見出し画像

陰キャ大学生のaiko歌詞解釈 ~恋堕ちる時~


『恋堕ちる時』


“ 恋に堕ちる”なんと素敵な響きなのでしょうか。
好きという感情が芽生えたならそこでもう終わり。
もう底なし沼に足を踏み入れているのです。

恋堕ちる時いつかいつか涙四角いあぶくになる
悲しみ抜け殻拾い集めてやっと一番優しくなる


曲中に3回出てくる”恋堕ちる時いつかいつか 涙四角いあぶくになる”一件デタラメに感じるこの歌詞は、恋に堕ちた自分を客観視し、恋愛が成就しなかったとしても落ち込まないように、強がっている若い少女がイメージされます。

“形のない涙が四角い泡になってしまった。
不確かなだった想いが確かな物になってしまった。
あなたへの想いは必ず自分の糧になる。
もしダメでも大丈夫。きっとあたしは大丈夫。

"心のプライドー途なあたし今日も悲劇にかられて
海よりも深く泣いたでしょ溺れてゆく貝になって
水の中の深い所歩いて逢えなくても
流れる砂も泳ぐ魚が届けてくれるでしょう

この少女は少し強がりなようで、まるで少女マンガの主人公のようです。「あんたなんて絶対好きにならないんだからね!」と思っていた相手を好きになってしまったといったところでしょうか。
どうやら、胸をえぐるような出来事が起きてしまったようです。あなたが他の子を可愛いと言っていた。そのような些細な出来事も少女にとっては猛毒。妄想はぐるぐる頭の中を回る。いつのまにか海の水量を超えるくらい泣いてしまい、その涙で溺れてしまう少女。
深夜に余計なことまで考えて自己嫌悪に陥る自分を見ているようです。
けれどもこの少女には希望があります。
真っ暗闇を歩いていた少女に魚というキーパーソンが何かを届けてくれたようです。少女マンガでいう「クリスマスに映画のペアチケット余ったんだ!2人で行ってきなよ!」とか言う友達ポジションとも捉えられますし、楽曲『花火 』に登場する天使のような心の中にいる潜在意識の1種かもしれません。とにかくそのような猛毒も彼女には効かなかったようです。恋する乙女は強い。

右の耳から左の耳たぶまでずっとなでてほしくて
偉大な誰かの愛の言葉くつがえします

少女の想いは日に日に膨れ上がっていきます。
まだ告白もしていないのにあなたにしてもらいたいことがどんどん増えていくのです。
偉い人の哲学じみた言葉は少女には響かなかったようですね。

恋堕ちる時いつかいつか涙四角いあぶくになる
怪獣ぬけがら拾い集めて少し笑えました

歌い出しと同じかと思いきや、悲しみの抜け殻が怪獣の抜け殻になっています。"少し笑えました”何も進歩も後退もしない今の現状に何をやっているんだろうと呆れてしまったようです。ここを境に少女は想いを行動に移すことになります。

類杖ついて考えてみたどうすればいいのかを
溜息を飲んで鏡みた大切な事伝えなくちゃ
見つめられる前にあたしが見つめる
ねえ気付いてほしくて
近づいて触れてあなたのうぶ毛にロづけてみたい


先生の話はどこヘやら。授業中の少女は聞く耳を持ちません。頬杖をつきながら考えるのはあなたの事ばかり。家に帰った少女はついに鏡の前で告白の練習をするのです。
可愛く笑えているか、髪型はどんなにしよう…幸せな悩みですね。
(あたしはあなたの事をこんなに見ているのにどうしてあなたは気付いてくれないの?)
少しの苛立ちすら覚えている少女。
あなたへの欲求はワンコーラスのときよりも過激なものになっていきます。もう恋心は止まらない。

例えばその腕その手のひらを大きく広げてくれたならあたしの尽きない話をずっと聞いてくれればなあ

サビ部分が変更されました。
あなたに抱きしめられたい。あなたとずっと話していたい。少女にはもう悪い未来を考える隙間もないのです。
あなたへの想いはより確かな物へと着々と変化をしていきます。

恋堕ちる時いつかいつか涙四角いあぶくになる
悲しみぬけがら拾い集めてやっと一番優しくなる

告白の前に少女はこれまでの出来事を振り返ります。
歌い出しとは違う確かな想いがあるようです。
不安を考えるよりも、あなたとの時間を過ごしたい。
恋心は何もかも吹き飛ばし、純粋な愛が残りました。
そして彼女はこう告げるのです。

たとえばその腕耳のうしろのにおいがのどを通ったなら
あたしはあなたなしでは生きてゆけない体になるだろう

“たとえば”と冒頭につけるいじらしさ。少女の照れや恥じらいがこの4文字からヒシヒシと伝わってきます。告白には少々重いようにも感じますが、これが彼女の精一杯の告白なのでしょう。果たして恋は成就するのか。それは誰にもわかりませんが、それを聞くのは野暮というもの。少女に幸せな未来が訪れることを祈りましょう。(終)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?