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コリーフェス感想レポート(書き手はanzr721推し)

東京ビッグサイトで開催された『コリーフェス』に行ってきました。

正しくは『coly 10th Anniversary Fes』で、主に女性向けのスマホゲームを展開する株式会社colyの設立10周年を記念したイベント。早い話が、

「顔の良い二次元の男たちのイラスト展示にグッズ販売、声優さんが登壇するステージなどがあるデカイベント」

です。まほやく、スタマイなど現役ゲーム作品やリリース目前のブレマイが注目される中……

私のお目当ては『アンドゼロ』。「一生ものの恋」を掲げ、光と闇の歌舞輝町を舞台に探偵や警察、医者たちとドツボみたいな恋愛をするゲームなのですが、なんとリリースから「半年」でゲームアプリのサービスが終了となりました。一生ものの恋とは……?

サービス終了は昨年2月。あれから約1年が経ちますが、アンゼロや最推しキャラ夏井さんのことを考えなかった日はありません。むしろ毎日考えている。

きっとそのうち、想う頻度は減っていく。あなたがいなくても大丈夫な私になっていく。別れの傷が癒えて、平気になる。それが怖い。平気になりたくない。

いつかは回復して、アンゼロに出会う前の日常に戻るのだろう、良い夢を見ていたと言える日が来るのだろう……と思っていたけれど、サービス提供期間よりも長かったこの1年、1日たりとも忘れたことはなかった。

祇園白川の桜と夕焼けも、豪雨で濁り散らかった鴨川も、歌舞輝町からは遠いけれど彼らと一緒に見た気がする。秋と冬はあまり外に出なかったけど、ささやかながら夏井さんの誕生日をお祝いしたし、今は誕生花のクロッカスを育てており、窓辺でぐんぐん緑の芽を伸ばしている。花が咲く気配は皆無だ。ひょろ長くて夏井さんに似てきた。

心の蓋を開ければ嗚咽が漏れる。傷口は今も新鮮で、赤黒い肉が見えるくらい。しかし涙は長引かない。実は、彼らを画面の中に取り戻したいとは、今はあまり思っていないのだ。

ファンなら1秒でも早いサービス再開を望んで当然……。それはそうなんだけれども。私の口から出すと、借りものの意見をコピペするような居心地の悪さを感じる。

毎日彼らのことを考えていて、大好きなのは間違いないのに、自分がとんでもなく薄情な人間に思えてきて、ものすごく嫌だ。私はすでに「あなたがいなくても大丈夫」になっているのではないか。

その答えが、2月17日と18日、2日間のコリーフェスで見つかった。あなたがいなくても大丈夫ではなく、「あなたがいるから大丈夫」なのだと、確信できた。

2月17日。小雨の京都から東海道新幹線で品川へ。

「着いたら起こして」と言って夏井おぬいは寝た。

東京は曇りまたは晴れという予報を信じ、傘は持って行かなかった。本当に東京は降らなかった。キッチンカーとトレーディングスペースは屋外なので、2日間雨が降らなかったのは私だけでなく全員が助かったと思う。

ビッグサイトは大きなイベントが無かったのか、入口の近くは閑散としていた。痛バの女性に遭遇することもなく、会場を間違えたのではないかと不安になった。「あっ、ビッグサイトと国際展示場って別物……?」と真剣な顔でググった。

しかしエスカレーターを上がってフェス会場の西3ホールの階に着いたとたん、世界は一変した。

そこには、総勢100名を超えるcoly作品に登場するキャラクターたちののぼりが並んでいた。アンゼロの13人もいる。涙が出た。馬鹿馬鹿しいと思われるだろうけど、泣いた。

オンエアはまだわかる。アンゼロは探偵、警察、医者。芸能人ではなく一般人だ。どちらかというと目立つのが不都合な一般人なのに大きくフルネームが書かれ、キメ顔が印刷されたのぼりは、解釈違いにやや近く、おふざけと受け取って笑うところなのだけれど、なぜか泣いた。理由はまったくわからない。涙腺のスイッチなんて、どこに付いているのかわかったものじゃない。

首に巻いた推し色のストールを、そっと引き上げる。泣いて赤く膨らんだ鼻を、ストールに埋めて隠した。

推しと推しぬい。警察だけど探偵風の服を作りました。

踵を返して、予定していたとおり屋外エリアへ向かう。私のチケットで入場できるのは13:00。早めに着いて、チケットが無くても入れる屋外エリアのキッチンカーを覗いておきたかった。

Xで流れてくるグッズ完売情報をRPしつつ、ドリンクの列に並ぶ。初日はブレマイのステージがあったからか、ブレマイの列が凄いことになっていた。列が折り返し折り返し折り返して隣のレジ(たしかオンエア)が見えなくなるほどだった。

キャラメル味のカフェラテ。1日目はあたたかい飲み物が嬉しい気温。

アンゼロはドラマトと同じレジだったものの列は短く、あまり並ばずにドリンクが買えた。キャラメル風味のカフェラテにマシュマロとホイップクリームがトッピングされ、ロゴつきのピックが刺さっている。

捨てられないのよ。

ちなみにこういうとき、ちょっとした装飾も捨てられない性格のため、手持ちのOPPに包んで持ち帰り洗って保管している。

印刷面が広く老眼にも見えやすい。

ドリンクのおまけというか、ドリンクがおまけというか、13種ランダムのコースターは夏井さんを自引き。(ここで運を使い切ったのか、缶バッジは友人分と合わせて30個買って、1個しか夏井さんが出ませんでした)

コースターは顔が大きく印刷されているので大好きなグッズだ。コリーカフェコラボのクリアコースターも大好き。順調に老眼が進行しているので、推しの顔は大きければ大きいほど良い。

曇り空の下、じっとしていると少しだけ肌寒さを感じる屋上で、コースターになった推しを眺めていたらあっという間に時間は過ぎた。入場時間が近くなり、待機列に並んでいざ西3ホールの会場へ。

夏井さんのグッズが残っていることを祈りながら、取り急ぎ物販の列に並ぶ。さっきから何かしらの列に並んだことばかり書いているが、現場とは何かと列に並ぶものなのだ。

ステージでの生演奏を遠くに聴きながら13時に入場すると、アンゼロのグッズ売り場はすでに空っぽに近い状態だった。かろうじて残っていたグッズを個数制限内で購入したけれど、缶バッジはあと50個くらいしか無さそうだった。

若人がおぬいにヘアゴムをつけているのを見て真似してみた。

そんななか、フェイスヘアゴム(通称生首ヘアゴム)の完売は遠そうだった。Xでグッズ情報が解禁されたとき、界隈を震撼させた生首ヘアゴム。長く在庫を持たせたという意味では良かったのかもしれない。

ブラインドのグッズは長椅子に座って開封し、自引きのできなさに割れるほどの歯ぎしりをした。交換してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

トレーディングスペースに繰り出す前に、アンゼロの展示エリアへ行った。ここからが本題だ。ようやく話が「あなたがいなくても大丈夫なのではなく、あなたがいるから大丈夫」に戻る。

アンゼロの展示エリアは小さめで、向かい合わせの壁に13人のイラストが1枚ずつ展示されていた。わずか13枚。されど……ね。されど……。あの半年間を共有していない人にはピンと来なくて当然なのだけれど、これは、凄く凄く特別なことだった。

なんせアンゼロのサービス提供期間は約半年。春に始まり秋のイベントで終了したため、クリスマス、バレンタイン、ホワイトデーも無く、恋愛ゲームのサビすら踊らせてもらえなかった。

キャラクターの人生を深掘りするイベント「信条」シリーズも一周せず、半数より少ない6人分しか提供されなかった。次に来る信条イベントのメインキャラは残る7人のうち誰なのか予想して遊んでいた矢先、サービス終了が発表され……。

やめよう。恨んだりはしていない。許せないのは、作り手の踏ん張る力になれなかった自分のほうだ。

そういうわけで半年遊んで、これからもっともっと楽しくなっていくんだ、美味しくなっていくんだとお腹を空けていたのに、続きはありません、とお皿を下げられてしまった。

信条シリーズが一周していないこともそうだし、類似の不平等感があちこちに埋まったまま更新が止まった。では別のゲームから栄養を摂取しますね、と切り替えることもできず、なんか、めちゃくちゃに痩せた。8キロ落ちた。

あれから1年。

フェスで展示されたのは、13人全員の信条シリーズのイラストだった。

既に公開されている6名に加え、未公開の7名分もそこにあった。平等に、公平に、余計な装飾も音楽もなく静かに展示されていた。アンゼロのエリアだけ美術館みたいだった。

そうだよ、彼らの命の他には何もいらない。絵の中の彼らは作り物ではなかったし、他人とも思えなかった。よく知る人が初めて見せてくれた顔だった。

13人それぞれの人生の一瞬を、写真のように切り取った信条イラストは、彼らが経験した時間を伝えてくる。いくら見つめても動かないけれど、視界の端にやったとたんに動き出す。13の映画が同時に、独立して進んでいく。というより、私が狭い部屋に閉じ込められているだけで、13の窓の向こうでは私の想像を超える物語が展開している。それを視界の端で感じていたし、目を閉じればより鮮明に見える気がした。

その物語を、今の私が知ることはできない。ファンとしては悔しがるべきところかもしれないけれど、私は……あまり思わないんだよね。

彼らの物語なのだから、彼らが話したくなったときに教えてもらえれば十分だ。私が生きているうちにその日が来なくても、彼らが秘匿を選んだということで。

家族や友人、パートナーでさえ、知らないことはいくらでもある。話したいことだけ話せばいいし、話したくないことは黙秘でもいいんじゃないかな。同じように、アンゼロのみんなのペースも尊重したい。秘密を知らないからって愛せないわけじゃない。

いつか私が彼らの過去を知るときが来るのか来ないのかわからないけれど、13の窓の向こうで、みんながきちんと生きていたのは確かだった。泣いて8キロ痩せてる場合ではない。あなたがいるから、私も生きていきたい。

今は、回り道の途中なのだと思う。壮絶な過去を背負う彼らの問題が解決する日が来ることを願うけれど、今は本編を逸れた長い回り道の途中。ずっと番外編。彼らと一緒だから、回り道だって愛おしい。だから、画面の中で新たな出来事が起こらなくても私は大丈夫なんだ。

これからも、1日も欠かさずあなたのことを考える。 悲しみを新鮮なまま味わい続けるためではなく、回り道を一緒に歩いていくために。

今年ももうすぐ祇園の桜が咲きます。マジックアワーに間に合うように、仕事を終わらせて集まろう。

ぬい撮りスポットとBIG田中さんの展示もありました。

話は2日目、2月18日のステージイベントに飛ぶ。興津和幸さん(山神さん)、浅利遼太さん(ジョージさん)、津田拓也さん(秋元さん)が登壇し、イベントの名台詞を演じたり、三本先生書き下ろしの朗読劇をされたり、2年近くご無沙汰のフルボイスストーリーが生で供給された。逆に窒息する。水だって飲み過ぎは体に悪いのに。

朗読劇は、バレンタインの終電のあと日○屋に集まって自然と反省会になる3人のお話。13人それぞれから主人公に贈り物をしたけれど、嬉しそうな反応がもらえなかったので落ち込む3人。すると主人公から連絡があり……?

ファンブックに収録されたりしそうなので、触りに留めておきますね。

ファンブックの続報も発表され、13人それぞれのストーリーと全員が登場するストーリーを三本先生が書き下ろして収録とのこと。さらに、三本先生書き下ろしのシナリオで展開するweb謎解きゲームのあらすじも公開されました。

続編はやっぱり嬉しいけれど、ゆっくり丁寧に、作り手側が納得できるものを作ってほしいと思っている。回り道も十分に愛おしいし、そう思える世界とキャラクターを創造してもらえただけで、いくら感謝してもし足りない。

さらに、結城さん、春野さんの特大アクリルスタンドを展示予定という謎情報も。司会のニッポン放送アナウンサー吉田尚記さんは、等身大に近い結構な大きさらしいと言っていましたが、それにしても5W1Hがひとつも含まれず、ステージにも客席にも「?」が浮かんだ。

最後、会場のみんなで合わせて「またねー!」でお別れとなりましたが、まったく合わせられず先走り、違うタイミングで叫んだ私。本当に恥ずかしかった。みんなで〇〇しよう、となったとき、合わせる方法がわからない。必ずズレる。

そしてもう1つ、私のポンコツっぷりが発揮される。

他にもたくさん買ったんだけど……。

買ったグッズを詰めた袋を、会場に置き忘れてきたのだ。

気づいたのは会場を離脱してから2時間後。慌てて運営に問い合わせるも、土日祝は休業。メールでの問い合わせに返答があるわけはなかった。

帰りの新幹線をキャンセルし、再びビッグサイトを目指して地下鉄から乗り換え、ゆりかもめの駅から続く歩道橋みたいなのを走った。(ペデストリアンデッキというらしい。音が優雅すぎて疾走感が無い)。買ったばかりのローファーは足に馴染んでおらずパカパカ音を立てるし、本気で走るのは数年ぶりで嘔吐を堪える。

会場に戻れたのは18時。イベントは17時に終了していたし、素人目には撤収作業も概ね終わっているように見えた。置き忘れた記憶のある長椅子には、もちろん、私の荷物は無かった。

無い。夏井さんのグッズが、無い。

我ながら馬鹿だなあと思うのが、1日目・2日目に買ったグッズをすべて1つの袋に入れておいたことだ。実は1日目は関東の実家に1泊し、その日に着ていた服などを宅急便で京都に送ってもらうつもりでいた。1日目のグッズも一緒に送れば、最悪、無くなっても2日目のグッズだけで済んだのに、まとめていたため2日分のグッズを失ってしまった。

どうしてまとめていたのかというと……

「えー、だってえー、宅急便だと受け取れるのが1日遅くなる(最短2/19)から、手で持って帰りたあーい(はあと)、肌身離さず持ってたあーい(はあと)」

という、そこまで言ったのに肌身から離したのは誰だ案件である。

何から何まで私が悪いけれど、夏井さんを諦めることはできない。休憩中なのか仕事が終わったのか、数名のスタッフの方が集まっている所へ、息を切らしながら突入して相談した。

皆さんとても優しくて、会場の忘れ物はこういうふうに回収していて、どこどこへ移動させるため、あったとしても今すぐ渡せるかはわからない、など説明してくださった。そのうえで、責任者の方につないでくださり……

無事、すぐにグッズの袋を受け取ることができました。

忘れ物への対応はケースバイケースだと思うので、ここで私が詳細を書くのは憚られるけれど。皆さん嫌な顔ひとつせず、笑顔で「大丈夫ですよ」など声をかけてくださいました。

想像してみてほしいのだけど、2日間の大仕事を終えて、「無事に終わってよかったねー」「やっと帰れるねー」と歓談しているところに汗だくでメイクの溶けたおばさんが髪を振り乱しながら「わっ……忘れ物しちゃって……!」と息を切らして飛び込んできたら、普通、嫌な顔します。

中にはエアタイムカードを切って完全に終業していた方もいらしたと思います。サービス残業をさせてしまいました。

なのに親切に対応してくださり、忘れ物も無事に見つかり、たいへん助かりました。コリーフェスに参加した2日間を悪い思い出で終わらせてほしくない、というスタッフの皆さまの思いを強く感じた。コリーのことがますます好きになったし、より一層の課金をもって応えていくことを誓います。

また、忘れ物がすべて戻ってきたことにも驚いている。中には会場限定かつ開幕早々に完売したグッズも入っており、盗難に遭ってもおかしくなかったと思う。でもコリーフェスの会場にそんなことをする人はいなかった。

スタッフさんもお客さんも、みんな良い人だ……。対して、私は他人に親切にできているだろうか。冗談ではなく、本当にこの日から私の普段の振る舞いが変わった。

イベント後も働く人々を思って振り返ったビッグサイト。

そんな私には3日目、2月19日がある。なぜなら新幹線をキャンセルし、実家に頭を下げて延泊させてもらったからだ。

実家の母にも迷惑をかけることになったため、せめてもの償いとして、時間ギリギリまでマシンガントークに傾聴した。

母には、30年近くファンを続けているロックバンドがいる。流行を追わず独自の路線を貫いてやってきた、まさにロックンロールという感じのバンドなのだが、母は、

「最近、宣伝の媚び方が強くなってきて、ちょっとなって思ってる」

そうだ。

母よ、それは「公式との解釈違い」だ。

還暦を迎えた母ですら、公式との解釈違いにモヤモヤするのだ。しかし30年もずっと好きでいられた母は、これからもあのバンドのファンで居続けるのだろう。

コリーは10周年、アンゼロはもう少しで2周年。母とあのバンドの30年を目撃してきた身としては、これからもっと大きな山があり、谷もあるだろうと感じている。

何があっても、私もアンゼロのファンで居続ける。どんなに回り道が長くても、回り道にこそ意味があると信じて、桜咲く春を待ちたいと思う。

BIG田中さんは未来を見ているんだと思う。

コリーフェス2日間、素晴らしいイベントを開催してくださり、ありがとうございました。

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