30年前の旅、30年後の旅

沢木耕太郎さんの深夜特急シリーズを読んでいる。
東南アジアからインド、ヨーロッパに行く紀行文で、今から3,40年前のバックパッカーの様子が見られて面白い。

今では旅の必需品であるスマホもGoogleマップもないしクレジットカードすらも出てこない。

不便で情報が少ない旅だからこそ、人に頼らざるを得なくて自然とコミュニケーションが生まれたり、困難をどうにかして乗り切ることで達成感を得られる。

昨年私はヨーロッパを1人で周遊した。見知らぬ土地で言語も違うしそれなりに苦労したこともあったけど、正直楽なもんだった。宿は当日にでもネット予約、カード決済でいけるし、道に迷うこともそんなに無い。

いろんなところに効率よく行けて充実はしていたし、宿の写真も沢山ネットに載っているから失敗も少なくスマートな旅ができる。

30年前みたいな不便で冒険のような旅はしたくてももう難しい。画像や動画で事前に訪れる地を散々みてしまえば、既視感があって感動も薄れるかもしれない。一期一会の出会いから貴重な体験をする機会を逃してしまっているかもしれない。

(まぁ、情報がある分、好奇心が刺激されて旅に駆り立てられるともとれるけど。)

そう考えると、30年後もきっと旅のスタイルに大きな変化があるだろうから、今のような旅も今しか出来ないかもしれない。

VRと現実とのクオリティに差がなくなって、もう現地には行かなくていいやとなるのかな。悲しいな。

定年後は旅をしよう、とかかなりの機会損失になりそうだね。

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