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【ネタバレ】厄介な男だな……結城さん信条イベスト感想【アンゼロ】

所長信条のイベストを読んだ率直な感想は、「最終回……?」でした。セリフ量の多寡の差はあれど、13人の男たち全員が出演する豪華な回で、結末に向かって全員で走っていく感じなど、そこはかとない最終回感が漂っておりました。

1つ前のイベント、空田さんの信条はエンタメに全振りした面白さでしたが、所長の信条は違った面白さでしたね。「エモい」とはこういうことを言うのでは。使い方合ってる?

ひと言でまとめるなら、結城怜二、厄介な男でした。屈折しまくった厄介な男。大好き。

ここから先は結城さん信条イベの感想で、ネタバレ以外何も無いのでご留意ください。交流での会話やプロファイルもじゃんじゃんネタバレしています。

※本文は断定口調で書きますが、全部わたし個人の妄想であり、決めつける意図はありません。すべての文末に「と思います」をつけると読みにくくなるので省いております。あと結城さん・所長と呼称がブレるのは気分です。

あらすじ

バーで飲んだ帰り、結城と七篠は結城を狙う喧嘩師に遭遇した。石ヶ谷 櫂という男の差し金だった。

石ヶ谷は、3年前に結城が担当した案件に関する人物。依頼人は田中豪市(当時25歳)。恋人の石ヶ谷 依が同居中の兄からDVを受けており、彼女を助けたいとの依頼だった。石ヶ谷が結城を襲おうとしたのは、妹と離れ離れにさせられたことへの復讐と推測される。

石ヶ谷の復讐が果たされないよう、火村、風晴、七篠で他のメンバーには内緒で調査を開始。七篠は結城のSPとなり、結城の外出時は必ず行動を共にする。

火村が協力を仰いだ特対の春野から、石ヶ谷が半グレ組織の幹部(?)であるとの情報がもたらされた。次は集団で結城を襲うと推測される。

結城も反撃を開始。七篠を連れて、3年前の案件の当事者である田中や依に話を聞きに行く。二人は別れて恋人ではなくなった直後だったが、石ヶ谷に襲われることはなく、無事に生活していた。石ヶ谷が彼らに危害を加えていないことを確認し、七篠が油断した隙に、結城は七篠から離れて単独行動に出る。

結城さんの信条とは

アンゼロはメインキャラと扱う事件の関係者に共通点を持たせ、キャラが自分を加害者・被害者に重ねる形で本音をチラ見せする描き方をすることが多いです。特に信条イベはそうですね。分かりやすくてありがたい構成です。

今回は、所長が加害者の石ヶ谷に自分を重ねる構成。「お前がほんとに許せねえのは俺じゃない。お前自身だ」など、石ヶ谷に向けた言葉はすべて自分自身に刺さっていたのではないかと思います。

で、いきなりラストシーンの話からしたいんですけど、結城さんあなた……何かあったね?(全員該当)

所長の大切な人は誰?

私はまだ所長の親密度を12までしか上げられていませんが、それでも、所長が過去に大切な人を亡くしたことは分かります。(ちなみに、親密度をこれ以上に上げると逆に所長が分からなくなる可能性を先人たちから学びました)

石ヶ谷との戦闘を経て帰宅した所長が自室で見ていたのは、20代になったばかりの所長と幼き日の誰かが写った写真。幼き日の誰かが所長とどんな関係にあるのか分かりませんが、弟か妹ですかね?

「幼き日の」というヒントから自分の子どもかな? とも思ったのですが、20代になったばかりで子どもがいるのは、恋愛ゲーム的にはレアケースな気がします。石ヶ谷と依ちゃんの関係に重ねているとしたら、所長と年の離れた妹と解釈するのが妥当かな?

でもストを読むまで、所長の大切な人は過去の恋人だと思っていました。それに、「幼き日の」というヒントが結城さんの赤ちゃんを指す可能性もあるわけで……合わせ技で、結婚した恋人と子どもを同時に失ったと暗示しているのかも……。

写真の所長が20歳と仮定すると、現在35歳なので、写真を撮ったのは15年前となります。もしかしたら、所長の大切な人は歌舞輝町の大規模なテロ事件に巻き込まれたのかもしれません。テロの発生はゼロ年代末期なので。「末期」という表現が非常に憎くてですね、例えば2007年と2009年とでは整合性が変わって来るので、はっきりせい! って感じなんですけれども。

二段階の決断

所長の経歴って面白くて、

  • 普通の大学を中退して特殊な学校(おそらく警察学校)に行った(約15年前?)

  • (おそらく)警察を辞めて探偵事務所を開いた(3~4年前)

と、二回キャリアチェンジしています。いずれも復讐が動機なんでしょうね。所長はサンプルボイス②で「俺の生きがい? 復讐……なんてな」と言っており、「なんてな」なわけがないのです。

今回のイベストは、約15年前の所長にリンクしていると思われます。石ヶ谷へのセリフがすべて所長の後悔から発せられているようで、私はもう……耐えられませんでした。

例えば「生きてりゃまあ、なんとでもなるだろ」は、直前のセリフが石ヶ谷に向けたものだったので、「石ヶ谷が頑張って生きていれば、そのうち挽回するチャンスはあるよ」的な意味かなと思っていたんです。でもよくよく考えたら、「相手が生きてるんだから、いつかチャンスが来るかもしれないよ」「相手が生きてるだけマシだろ」みたいな意味、なんですかね……?

所長は復讐を済ませたら自分も死ぬかのような描写もあり……。ノット・ロング・グッドバイ、もうすぐそっちに行くからねの意味なのでしょうか。

二つ目の決断は?

あまりイベストに関係なさそうですが、一つ目の決断について書いたので、二つ目も触れたほうが良い気がする。

イベストで春野さんとバディを組んでいたことも分かりましたし、というか春野さんの親密度を上げていくと何となく察しがつくのですが、結城さんはもともと警察官だったようです。3~4年前に警察を辞めて探偵事務所を開きました。

まず、15年前に警察官になったのは、大切な人を死なせた誰か(テロの犯人?)を捕まえるとか、そういうのが動機だと思われます。では3~4年前、わざわざ警察を辞めて探偵事務所を立ち上げたのはなぜ? と考えると、相手が法で捕まえられない人だと分かったか、または司法ではなく自分の手で殴り殺さなければ気が済まない的な理由かなと思っています。

春野さんからの電話で被害届を出してほしいと言われたとき、所長は「自分の気が済むようにするだけだ。それしかもう、やることが残ってねえ」と答えました。これは自分の復讐ではなく石ヶ谷に対する発言ですが、公的機関を頼りたくないという信条の片鱗のようなものが見えた気がします。

ちなみに警察を辞めるきっかけには、春野さんが関わっていると思うんですよ……。(思いますが多くなってきましたね)

春野さんの親密度を上げると分かるのですが、春野さんはどうも結城さんへの贖罪のために生きているようなんですね。公式サイトのプロフやボイス、恒常SSRカドストにあるように、拳銃は二度と持ちたくない、とも言っているので、春野さんあなた、拳銃で何かやらかしましたね? それで結城さんに迷惑をかけたと思ってますね?(出世コースから外れたのもこれが理由だと思う)

で、春野さんの話に移りかけましたが、とんでもない文字数になりそうなので割愛します。イベストの話をしようね、私。

特対3人も石ヶ谷の行方を調べることになり、秋元さんは感情的に。夏井さんがたしなめたあと、春野さんは「夏井の言うことも、もっともだ」と認めつつ、感情を完全に無視することもないと言います。

春野さんの2つのセリフ「感情は抑えつけて消せるものじゃない。噴き出して足元をすくわれることもある」「警察官も生身の人間だ。善くも悪くもな」の間に、驚いた顔の夏井さんの「…………。」が入りました。無感情っぽい上司がらしくないことを言ったので夏井さんは驚いたんだろうな……。

わざわざ「感情をうまく使え」というセリフが本編に関係なさそうなのに出てきたのは、春野さんが感情的な行動で失敗したからですかね? または、バディだった頃の結城さんのアドバイスをそのまま言ったのかも?

そして「勉強になります……!」と言ってひらがなでメモを取る秋元さんが可愛かった。結城さんに恩義が無いのは夏井さんと秋元さんだけなので、ほどよい第三者の立場で漫才してくれたのが息抜きになって良かったです。

同じく、この二人は春野さんが出世コースから外れた理由を知らないんだろうなと感じて安心しました。春野さんの身近にいる人が過去を知らないのは、春野さんの救いにはなっていると思う。

だいぶ話が逸れましたが、所長の異色の経歴にはターニングポイントが2つあって、ひとつは今回のイベストで少し見えた部分、もうひとつは警察官時代のことで春野さんが関わっていそう、という話でした。

恩義と孤独

今回はイベカ以外のキャラも全員登場する豪華な回でした。それゆえ最終回特有の全員集合感が出てしまいましたね。

イベスト内で風晴さんが言ったとおり、事務所の面々は所長に何かしら恩義を感じているのですよ。だから主人公をはじめ皆が所長の危機に立ち向かおうとするし、「恩に報いるチャンス!」とばかりに体を張ろうとしてきます。

でも所長は単独行動したがるんだよな……。ここがさあ、なんていうか、ずるいよねー……。

結城さんは普段テキトーに振る舞ってるので、「あ、この人ってダメ男かな?」と思わせるじゃないですか。こういうダメな男はね、「私があなたの盾になります」と言ったら「そう? じゃあお願いしちゃおっかな?」と喜ぶものですよ(偏見)。

でもさ、そうじゃないんだよね。結城さんは先を読む力に長けていて、仲間がうまくやれそうなときだけテキトーに振る舞ってるの。「だいじょーぶだいじょーぶ、知らねえけど」的な無責任なことを口では言うんだけど、頭の中では何手も先を読んでいて、「大丈夫」と言えるだけの根拠があるんです。「今はテキトーな振る舞いで問題なし」と判断したうえでテキトーに振る舞っている。

実際には何ひとつテキトーではないから、危ないことに他人を巻き込むのは絶対に嫌。メイメイの警備を外れて単独行動するし、警察に被害届は出さないし。復讐するために探偵になったのでしょうけど、復讐に部下は巻き込まない矜持を感じました。

ここまで書いて思うのが、結城さんの個別スト凄そうだな……ってこと。単独行動で復讐(と自死)に向かう結城さんに、メイメイが追い縋る話、ですか……? 復讐をさせないとしたら、結城さんの感情はどうやって解消するんだろう。倫理的な問題はありますが、二人で復讐を果たすのも物語としては美しいのではないかと思います。

物語の中を流れる時間

これは所長の話ではないのでサクッと。今回のイベストでは、風晴さんが「指導していた後輩を頼りにする日が来るとはな」と言っており、メイメイが入社してから時間が経ち、メンバーと信頼関係を築けつつあることが示唆されました。

この部分、凄く胸が熱くなりました……。メインスト以降の今までのイベントがきちんと「実際にあったこと」として引き継がれ、主人公の成長をキャラクターに認められる……。メイメイはもちろん、課金や周回で修業を積んできた私たちへのねぎらいとも取れるセリフでした(突然のメタ発言)。

風晴さんはメインスト2章のバディだったので、特に感慨深いです。彼がメインのイベントはまだありませんが、メインスト以降の成長を風晴さんは陰ながら見守ってくれていたのですよ……ありがとう優人……優しい人……。

ちなみに風晴さん入社時のエピソードは風晴さんの個別ストのサブストーリーで読めます。サブストの視点は所長と火村さん、今回のイベストの視点は風晴さんだったので、若干話が食い違っている感じがしますが、そこがまた良い。風晴さん、自分に都合の悪いことは忘れちゃったのかな?

結局、結城さんの信条とは何だったのか?

復讐、かなあ……。

色々分かった気になったけどよく考えたら何一つとして分かってないよね、というのは平常運転ですが、他キャラの信条イベよりは核心に迫った気がします。

復讐を遂げて自分も死のうとしていることが分かっただけでも(合ってますよね? 読解間違えてたら教えてください)、大きな進歩でした。何があったかは分からないけど、個人的な復讐が彼の行動原理で、果たされるか果たされないかは別として、そのときが結城さんとハロー探偵事務所のターニングポイントです。

ただし、風晴さんも「あなたのために迷いなく体を張れる人間が、この街には何人もいるんです」と言ってましたが、結城さんはハロー探偵事務所を作ってしまったし、部下も大勢抱えてしまったわけで……自分で自分の足枷を増やしているのも気になるんですよね。いざというときは八乙女さんと火村さんに全部押し付けるつもりかもしれないけど、そんなことできないでしょ、結城さんは優しいから……。

ひとりぼっちの人や動物を放っておけないけど、自分のときは単独行動したい。
守りたい人はいるけど、自分が守られるつもりはない。

ってこと? 屈折しすぎでしょ結城さん……。天秤の片方だけが地面についているようなバランスの悪さをお好みでしょうか? 厄介で重たい男、私は好きですけどね。誰かさんの「俺の愛は、いつも一方通行だ……」と言う声が聞こえます。

ほかに結城さん周りだと、

・大切な人の加害者になった石ヶ谷への共感
・ピアノが弾けるのは失った大切な人絡み?
・食べ物のおかしな組み合わせは意外性を好むからだけど理由はあるのか

など解釈に迷う部分はありますね。とんでもない長さの感想文になるので控えます。

よく分からなかったところ

お話の面白さを損なうものではありませんが、メイメイが石ヶ谷たちにわざと捕まる道理が分かりませんでした。メイメイが所長よりも先に石ヶ谷たちに接触できた理由が分からなかったんですよね。所長は石ヶ谷たちの気配を察してメイメイから離れたので、石ヶ谷たちをうまいこと誘導したものだと思っていました。

作り手の都合を感じたというか、所長の戦闘シーンをたくさん描いたので、主人公も結構強いよ描写を入れないといけない感じがしちゃったのかな……と思います。ストーリー構成上の都合というか、作り手の都合でキャラを動かしてしまった感じがして、やや興が冷めてしまいました。もう少し自然にやりくりする方法はあったと思います。

所長と離れてから雨の中を走り出すシーンもなぜか「傘を差して」とあり、「傘も差さずに」ではダメだったのかな……と疑問に思いました。重箱の隅をつつく話をして恐縮ですが、気になったのでそれはそれとして書いておきます。

さいごに

とにもかくにもラストの自室のシーンの衝撃が強すぎて……!

所長は死に向かってるんだな。自ら破滅に向かうキャラクターや物語が大好きなので、グッとくるイベストでした。

でも引き止めに来るであろう仲間を自ら進んで増やしてしまう自己矛盾……面倒くさいなあ、屈折してるなあ。厄介な男大好きです。

そんな結城さんだからこそ、怜メイの心の通わせ方が、歪みに歪み、歪みきっていてくれると私のド性癖なのですが、そんなことはどうでも良いですね。キャラには幸せになってほしい。結城さんにも、彼なりの幸せを掴んでほしいです。

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