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私が小説になったら…。

Twitterでほぼみゆさんのゲリラ企画
「あなたが小説になった時の初めの一文」をいただいたから なんとなく書いてみる…

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冬の朝、カップに入れた珈琲から出る湯気。
消えるから美しいんだ、自分に言い聞かせた。

珈琲の香りは、そこにまだ残っている。
湯気は止まる事を知らず、すぐに消えていった。
この一瞬を切り取ってしまいたい
その衝動は君との時間を思い起こすからなんだ

渓と再会した時、心の中にあったのは、複雑なものだった。
複雑な思いを持ったまま、一方通行だったはずの私の気持ちは、向き合ってもらえる瞬間にたどり着く。
奇跡みたいな出来事だった。

一瞬でも 私だけの時間を作ってくれた、
あの頃のまま、届く事ないはずのストーリーと思いをぶっちゃけた先には 二人の時間が現れた

ぎゅっと抱きしめられ、流れる涙と一緒に、解けていく心。何年も縛り続けたストーリーは、渓に向けて言葉になっていくほどに、恋愛の爽やかな香りではなく 深煎りのコーヒーのように
ほろ苦さを纏っていった。
心の中に閉じ込めた時間が長かった分 深いものになってしまっていた。

私への 渓の言葉は
その場に現れ 冷えた空気のなかに
静かに現れ ゆらめき 何事もなかったかのように 解けていったようにみえた
もう 想いを止めてしまわないようにと
彼なりの優しさと思いながらも
その消えゆく言葉を つかまえていたかった。

「消えるから美しいんだ」と言い聞かせる

もう 渓の想いは ゆらめきとけた 湯気のようにもうここにはない

珈琲は飲み干されても漂う香りのように、私はまだ彼に想いを向けている。
そう もうすぐその想いも消えてゆく。

ほぼみゆさんの冒険↓

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