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埋没法の(クリニックにとって)不都合な真実

こんにちは城本クリニック 福岡院院長の小川です。初めてNOTEを書きます。すべて地方でコツコツやってる一美容外科医の私見ですので、参考までにとお考え下さい。こちらの内容に関する責任は一切負いかねますので、ご了承ください。さて、これまで2万件以上の埋没法を経験してきました。現在勤務している城本クリニックでは、埋没法の施術にオプションで永久保証を付与することが可能です。そのため、何か経過に不都合のあった患者様は、保証があるため当院に戻ってきてくれます。その中で、埋没法の中長期的な経過をしっかり見させていただいております。今回はその中でも

①重瞼消失、部分消失

②感染、糸露出などのリスク

③抜糸に関して

④切開法時の所見


などを、少し詳しく掘り下げてみたいと思います。その中には埋没法を高く売りたいクリニックにとっては不都合な真実も含まれますので、是非参考にしてください。

①重瞼消失、部分消失に関して

まず埋没法はいずれ取れる可能性が高い施術であると認識するべきです。なので、永遠かのような名前を付けること自体がナンセンスです。そもそも5年以降の長期経過なんてデータとして取れる可能性は低く、取れても自分のクリニックに戻ってこない可能性もあります。現場での肌感覚としては5年しっかり持つことがまず大事であり、その後は年々緩んでくるリスクはあるが付き合っていくという考えが重要です。20年後に急に取れたなんて人もいれば、30年前に行った埋没法がきっかけで二重が残っている人もいます。

そもそも論ですが、埋没法が取れるってどういう状態でしょうか?

取れる、元に戻る

なんて表現されますが、

そもそも埋没法の糸が奥に引き込む力を残してくれてて二重になっているのか、

もしくは

そこで癖がついて二重になったのか、

なんて証明できないです。5年以上経過している人の中には、もう癖がついていて取れない人もいるでしょう。抜糸してみて、二重の形が変化するかどうかをチェックする以外は、糸の影響か癖がついたのかはわかりません。

さて、どんな方法が元に戻りにくいのでしょうか?

同じ点数や糸の本数で比較した場合は

挙筋法>瞼板法

線留め>点留め

皮膚側結紮>結膜側結紮

結紮(結び目が)の数に比例

だと思います。

私も美容外科医の初期は瞼板法で何千件も手術していましたが、現在は挙筋法に変え、また線留めの皮膚側結紮にこだわっています。

皮膚を二重の横線としてしっかり引き込み続けるには、しっかり横に二重の線を拾える線留めが有効で、かつ結び目を浅い層に意図的に残せる挙筋法が持続やデザイン性には有用です。また、結膜側からのみ埋没糸を掛ける方法では、皮膚そのものをしっかりすくう事ができず、また皮膚側の結び目で引き込むこともできないので、同じような留め方でも皮膚側結紮より持続が短い傾向にあります。点留めは、綺麗にラインを線として引き込めないのでお勧めできません。また一番イマイチな方法が瞼板法の点留めで、強烈に結紮する必要があるため、瞼上組織という深い所に結び目がきます。皮膚を切り裂き、眼輪筋を貫通し、皮膚を引き込むこともかなわない深部に結び目が来るという存在価値が?な方法です。腫れる、組織痛める、取れるのオンパレードです。私としては、腫れが少ない、持続もそこそこ良好、組織を挫滅させない、抜糸もしやすいデザイン性に優れている点より、挙筋法線留めにこだわって手術を行っています。本当はマルチプルノット法のように結紮(むずび目)数を増やしたいのですが、線留めで結び目を増やして複雑なかけかたをすれば、抜糸が困難です。埋没法は抜糸のしやすさも重要なので、1本の糸で何個も結び目を作るマルチプルノットは現在は行っておりません(裏メニューとしてます)。

さて、当院でみている限り挙筋法線留めで比較した場合は、糸の本数や、結紮数が増えたほうが、5年以内の中期的な経過としては持続が良好なようです。もちろん、糸や結び目を無駄に増やすことは推奨されませんが、シンプルすぎる方法もやはり取れやすいと思いますので、そのあたりは患者様とのカウンセリングにて相談しながら決定していただくといったところでしょうか。

②感染、糸露出に関して

術後合併症として、糸の不十分な埋没もしくは感染による糸露出が挙げられます。糸そのものが皮膚の表面から出てしまっている場合は自然治癒しませんので、抜糸して、場合によっては抗生剤治療などを併称して感染や腫れが落ち着いた後に再手術が必要となります。また瞼の裏から糸が出ている場合は強烈な異物感や充血症状が出ますので、早めに担当医に見せて抜糸してもらいましょう。特に角膜が傷つくと視力視野障害の原因になりますので、必ずすぐに抜糸をしてもらってください。1%未満の可能性の合併症ですが、確実に0にできるものでもないので、何かあったらすぐに担当したクリニックに見せに行ける体制が必要です。

③抜糸に関して

埋没は10分程度の手術で腫れも少なく綺麗な二重になるという事で、お手軽なプチ整形として位置づけられますが、プチ整形のもう一つの定義の何かあった時に元に戻せる点や修正が容易な点に着目してください。しかしそのためには抜糸が容易な事が重要です。ある程度強く糸を縛るタイプの方法では、埋没した糸の結び目が瞼の奥深くに埋入し、抜糸が極めて困難です。また、結膜側結紮も同様で、やはり抜糸困難な代表例です。また先述のマルチプルノットも同様に抜糸が困難な方法として有名です。マルチプルノット法では抜糸は困難な反面持続性はありますので、リスクをおってでも行いたい方はいらっしゃいます。しかしそれ以外の方法は持続もイマイチなので、あえて抜糸困難なリスクをおかしてまで受ける必要性があるのかどうか?しっかり考えて施術を受けることが重要です。ただし、どのような方法でも何年も経過した後に抜糸するのは困難であることも最後に付け加えておきますね。糸の色も透明になり、二重の線の真下にもいなくなりますので、抜糸するなら施術した医師で早めがいいと思ってくださいね。

④切開時の所見

私の特徴として埋没法も多いですが、全切開も非常に多く、自験例も他クリニック様の埋没法術後の全切開もほとんど毎日経験します。そこでは、ほとんど埋没法は取れているのに、組織はずたずたに傷んでいるなんて事はよくあります。先述の通り、瞼板法の点留めは非常に組織を痛めている印象です。思いっきり変な癒着や穴は組織に存在するのに跡形もなく二重は取れている事が多く、お勧めしないですね。あとは、切らない脂肪取りと言われる脱脂も全切開時にやりにくくする原因です。そもそも脱脂なんて埋没法と併用する必要がある方はほんの一握りで、眼窩脂肪を取った方が埋没法が緩みやすくなる可能性も示唆されており、私も自験例ではそういった傾向にありました。また瞼の厚みは眼窩脂肪が原因ではない事も多く、スッキリさせる事にも寄与しません。なので、埋没法時に脱脂が必要かどうかはしっかり検討されてくださいね。あと、何度も埋没法を繰り返している人の全切開も非常にやりにくいです。全切開の修正か?くらいに思う瞼の方もいるので、安易に埋没法を繰り返すのも辞めましょう。僕ら医者も止めるべきです。


最後に悪徳クリニックに騙されない

埋没法は方法が多岐にわたり、そのため、施術にランクを付けることができるので、悪徳美容外科がぼったくりの手段として目をつけやすい手術です。

瞼板法点留めを1万円以下の安い価格で広告をだし、

実際はそういった安い施術は目に悪いからと悪徳カウンセラーや悪徳医師が必死の説得を行い、キラキラネームのついた高額な埋没法(20万以上は出高いと思います)に誘導するといった事が日常茶飯事に行われています。今この瞬間も絶対に行われています。そして、その高額な埋没法すらあまり価値のない手段で提供されていたりするのです。

悪徳クリニックや悪徳医師がいなくなればいいのですが、すぐにはそのような状況にならないのが残念な実情です。そのため、自分の身は自分で守るしかありません。予算を決め、それ以上は絶対に出さない。カウンセラーが出てきたら帰るくらいの心の強さを持ち、埋没法に関して上記内容くらいの知識を持っておくと理論武装出来ていいと思います。

長くなりましたが、ここまで私見たっぷりの埋没法記事を読んでくれてありがとうございました。内容に責任は持てませんが自信はあります。日本のどこで埋没法を受けても後悔しないために、少しでも参考になれば幸いです。






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