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#37 「言わない」「怒らない」日本人女性たちの本音

わたしと娘のベビ子は顔がよく似ている。
彼女の方が顔が小さかったり、わたしの方が鼻が高かったり、多少の差異はあれど、母娘であるのは一目瞭然だ。

この頃はお互い可愛かったな…

また、ベビ子にはわたしの胴長短足のウェーブ体型がそっくりそのまま受け継がれてしまい、二人でローテーブルのおしゃれカフェへ行くと、座高が高すぎて食べ物がうまく口に運べず、母娘でボロボロこぼしまくるなんてことがある。

そして、そんなわたしたちはどうやら、ダメンズと付き合う遺伝子までもを共有してしまったようだ。

つまり、ベビ子の初彼・まさおは、世にいうチャラ男だったようである。 
そんなベビ子に今、母から贈る言葉ーーー。

うん、ドンマイ。

キャラ設定上、時に過干渉な母風を醸し出すこともあるが、実際のところ、成人した娘の恋愛に口を出すほどわたしは暇ではない。
そんな暇があるなら、むしろ、自分の再婚相手を探しだしたい。

とか言いながら、娘の恋愛をネタに、こうして長たらしい日記を書いているのはどういうことかといえば、
ベビ子の恋愛行動に、現代日本の若者、特に女性の性格的特徴の片鱗をみて、社会学的な関心を抱いたからだ。
(キリッ…👓インテリ風)

沈黙する日本人女性たちの腹の中

ベビ子と新宿・鼎泰豊。ここのハイボールは神です

という訳で、この極めてプライベートかつしょーもない話題に、どうにか読み物的要素を持たせて日記にするため、いつもわたしが仕事のサポートをお願いしているスーパーインテリ・ジー先生(復旦大学卒・蘇州大学教授)に会って、ベビ子の恋愛行動を考察してみた。

わたし🐼「娘の初彼が遊び人だったみたいで…」
ジー先生🧑‍🏫「どのように?」

わたし🐼「娘と付き合いながら、マッチングアプリで他に遊ぶ女の子を探していたみたいです

ジー先生🧑‍🏫「なるほど。では、彼らはもう別れたのですか?」
わたし🐼「いえ、それが、娘は彼が遊んでいることに1か月前から気づいていながら、彼にはまだ何も言っていないんです」

ジー先生🧑‍🏫「それは、なぜですか?」
わたし「彼を批判しても、意味がないと考えるからです。そんな人は、またきっと遊びを繰り返すでしょう。もし今、娘が彼に浮気を指摘したら、その場しのぎで謝られて、ほだされて、無意味な時間が長引くと考えているようです」

ジー先生🧑‍🏫「ほう…それは興味深いです…。日本人女性は感情のコントロールが上手で辛抱強いのですね。中国人女性ならきっと、即座に怒鳴り散らすか、相手に避ける隙を与えずに近くにある物を投げつけています。でも、娘さんはなぜ無意味だと自覚している付き合いをやめないのですか?」

わたし🐼「初めての恋愛で、誰かと一緒にいる心地よさを知ってしまったからかと…。潔くひとりになれないという点で、彼女は強くないんです」

ジー先生🧑‍🏫「では、その信頼できない彼といつまで付き合うつもりなのですか」

わたし🐼「あ、強くないといいましたが、やっぱり撤回します。彼がマッチングアプリに登録していることに気づいた娘は、その日のうちに同じアプリに登録して、彼をブロックしました。それは、彼に自分のプロフィールを見せないためにです。で、そのアプリで新しい恋人が見つかったら、彼と別れるつもりなのだそうです」

ジー先生🧑‍🏫「なんと…日本人女性は物静かでありながら、おそろしい計画実行性を持っているんですね…。自分のメンタル管理を最優先して、相手とのコミュニケーションのタイミングをはかるということでしょうか

わたし🐼「かもしれません。実際のところ、裏切られたダメージは相当あったようなので、よく感情を押しころして粛々と行動できたなと我が娘ながら感心します」

ジー先生🧑‍🏫「日本人の若者、特に女性の思考行動パターンは実に面白いですね。勉強になります」

よく泣く日本人、あんまり泣かない中国人

わたしは夜な夜なストレス発散に一人で泣いてます

ところで、中国では街中や駅など、公共の場で罵声が飛び交う激しい喧嘩を繰り広げるカップルを見かけることがある。
それを中国人の友達に伝えると、逆に「日本人ってあんま感情や本音出さないよね」と言い返されたりする。
自分の感情をストレートに表すことに寛容な国では、「ネガティブな感情はまず一度、自分で飲み込んでみる」という日本人らしい自制の習性が、理解し難いのかもしれない。

で、こういった中国人友達からの指摘は受け入れつつ、一方でわたしが海外に出て思うのは、「日本人ってよく泣くよな」ということだ。
それと同時に、「中国人ってあんまり泣かないな」とも思う。

家族が亡くなる(お葬式含む)、失恋する、失業する、失敗する、あらゆる悲しいシーンにおいて、わたしは中国人が日本人のようにメソメソ/シクシク/おんおん泣いている姿を見たことがないのである。
(失恋して泣いて電話をかけてくる友達はいた)

それはきっと、中国人が日本人より悲しみを感じにくいということではなく、中国では「人前で泣くハードル」が日本より高いからなのではないかと思う。

その点、日本社会は涙に寛容だ。

中年男性アナウンサーがニュースを読みながら泣いてしまったり、甲子園球児が試合に敗れて涙する姿、不正を謝罪する会社代表の涙、日本には涙が溢れている。
感極まって泣く人を、多くの人は「まあ、そういうこともあるよね」と、温かい目で見守っている。
だから、みんな安心して泣く。

「怒り」の感情に出来るだけ自己解決で対処する日本人には、ストレス発散のためにも「泣く」というガス抜きが留保されているのかもしれないなと思う。

ということで早速、傷心のベビ子に胸を貸しに仙台までいこうとしたわたしは、
「来週には新しい彼氏ができてるはずだから、来なくていい」
と、バッサリ振られたのであった…。

シン・日本人は、怒らないだけでなく、「ちょっとやそっとじゃ泣かない」新形態にまで進化しつつあるようである…。
令和を強くしなやかに生きろよ…ベビ子。

おわり


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