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はじめてのコメダ

今では上場も果たし全国にあるコメダ。

でも僕には特別なコメダがあります。それがコメダ珈琲本店。

誰しも思い出の場所ってあるのではないかと思いますが、僕にとってコメダ本店は亡きおじいちゃんとの思い出の場所でした。


今からもう30年以上前、僕がまだ5歳くらいの頃、おじいちゃんにはじめて連れていってもらったのが、コメダ本店です。


お墓参りだったかな、その終わりに連れて行ったのが初めてだったと思います。

はじめて座るあの深みのある赤いソファ、まだタバコの煙が香る座席。

すべてが僕の中で新鮮でした。


おじいちゃんが頼んだのは「シノロワール」という一品。

ふわふわで温かいデニッシュ生地の上に、こんもりのったソフトクリーム。

メイプルシロップをグワッとかけるおやつは年長の僕には衝撃的でした。

それと同じで頼んでくれたのは「クリームソーダ」コメダのクリームソーダは、長靴の形をした独創的なコップで、そのうえにまたこんもりとソフトクリームがのっている、まさに子供からしたら夢の飲み物でした。


珍しそうに見る自分を嬉しそうに微笑むおじいちゃん。

それから何度も何度もお墓参りやなにか特別なことがあった日には「コメダに行こう」というおじいちゃんの提案が自分は大好きで、本当によく行きました。

二十歳を過ぎ、成人になるとコメダ本店には友達とよく行くようになりました。

コメダ本店は当時は遅くまで(確か1時くらい)営業していたため、友達と恋愛のことや他愛もないことを話すときによく行っていました。

それでも心の中ではここはおじいちゃんとの場所。

その頃にはもうおじいちゃんとはコメダに行くことはなくなってしまっていたけど、まだまだ心の奥底には当時の思い出が残ったままでした。


おじいちゃんが亡くなって10年が経ち、僕の息子も当時の年齢に近くなりました。

「今日はコメダに行こう」ゴールデンウィーク最後の日、僕から妻に提案しシロノワールを食べに行くことにしました。

当時と比べればコメダはどこにでもあります。

特に名古屋は、本当にコメダばっかり。いつもはこだわりのない僕ですが、今日だけはどうしてもコメダ本店に行きたかったので、妻にお願いし本店でお茶をすることになりました。


はじめてのシロノワール、はじめてのオレンジジュース(オレンジジュースもかわいいコップで提供されて好きです)は、息子の目にどう映ったのかは、わかりません。

親のエゴかもしれませんが、自分の思い出の場所で、自分の後世にも同じ思いを伝えることができることにどこか感慨深く、そして天国にいるおじいちゃんが微笑ましく見てくれているような気がしてならなかったです。


飲食業は難しく、ずっと続くのは厳しい世界だと思います。

それでも続いてくれたコメダに感謝です。いつか僕の子供がまた大人になって、子供ができはじめての喫茶店にコメダ本店を選んでくれるといいな。


あなたにはこんな思い出のお店、ありますか?

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