2019.02.27 SELECTIVE HEARING :Interview with Perfume 日本語訳

掲載元:SELECTIVE HEARING

Perfume 4th World Tour Interview
Interview Date: February 25, 2019

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Interview with Perfume | Selective Hearing

日本のエレクトロポップグループPerfumeは前に進み続けている。
西脇綾香(あ〜ちゃん)・大本彩乃(のっち)・樫野有香(かしゆか)の3人は、2016年に全世界でリリースされ、ローリングストーンが年間ベストポップアルバム(※1)に選出したCOSMIC EXPLORERでリスナーと評論家たちを魅了した。国内のドームツアーを経て、北米でCOSMIC EXPLORERツアー(※2)を行った。

J-POPのアーティストにとって日本国内と海外の両方で十分な結果を残すことが困難を極める中で、2018年のPerfumeは新しい扉を探し続けていた。
NTTドコモの Future-Experimentライブでは、たとえメンバーそれぞれが別の都市に居たとしてもライブパフォーマンスが出来ることを体現し、昨年春のReframeでは新しいデジタルテクノロジーの活用の道を見出した。これらの特筆すべき二つのチャレンジのようにPrefumeのライブショーは最先端のテクノロジーとの融合の歩みを続けている。

さて、Furure PopはPrefumeにとって7枚目のフルアルバムとなる。
長きに渡りプロデューサーとして制作を担ってきた中田ヤスタカによって、エレクトロポップのサウンドにフューチャーベースの要素を足しながら、なおかつメンバーそれぞれのボーカルが際立つ作品に仕上げられている。
Future Popはとても野望に満ちたアルバムタイトルのように思えるかも知れないが、ひとたびPerfumeの世界観に身を置けば、なぜPerfumeの3人がポップミュージックの未来そのものであるかより明らかになるだろう。

Selective Hearingは彼女たちの4回目のワールドツアーFuture Popが幕を開けるこのタイミングで、Perfume自身のアルバムFuture Popに対する考えやコーチェラ2019について、そして海外展開の次なるプランについて話を聞いた。

Future Popの楽曲のファーストインプレッションは?

あ〜ちゃん:はじまりの”Start-Up”で、優しい音だなと思いました。絵本のはじまりのようで、ここから物語がはじまりそうな雰囲気。でも私がその物語に入っていくような感覚ではなくて、自分がこのアルバムと一緒に歩んでいるような気持ちです。旅のパートナーのように。中田さんはいつもいい意味で私たちを裏切ってくれます。音楽でいつも驚かせてくれるんです。歌をとっくに録っていたのに、アルバムの完成形を聴いて鳥肌が立つくらいに感動しました。

かしゆか:ほとんどあ〜ちゃんと同じ気持ちでした。新しい世界が拓けていくような感覚。アルバムを一番最初に聞いた時には、ほんとうに泣いてしまいました。アルバムをいただいて初めて聴くときには、いつもびっくりしたり、感動したりして来たはずなのですが。こんなに幸せな気持ちになって泣いてしまうなんて今までなかったことです。
今回、中田さんから曲順を見ずに、一番いい音響で聴いてと言われました。そしてとても曲順に驚きました。今までこんなことを中田さんが注文することはなかったんです。でも今となっては私たちに中田さんがどんな事を感じ取って欲しかったのか、理解できた気がします。

のっち:中田さんはいつも曲を作って、聴かせてくれるんです。何回も繰り返し曲を聴いてきましたが、ついにアルバムとして完成したものを聴いた時に、全く違うものだったんです!最終形態になったアルバムは、なんてキュートな音なんだろうとびっくりしました。

アルバムの制作過程について教えてください。

あ〜ちゃん:まず最初に一緒に食事をしながらアルバムについて打ち合わせをした時に、最後の5分になるまでアルバムの事を話しませんでした。中田さんはほとんど、お気に入りのYouTuberのヒカキンさんの話しかしなくて。どれほどまでにヒカキンさんがいいかっていう事をずっと喋ってて。私たちが最後にヒカキンさんにお会いしてからしばらく経っていたので。
最後の5分になって、中田さんが今フューチャーベースの曲に取り組んでいる事、そしてアルバムもフューチャーベース寄りの楽曲になって行くだろうとお話ししてくれました。
なので私たちも「わかりました、フューチャーベースバッキバキのアルバムが来るんですね。」と思っていたんです。でも実際には違ったんです。
曲を聴いてみて、「アニメのオープニング曲みたいだなぁ」とか「可愛い!」とかそんな風に感じていただいたと思うのですが。”Let Me Know”のメロディーとか。そして、私たちの歌が前に出る曲もたくさんありましたね。

”Future Pop”という言葉が指すものついて、どう感じていますか?

あ〜ちゃん:タイトルトラックの”Future Pop”は実際はアルバム制作の最後の最後にできた曲でした。曲を仕上げるまでに、中田さんと携わる人みんなで一ヶ月ほどを費やしていて、まとめ上げるまでに沢山の試行錯誤があったようでした。全ての人がフル回転していて、私たちはただ皆さんを信じてより素晴らしい曲が私たちのために出来上がるのを待つだけでした。
私たちは中田さんが新しいジャンルに向かおうとしているんだなと感じていて、そして成し遂げてくれた!中田さんは歴史を創る人なんだなって思いました。

のっち:私が”Future Pop”という言葉について思うのは、私たちがテレビや他のプラットフォームを通じて、もっとリスナーのど真ん中に”フューチャーベース”というジャンルを届けて行くことが大切だということです。中田さん自身ではそれがもう出来ていると思っています。
Future Popのアルバムで良い方向に行ってるなと思う事は、曲のバリエーションです。例えば”FUSION”と”Tiny Baby”のつなぎのところ、全く予想ができなかった形だったので私たちはほんとうに感激しました。

あ〜ちゃん:”If you wanna”をシングルでリリースする前に、どうしたらいいのか、チーム内で沢山の話し合いを重ねました。シングルでは出せないという人もいる中で、中田さんは何故今この曲をシングルで出すべきだと確信しているかを頑なに曲げなかったんです。振り返れば2007年のポリリズムの時のようでした。
いつでも自分の名前で曲をリリースできるけど、Perfumeを通して、J-POPとしてリリースする事に意味があると言っていました。そのほうがより大きな爪痕を残せると。この大切な曲をPerfumeで出したいんだという中田さんの姿に心を動かされました。

のっち:歌のコーラス部分に、一番重要なパートですが、たとえ歌詞が付いていなかったとしてもね!

あ〜ちゃん:そうして、最終的にはみんなが中田さんと同じ船に乗りました。リリースした後は、こちら側であっても、ゆっくり反応が帰ってくるような雰囲気でした。でも時間とともに、更に楽曲をリリースしたりファンクラブツアーでパフォーマンスを重ねていきながら、私たちと一緒に曲が育ってきてくれたんです。自分たちの手で、生き物のように曲を育てた、という感覚です。
デモをもらった時、”If you wanna”と”Everyday”が同じCDに収録されていました。”Everyday”の方が、TV向けで、主流の音楽だと思います。だからこそ、”If you wanna”をA面でリリースしなきゃいけないと。これが世界では人気がある音なんだよって、知らないかもしれないけど、って中田さんが教えてくれました。どういう状況なのかを示すために、フェスのビデオを見せてくださったんです。「ね、こんなに盛り上がってるでしょ?」って。まるで先生のようでした。

Future Popのアルバム製作中、中田さんとの関係性はどうでしたか?

あ〜ちゃん:音楽について、一番中田さんとお話ししたアルバムでした。中田さんはほんと音楽オタクです!
特定のサウンドに定義づけて製作しているわけではありません。自分の最高の楽曲をPerfumeのものとしてリリースしようとも思っていなくて。中田さんはいつも一番いい音楽の届け方をいつも考えています。そして、懐かしさのようなものを楽曲に取り入れるようにしているとも教えてくれました。だから私は、私たちがいつも中田さんといつも繋がっているんだなと思えました。

かしゆか:グループとして、そしてチームとして考えると、”FUSION”を3つの異なる国で同時にパフォーマンスしたことはほんとうに重要なことでした。誰も成功するかどうかをわからない。全部が実験だったんです。でもチームを信頼するしかない。そして、”FUSION”のパフォーマンスのあとチームとして私たちはより強くなりました。もっとチームを信頼できるようになりました。
それまでは、いつも3人で一つだったんです。この時も、そしてその後も沢山の挑戦を乗り越えなければいけなかったのですが、何か安心感のようなものを感じられるようになりました。このチームなら、どんな事でも出来ると思えるからです。
より強くもなりましたが、もっと自由にもなれました。20代の頃は大きなプレッシャーを背負って常に100%を出す必要がありました。でも今では経験することを楽しめています。トライ&エラーがもっと楽しくなりました。年齢を重ねていくことが本当に楽しいです。

あ〜ちゃん:私は常々、25歳(※)までに何かを成し遂げられなければ、失敗だって思ってきました。でも今では、年を重ねることが楽しいんだと気付きました。

のっち:Perfumeは初めて出会った日から、もっともっと仲良くなっています。この絆が友情を超えた何かになっていると感じています。

あ〜ちゃん:こんなふうにチームのことを想えるようになるって想像もできなかったですね。

Perfumeはここ数年の間にリリースとツアーを通じて世界のリスナーに手を差し伸べるチャンスを得てきました。Future Popでどのような新しい要素や側面の表現を楽しんで欲しいですか?

のっち:音楽だけに限らず、海外のファンの皆さんはこれまでの訪問を通して、私たちの個性を好きでいてくれています。でも、もしそうでなかったとしても、このアルバムを楽しんでいただけると思います。

かしゆか:日本語の歌詞がフューチャーベースの音楽に良く調和しているところが好きです。言葉遊びや、言葉と音楽の相互作用を楽しんでいただけたら嬉しいです。

あ〜ちゃん:ちょっと難しいことですけど、大きな車ででこぼこ道を爆走しながら、爆音でこのアルバムを聴いて欲しいです。そう、大きな車!東京では現実的にも普通車を運転するのだって道は狭くて、なのでせっかくだから大きな車でっていうことです。

1月に2019年のコーチェラのラインナップが発表されました。コーチェラでパフォーマンスする初の日本のガールズグループとなりました。どんなことを考えていますか?

かしゆか:コーチェラでは私たちの特別なパフォーマンスをご覧いただくことを楽しみにしています。例えば過去の私たちのドームツアーとは違うものになりますが、私たちの音楽は国境を越えて、コーチェラのお客様にもきっとうまく伝わると思っています。

あ〜ちゃん:いつどのタイミングでパフォーマンスをさせていただけるか、まだわからないので、私たちは、期待に応えられそうな、いくつかの驚きを提供できそうな仮のセットリストをまとめています。

海外でパフォーマンスする際に、オーディエンスのどんなところが好きですか?

あ〜ちゃん:アメリカのお客様は特に、とても表現力が豊かですね!私たちに向けて“I LOVE YOU SO MUCH PERFUME!”って言ってくださいます。こういうタイプのお客様は、なんとなく好きではなくて大好きなものは本当に愛してくれるし、一方で満足できないものに対してははっきりと嫌いと言います。なので、特別なセットリストを作ることが、分かりやすくもなるし、同時に挑戦も要求されますね。お客様が何を望んでいるかを知っていても、いざ驚かせようとすると、ちょっと難しくなります。

なぜ、U.S.ツアーでサンジョゼを選んだのでしょうか?

あ〜ちゃん:私たちはすっかりサンフランシスコが好きになりました。景色が綺麗で、街の雰囲気も楽しくて、そのエリアの近くに居たいと思いました。でもまだまだアメリカの新しい都市にもトライしたくて。
スタッフがロケーションを探して、そして可能性がある場所としてサンジョゼを提案してくれました。
アルカトラズ島に行ってみたいなー!

これまでに時々ライブで歌のアコースティックバージョンを披露していますね。
将来的に、それをスペシャルなシングルのB面や、アルバムまたはコンピレーションアルバムとして正式にリリースすることは検討しないのですか?

のっち:私たちの歌のアコースティックバージョンをB面としてリリースするとおっしゃいましたが、それは本当に考えたことがなかったですね。面白いと思います。そして私たちがセルフプロデュースをできるならいつかやってみたいなとは思います。

あ〜ちゃん:もし私たちがアコースティックで歌ったら、子供の歌のように聞こえると思うのですが、どうでしょう??

ステージを拝見する限りでは子供のような音声ではないと思います。でも、あなたの声はご自身の方法でもってとても特徴的に聞こえます。

あ〜ちゃん:では、もし、私たちの歌のアコースティックバージョンを聴きたいという方がいらっしゃったら、リリースもあるかもしれませんね。

これまでに多彩なアーティストとPrefume FES!!でコラボレーションされて来ましたね。(9nine、東京スカパラダイスオーケストラ、リップスライム)そしてOk GOともアメリカでご一緒されていました。他にコラボしたいアーティストは誰ですか?

のっち:声優の坂本真綾さんです。

かしゆか:Kraftwerkです。同じジャンルなのですが、Kraftwerkが音楽にアプローチして演奏する方法が私たちとは全く違うので、コラボレーション何を生み出すのかを見てみたいなと思います。

Los Angeles Dodgersのピッチャー前田健太選手は、過去2シーズンに渡ってPerfumeの曲を登場曲として使っています。今シーズンにもPerfumeの楽曲を使う計画はあるのでしょうか?

あ〜ちゃん:前田選手が2019シーズンには別の曲を使うという協議はありましたが、まだ現時点では決まっていません。球場に立つ時に前田選手を奮い立たせてくれる曲を、どんな曲でも選んでいただけたらと思います。

そういえば、コーチェラの翌日にはドジャースのホームゲームがありますね。ドジャースタジアムに行く予定はありますか?

あ〜ちゃん:はい、本当に行く計画をしたくて、そして願わくば前田選手の投球日だといいですね!

最後に、Perfumeのイベントがきっかけでとの言及もありました、NegiccoのNaoさんのご結婚についてコメントをお願いします。このように皆さんのライブショーがファンの人生に影響を与える事をどう感じていますか?

全員:本当に嬉しいです!

かしゆか:Naoさんと岡田さんの出会いのきっかけに少しでも関われたこと!そしてファンの方が私たちのライブをきっかけに幸せになってくれたらとても嬉しいです!私たちの音楽をきっかけに友達になったりカップルになったりというお話を聞くと、Perfumeもその幸せの一部になれたような気持ちになれます。

あ〜ちゃん:NegiccoさんとPerfumeは、これまでずっと、コラボレーションしたり、次のステップへ背中を押し合ったり、アイドルとしてそして友人としてお互いに支え合ってきました。Negiccoさんは今日までががむしゃらに走って来られたので、私たちはこれからも変わらずに応援しています。
空想委員会のメンバーは、素敵な方ばかりで、リードボーカルの三浦委員長を先頭に熱くお互いを支え合う素敵なグループです。あたたかい雰囲気を与えてくれるから、本当に超お似合いだなって思います。そして、Negiccoさん、空想委員会さん、おふたりともおめでとうございます!

<日本語訳ココまで。>

※この記事は2018年9月のインタビューの加筆版のようです。
※2016年 ローリングストーン年間ベストPOPアルバム20(16位)
https://www.rollingstone.com/music/music-lists/20-best-pop-albums-of-2016-107379/perfume-cosmic-explorer-119545/

※Perfume 6th Tour 2016 COSMIC EXPLORER
2016年5月3日〜7月3日 日本国内アリーナツアー
同年8月26日〜9月4日 アメリカツアー
同年10月22日〜11月12日 日本国内ドームエディション
参考URL:http://www.perfume-web.jp/cam/cosmicexplorer/index.html

※docomo ×Perfume FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。
https://youtu.be/lgdASCXJjNk

※Reframe

※25歳理論を研究せよ(Perfume Locks! 2014年2月放送後記)
前編: https://www.tfm.co.jp/lock/perfume/smartphone/index.php?itemid=2051&catid=23


後編: https://www.tfm.co.jp/lock/perfume/smartphone/index.php?itemid=2083&catid=23

※TV Bros. 5月号
「たちまち語リンピックせん?」
内にて言及があったアメリカのメディアのインタビューは、このインタビューだと思います(^^)