

1:55〜(2番サビ)
大量の流星が流れる空と、楽しそうなAとB。
この子たちにもこんな時期があったんですね涙

2:00〜
Aの胸元から溢れ出る光。スコアを生み出していて、数秒前のBに渡すシーンに繋がります。

2:06〜
驚きの表情→涙を流すB。スコアは人間の命を削って生み出されるものですので、きっと只事では無いはずです。でもAは笑顔でBに渡してくれたので、嬉しさとかいろんな感情が混ざって涙を流したのだと思います。
Bがこれから大変な役割を担うことを知っていたから、Aはスコアをお守りのような感覚でプレゼントしたのでしょうか。

2:11〜
寝ていたようですが、ハッと目を覚ました様子のA。歯を食い縛る部分がアップされますが、これはBを連れださなきゃ、現状を変えなきゃ みたいな感情なのでしょうか。

2:17〜
壁の前で膝をつくB。こんな生活もう嫌だという気持ちか、Aに会いたい、昔のような楽しい時間を過ごしたいという気持ちかまでは分かりません。両方かもしれません。

2:19〜(Cメロ)
駆け出すA。ローブの集団の中心にいるB。
ローブの人たちは祈るようなポーズをしていますが、このセカイにおいてBはセカイを救う救世主的なポジションでもあるので、信仰されている宗教みたいなのもあるのでしょうか。(もしくは表向きはそうだけど、単にBを都合よく利用しているだけかも。)

2:30〜
Aがローブの人々に阻まれてしまい、Bのところまでは辿り着けませんでした。ガッツリ手とか掴まれていましたが、その後は逃げ出せたみたいです(描写されてないからどうやって逃げたかは分かりません)

2:47〜
これまでにも何回か出てきた壁、そこに刻まれた傷。今回それを見ているのはAのようです。何か大切なことを思い出したかのようなA。

2:59〜
Bがローブの人たちに囲まれ、さらにしめ縄や紙垂(「しで」、「垂」とも表記されます。神社とかで見るジグザグの紙のやつ)まで用意されて、何やら儀式めいた不穏な状況です。
余談ですがこの紙垂、ジグザグなのは稲妻をモチーフにしてるかららしいです。たまたまかもしれませんが、この曲にピッタリです。

3:01〜
涙を流しながらBに手を差し伸べるA。
Bのコードも ちぎれて、連れ出すことに成功します。ローブの人たちの警備体制が適当で助かりました。
Aの足からはスコアが漏れ出ています。

3:12〜
Aは足だけでなく他の傷跡からもスコアが出ていますが、AもBも泣きながらどこか嬉しそうな様子です。
連れ出したあとは落下していきます。これまでに出てきた高い建物から連れ出したので、そこから落ちているのでしょう。Aの身体はどんどんスコアになっていき、片足は膝まで消え、もう片足もスコアになり始めています。

3:18〜
腕、さらには頭までスコアになって消えかけているA。BはAを抱きしめます。

3:30〜
ここでイントロのシーンに繋がります。高い建物から落ちていたのはこの2人で、Aのスコアの光だったようです。
しかし、この2人が落ちた後、セカイの崩壊が完全に止まったのか、空は晴れて人々も元の姿に戻りました。
ローブの抜け殻(?)のシーンも冒頭にあったやつです。ただ、これらのシーンでは冒頭と違って、カラフルな三角形が地面から上に湧き上がっている点に注目したいです。これはプロセカではお馴染み「セカイ」を表現している可能性が高いです。そもそも設定画でも「セカイ」という表記で一貫されていたため、このMVの世界も「セカイ」の一つなのでしょう。

3:48〜
手を繋いだまま倒れているAとB。身体がどんどんスコアとなって、消えかけていたAでしたが、ここでは右手含めて元に戻っていて、最後には右手がピクっと動いてMVは終了です。非常に希望の持てるエンディングとなりました。

終盤の連れ出した後の一連のシーンについて
なぜセカイが元に戻り、Aは助かったのか

→Aによって生み出されたスコアを元にBがウタを作った(歌った?)ことにより、このウタの力でセカイの崩壊を防ぐどころか元に戻すことができた。なぜそこまでできたのかは妄想の域を出ませんが、Aの強い想い×全身を消滅させるほどの量のスコア、その想いを最も汲み取れるBがウタにしたからセカイを元に戻せるくらいのパワーを持つウタができたから と解釈しています。
Aが作曲家/創作者モチーフ、Bが創作活動や音楽そのものの具現化 みたいな位置付けなので、現実で例えるならボカロPと初音ミク、みたいな...?

4.歌詞考察

MVのシーンと合わせて考えていきます。

稲妻のような感情 その奥を知りたくて
離さないようにぎゅっと抱いた 黄昏に揺れる空

1番Aメロ。
Aの抱えているBに対する感情や想い、それらを一つ一つ確かめるA。黄昏に揺れる空、夕方で時間が止まっているこのセカイを連想します。

本当はわかってほしくて わかられたくなんかなくて
誰の心にだって触れないことが強さだと思っていた

1番Bメロ。
孤独にスコアを生み出し続けるB。そんな気持ちをAに分かって欲しいけど、心配をかけたくないとか、重荷を背負わせたく無いという想いからか分かられたくないような気もしている。
一方Aは、薄々Bの気持ちにも察しがついているけど、それに触れず、距離を置いている現状で間違ってないと言い聞かせることもあったりなかったりしている。

ぼろぼろのメロディ 律動 青い傷跡
それが混ざり合って消えないから
歌うのは痛いよ 怖いよ それでも君と紡ぐありふれた唄
すべての壁を越える唄

1番サビ。
身を削って生み出されたスコア、それによってできた青い傷跡。それらを思い出して怖くなることもあるけど、今はただ役割を全うすること、それがいつかAとの再会になると信じて歌おう というB視点の歌詞と解釈しました。
「歌うのは痛いよ 怖いよ」でBが出てきてセカイの崩壊をウタで食い止めてるの辛い。
今はまだセカイの崩壊を止めるためのウタ、現状の脅威(壁)を越える唄だけど、いつかAと紡ぐウタを歌いたいと思うB。

震える手足は健在 君はそれでいいと言うね
透明で臆病な僕に何が残せるのかな

2番Aメロ。
A視点の葛藤。Bの実情を知りながら行動を起こせない自分に何ができるのか、という想い。

伝えたいことなんてもう 枯らしたはずなのにどうして
昼と夜のあいだ その橙を描きたくなるの

2番Bメロ。
B視点、もうウタを数えきれないくらい作って歌ってきたけど、まだ残っている想いがあった。
昼と夜のあいだ その橙 というのは単純に考えたら夕焼けとか夕方だと思いますが、おそらくこの後のシーンに繋がってきます。

美しい光景 脈動 笑ってもいいよ
独りが怖くなった僕を
神様はきっと 僕らが独りぼっちで寂しく歩まないように
か弱く産み落としたんでしょ

2番サビ。
昔、AとBがまだ一緒に過ごしていた頃の記憶。
無数の流れ星が流れる光景を2人で見ていた。
しかし、Bが今後独りでセカイ崩壊を防ぐための機構としてAと離別することになり、Aは自分の身を削ってBにスコアを渡します。
やはりBが独りぼっちになっている現状をどうしても変えたいAは、Bを連れ出すことを決意します。神様はきっと〜からの歌詞はそんなBに語りかけて背中を押しているようにも思えます。

噎せ返るような歓びも 聳え立つ無数の壁も
全部 全部 この声のためにある

Cメロ。
噎せ返るような歓び→一緒に過ごしていた時間
聳え立つ無数の壁→こんな現状になってしまった色々な要因、MVではローブの集団がBを囲っていて、壁のように描かれています。
Aは声が出ないので、おそらくウタを歌えません。このパートはAとB両方の視点が合体しているようにも感じます。

溺れるほどに深い霧の海で自分を呪いたくなる日は
君の目がずっと 強くて 泣けちゃうくらいに

落ちサビ。
ローブの人たちに阻まれてしまい、Bを連れ出すことに失敗したA。ですが壁を見つけ、昔の記憶を思いだしたのか、再びBを連れ出しに向かいます。
Aから見ればずっと孤独に耐えてきたB、Bから見れば人間の身で自分を連れ出しに来てくれたA、お互いがお互いを強いなぁと思ってそう。

溢れたぼろぼろのメロディ 律動 青い傷跡
それが混ざりあって これからも
歌うのは痛くて寂しい でも
君とならそれを、世界を、歌ってみたい
すべての壁を溶かす 歪であったかい唄

ラスサビ。
歌詞的には落ちサビと繋がっていそうです。
「溢れた」という文字通り、ここからAの身体からどんどんスコアが出てきます。それをウタにして歌うBは、痛くて寂しいけどAとなら怖くない!となったのか、結果としてこのウタによってAとセカイを丸ごと救うことになります。たくさん障壁もあったと思いますが、AのスコアとBのウタによってできた「歪であったかい歌」が全て溶かしてくれました。

5.まとめ、その他

個人的に、Bがいた場所の壁についての情報が足りないので、妄想しておきます。
2番のシーンであった、流星がたくさん降り注ぐ回想の場面を、当時人間だった子たちとみんなで壁に描いて思い出として残してたのかなと思いました。(多分考えすぎですが、A以外の子がみんなスコアになって消滅してたら辛い。)
当時はまだBも保護(?)されていなかったので、あの高い建物の中もオープンな場だったのではないかと。でもセカイ崩壊防止のためにローブ集団にBが囚われるようになったから、Aはそこに行く機会も無くなってしまった。ただ、Bにとっては唯一の癒しというか、心の拠り所として、その壁を見て昔の楽しい記憶を思い出している、みたいな。結果的にAも、終盤にBを助けに来たことによって、その壁を見つけて再びBを連れ出すために勇気をもらったのではないでしょうか。
壁に刻まれている傷がアップになる時も何回かありましたが、見た感じでは意味のある文字には見えませんでした。でも、あるとすれば、流星の絵を描いた時の子たちのサイン的なやつだったらいいな〜 冒頭の方で少し触れた、スコアに含まれている「刻み目」とか「溝」の意味と掛けてたらアツい。
壁を越える、壁を溶かす歌というテーマの曲でありながら、このMVでの物語の中ではあの流星の絵の壁が、間接的とは言えセカイの崩壊から救うきっかけになってるのが良いです。

今回はバチャシン版MVを準拠にして、歌詞と組み合わせて曲を考察してきましたが、レオニ視点で彼女たちのストーリーや背景を準拠に歌詞を見ていくのも面白いでしょう。セカイ版2DMVも待っています。
長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。そして、buzzGさんや津田さんをはじめ、the WALLの制作に携わった方々、素晴らしい作品をありがとうございます!今後もたくさんリピートしていきます!
もし、私はあの部分こう解釈しましたとか、あの部分はこうだと思いますみたいなのがあれば、ここのコメントやマシュマロにでも投げていただければ喜んで読みます。

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