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宇都宮けんじ街頭演説 文字起こし2020/06/13国立駅前

 みなさん、こんにちは。ご紹介いただきました宇都宮けんじといいます。今日は午後1時から立川の北口で街頭宣伝。3密に気をつけながらですね、街頭宣伝やってきました。その後「さんきゅうハウス」という生活困窮者を支援するところに行きまして、「さんきゅうハウス」の運営をしている方からお話を聴いてきました。やはり、コロナ感染症の拡大でいろんな方が相談に来られている、そういうような話を聴きました。たいへん美味しいお弁当をそこでいただきまして、それから先ほどは国立の「Jikka」、女性の居場所作りをされている、そこでDV被害者の女性の支援問題等についていろいろお話を聴いてきました。たいへん勉強になりました。

 みなさん、もう報道でご存じだと思いますけど、私、宇都宮けんじは5月25日にツイッターで出馬表明をさせていただきまして、5月27日に都庁の記者クラブで都知事選出馬の記者会見をさせていただきました。たった一人でそのときは記者会見をやりまして。政党の方とはあまり相談をしないままに、出馬の会見をやったんですけど、その後、みなさんご存じだと思いますけど、立憲民主党・日本共産党・社民党・新社会党・緑の党、こういう政党から支援の決定をいただきました。そしてその後、さまざまな市民団体・労働団体から支援応援の決定をいただいておりまして、本当に支援の輪が広がって、たいへん有難く心強く思ってます。私たちの選対というのは弱小選対なんですけど、選対のみんなも政党の支援の広がり、市民団体・労働団体の支援が広がって、たいへん喜んでおります。心強い応援の輪が広がっているなと思っております。

 5月27日に記者会見したときに、今回の都知事選は生存権がかかった、都民一人一人の生存権がかかった選挙になる、そういう選挙にしなきゃいけないんだ、ということを強調してまいりました。コロナ感染症の拡大によって国や東京都は自粛や休業要請を行いまして、その結果ですね、多くの人が仕事を失い、住まいを失い、また営業が困難になって、生活や命がおびやかされております。

 とりわけ、今回のコロナ感染症の拡大による影響は、私は、社会的経済的に困難を抱えている人に大きなしわよせを与えていると思っております。都内では、私も支援活動等に参加しましたけど、ネットカフェで寝泊まりしていた人、そこに住居をおいて派遣やパート・アルバイトで働いてた人が4000人近くになるんですね。これ、東京都が数年前に調査してます。そういう人たちが、休業要請がなされましたので、ネットカフェから追い出されてしまいました。一部は東京都がビジネスホテルを用意して受け入れているんですけど、それは400人ちょっとなんですね。だから、どうしてもそういうところに入れなくて、路上に出てしまうような方がたくさんいます。

 で、そういう人たちを支援する活動が首都圏で行われております。「反貧困ネットワーク」が呼びかけて、3月24日に「コロナ災害緊急アクション」というのが立ち上がって、さまざまな生活困窮者支援団体、あるいは首都圏の地方議員を中心に支援活動が広がっておりまして。このコロナ対応緊急アクションの立ち上げに伴って、私たちは「緊急ささえあい基金」というのを呼びかけたんですけど、直近の数字は1200人を超える人から5600万円を超えるお金が寄付で寄せられています。その金額とか数を見て、私は「日本は捨てたもんじゃないな」と。こういうあったかい人たちがいるから、そういう人たちのところに日本の希望があるんじゃないかと思ってます。

 このお金は、住まいを失った人たちが生活保護の申請をするときなんかに、生活保護の申請をしてもすぐに生活保護の支給はされませんので、数日間ホテルなんかに泊る費用とか、それからその間の生活費なんかで支援資金として使われております。貴重な寄付が人々の命をつなぐために使われてる。そこに大きな寄付が寄せられてるというのは、たいへん心強いなというふうに思っております。

 それから、そういう支援活動をやるのは、行政とか東京都が先頭に立ってやらなきゃいけないと思うんですけど、実際に今やってるのは民間団体ですね。志のある民間団体がやって、私たちは相談会をやっている。東京都は今、ビジネスホテルを用意してネットカフェで宿泊している人を400~500人は受け入れているんですけど、その人たちはホテルから出されたらまた路上に帰るとかですね、その後の生活をどうしていいかわからないわけです。

 その相談会のチラシをビジネスホテルに置かせてもらいたいと申し入れをしたら、どこの馬の骨かわからない団体、民間の団体がやるチラシは置かせられないと、拒否したんです。それに対して抗議の申し入れをしたんですけど。本来はそういう都民の命を守る仕事は東京都が先頭に立ってやるべきだと思うんですけど、そのへんが十分にやられてないというのは大問題だと思うんですね。

 だから、今回のコロナ感染症の拡大でさまざまな人に影響が出てますけど、最も困難を抱えている人に対する手が差しのべられてないというのを、たいへん強く感じます。4月の18、19日に弁護士や司法書士の仲間が「コロナ災害を乗り越える何でも相談会」というのをやったんですけども、全国で5000人以上の人が相談に来られたんです。実際は42万人が電話相談で、電話がとれないぐらいだったんです。

 その相談の多くが収入が減った、ローンや家賃が払えない、生活費がなくなったと。国民市民のうめき声、悲鳴が発せられたんですけども。その相談を受けている私たちは4月23日に国に対して緊急の要望書を提出しました。サブタイトルが「国民のうめき声を聴け」だったんですけど。そのとき厚労省の記者クラブの記者会見でも、私、お話ししたんですけれども、現場で起こっていることは、それこそうめき声が聴こえるんですね。ところが政府は、どうも緊急事態宣言出すわりには、そういう緊急性とか国民のうめき声が聴こえてるようには見えないですよね。

 一律10万円の給付ってことですけど、そういう給付が受けられたら、どれだけ一息つけるかと思える人がたくさんいるわけですけど、

(促されてフェイスガードを着用)

 これ、コロナ感染症対策の街宣用のもの。いろいろ選対事務所に支援が寄せられましたので、これをつけて話をさせていただきます。

 先ほども話しましたけど、一律10万円が、緊急事態宣言がもう解除されたのに、まだ届いてないですね。その10万円があればほっとするような人が、最も必要な時は4月や5月だったのにですね。6月、それこそ中旬なのに、まだ来てない。おまけにマスクなんかは、店頭にマスクが出まわったころ届いてるということで、非常に間が抜けてる政府ですね、やり方が。そしてそういう政治家のおかれている状況っていうのは、それこそ仕事がない、住まいを失った、あるいは営業を続けられない、こういう人たちの悲鳴とかうめき声を想像する力がないのかなと思うんです。全く国民の声を反映してないような政府のあり方だと思います。

 安倍政権にくらべれば、大阪の吉村知事とか、小池知事は非常によくやっているように、たぶん国民にはうつっていると思いますけど。中小業者の休業要請の協力金なんか出されたのは非常にいいと思いますけど、最も困難を抱えている人々に対する補償とか支援というものが、あまりにもないんですね。ネットカフェの寝泊まりしている人に対して一定のビジネスホテルを確保したっていうのは、それはいいんですけど、すべての人に確保していないんですね。4000人ネットカフェで寝泊まりしている人を確認してるのに、400~500人くらいしか用意してない。残りの人はどうするんだということですね。

 それから、中小業者に関しても、家賃が払えない、人件費が払えない、そういう方が増えてまして。先週、高円寺のGrainていうミニスタジオですかね、小さなイベントスタジオで学習会があったんですけど、そこでは私も何回も対談をやったり。それからGrainというところは沖縄の映画や原発の映画なんかをやって、地域のいろんな文化的社会的な活動の拠点だったと思いますけれど。そのオーナーに終わったあと聴いたら、ずっとここでやりたいんだけど、家賃が払えないって言うんですね。どうしても今の状況だと家賃が続かないので、残念だけど9月で店を閉めてしまうというんですね。こういう人が高円寺の商店街でもたくさん出てる。

 特に4月末にショッキングな事件が起こってるんですけど。練馬のトンカツ屋さんで火災事故が起こってるんですけど、その火災事故を調べた警察が店主の遺体を検証したところ、トンカツの油を頭からかぶった形跡があるってことで、もう展望をなくして焼身自殺したんじゃないかと言われてます。こういう人の命が守れないでいるというのが今の現状じゃないかと思うんですね。だから私は記者会見で都民一人一人の、それこそ命と暮らしを守りきる、そういう都政を確立しないといけないんだ、それが問われてるのが今回の選挙だということをお話ししました。

 それから、今回のコロナ問題が明らかにしてるのは、今までの社会のあり方が問われてるんじゃないかと思います。これまでの社会はいろんな見方、考え方、評価の仕方があると思いますけれども、私は国民や市民都民の一人一人の命や暮らし、それから人権よりも、経済効率性ばかりを優先した社会ではなかったかと。そういう社会のあり方の脆弱性があらわになったのが今回のコロナ災害じゃないかと思います。

 経済効率性だけを考えていると、日本は病院の統廃合をやりましたし、それから公衆衛生、感染症の問題では公衆衛生を担う拠点になるのは保健所なんですけど、東京都内では一番多いときは71カ所あった保健所が31カ所に減らされてますよね。23区内では多いときは53カ所あったようですけど、今は23カ所。つまり半分以下に減少してるんですね。

 そしてその結果、よく報道がありましたけど、当初PCR検査っていうのは保健所を通じて、保健所の判断で帰国者接触者外来にまわして検査するってことですけど、保健所の人員も数も減ってますから、パンク状態になりましたよね。そういうところでPCR検査を徹底することができなかった。こういうところも感染拡大を招いた大きな要因になってるんじゃないでしょうか。

 当時は熱が37.5℃が4日続かないと、なかなか受けられない。だからもう少し早く検査をやって陽性だとわかったら、救える命がかなりあったんではないかと思います。何人かの著名人も亡くなってますけども、本当に適切な対応がなされたかどうか、これは検証しなきゃいけないんじゃないかと思っております。

 それから、病院。医療従事者をはじめとしてエッセンシャルワーカーという言葉が広まってきましたよね。不可欠な労働者。今の社会を維持するために不可欠な労働者。医療従事者は私たちの命や健康を守ってくれる、その最前線に立ってる人ですけど、看護師さんからこういう電話をいただきました。「自分は感染患者をみてますので、家に帰ると家族に感染させるんじゃないかと思って。ホテルで泊まりながら病院に通勤してる」っていうんですね。ところがそのホテル代金は自腹で払っているというんですね。こういう負担をさせている。

 それから、あとエッセンシャルワーカーと言われる人は配達職員とか。いろんな生活に必要な物資を配達する運転手さんとか、スーパーの店員さんとか、清掃労働者とか、保健師さんとか保育士さんとか。こういう人たちはエッセンシャルワーカーと言われて、世界的に感謝の気持ちを伝えようという運動が広がってます。だけどそこで働いている人は、非正規で劣悪な労働条件であったり、先ほどの看護師さんみたいに自腹を切ってホテル代を出してる。こういうような状況におかれていることも、私たちは感謝の意を表明すると同時に、しっかりと見ておかなきゃいけないわけです。感謝をするだけでなくて医療従事者の待遇を改善していく、ホテル代なんかは当然行政、公的な資金で支援をしていく、あるいは配達労働者やスーパーの店員さん、清掃労働者、こういった人たちの待遇の改善を、感謝と同時にやらなきゃいけないと思っております。あらためて、エッセンシャルワークで働く人たちが、ちゃんと人間らしい生活ができるようにしていくことが必要なんじゃないかと思います。

 先ほど経済効率ばかりが優先する社会と言いましたけど、それは同時にあらゆる問題も自己責任、非正規労働者になったのは、正規労働者になれないのは、努力しなかったから、それから路上生活になったのは、住まいを失ったのは本人のせいだ、というような自己責任がまかりとおる社会だったんじゃないかと思います。こういう社会の転換こそ今求められてるんじゃないかと思います。

 で、これ日本だけじゃなくてアメリカもそうですよね。アメリカも日本以上に貧困と格差が広がっている社会で、かつアメリカには国民皆保険制度がありませんので、現在アメリカの感染者数は200万人を超えてます。そして死亡者は11万人を超えてます。この11万人というのはベトナム戦争で亡くなったアメリカの軍人の数よりもはるかに多い数です。そしてアメリカの感染者や死亡者は、低所得者・貧困層に集中しております。黒人というのは貧困者が多いですね。そして相対的に感染者や死亡者が多い。感染症のしわよせはアメリカ社会の貧困層に集中している。

 アメリカで警察官が黒人の首を押さえて死亡させたということで、全米で爆発的な抗議運動が広がってますけど、私は直接的な警察官の人種差別的な行動と同時に、アメリカ社会のひずみですね。一見超大国だけど非常に問題が多い。貧困と格差の広がり、人種差別、そういう構造的な矛盾が警察官の行動で一気に爆発したんじゃないかと思っております。だからコロナ感染症の拡大とともに、アメリカ社会もあり方が鋭く問われているんじゃないか。日本だけじゃなくてですね。

 これからの日本の社会っていうのは、自己責任を強調する社会、経済効率性だけを強調する社会でなくて、社会的連帯をもっと重視する、人々のつながり、地域のつながり、ささえあいをもっと重視する共同社会を構想しなきゃいけないと思っております。そういう意味で今回の都知事選というのは当面する都政の改革と同時に日本社会を変えていく、そういう第一歩にならなきゃいけないと思ってます。

 当然ですけど、首都東京を都民一人一人の命や暮らしを守る、そういう都政にしていくことは政府のあり方、今の政府を直撃することになりますよね。これは日本を変える。必ず日本全体の政治を変える契機になるような今回の選挙戦だと思います。ぜひみなさんといっしょになって、まず東京を変えて、そして日本の政治を根本的に変える、そういうきっかけにしていきたいと思います。そういう思いで今回の都知事選に私はのぞんでます。

 今度3度目の挑戦ですけど、3回も選挙戦の場に立てるってことは、自分はたいへん幸せ者だなぁと思っています。そしてみなさんといっしょになって、こういう運動ができるっていうのは、たいへん楽しいです。嬉しいです。

 運動は、下を向いてじめじめした、うつむいた暗い運動じゃだめですね。楽しく、日本の将来、東京都の将来は、私たち一人一人の運動にかかってるんだと。そういう思いでこの選挙戦をたたかいぬきたいと思ってますので、ぜひいっしょにこの運動の輪に参加していただけたらと思っております。7月5日まであと何週間ですか、ぜひ運動を一緒にやっていきましょう。

 それから最後にひとつ。ここに集まってる人たちは比較的リベラルな考え方の持ち主だと思います。記者会見のときも言いましたし、先日の大田区の街宣の時もお話ししたんですけど、今回のコロナ禍で仕事を失ったり、住まいを失ったり、営業が困難になったり、心が傷ついたりしてるっていうのは、保守や中道を支持する都民も同じなんですね。だから保守・中道・無党派の都民市民に届くような、私たちは、訴えと運動をやらなきゃいけないと思っております。そういう人たちを巻き込むような運動ができたときに、初めて選挙戦の勝機が出てくるんじゃないかと思います。

 そういう思いで、今日こちらに来られてない人に、お隣さんとか職場のみなさんにぜひ声をかけて、みなさん一人一人が、一票で社会を変えることができるんだ、ということを話していただければと思います。雨の中たいへん有難うございました。
(おわり)

音源:宇都宮けんじ 広報 さん(@utsukenpress)ツイキャスアーカイブより
https://twitcasting.tv/utsukenpress/movie/621848651 

写真:小野寺宏友 さん(@deluxe55)

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