noteと人インタビュー「焦って音楽しても他の日常生活に支障をきたすよね」irodori (イロドリ)/マイペース系音楽ユニット

「心地よくストレスのない音楽」ネットを中心に活動しているirodoriの楽曲はそんな第一印象だった。
「プライベートな話は極力NGで」と注文がついたインタビューであるが、雑務全般担当のAMidadoさんと、ボーカルのShangdiさんに色々な話を聞いて行くうちに、マイペースをキーワードにした音楽活動の一つのあり方、形が浮かび上がる。
取材日は2014年、6月4日。新宿駅付近のオープンテラス・カフェで行われた。
irodori:
AMidado(Various)男
Shangdi(Vocal)女


* irodoriのきっかけ 

Shangdi:irodoriを始めて2年目になります。夫婦に例えると新婚さんぐらい。まだまだですね。
以前は1人で音楽活動をやっていました。ただ1人だとどうしても甘えが出てしまって、長い間休んでいたんです。
好きな仕事をして生活が落ち着き、プライベートも充実させたいと思っていた中で、AMidadoさんの曲をネットで聴いたんです。
若いのにしっかり作っているし、女性のボーカルを募集していらっしゃる。それで私から連絡を取ったのが始まりです。
AMidado:僕はもともと音楽の専門学校で3年ぐらい学びました。
卒業後、友達と一緒にフリーランスで作曲の仕事も1年ほどやりましたが、それだけで生計を建てるのは流石に難しいな、と感じてソロで活動していました。けど、仕事の方が忙しくなりだして徐々に音楽活動から離れていってしまったんです。で、いい加減音楽活動もちゃんとやらないと、と思って募集をかけた。
irodoriの前にもボーカルの人が2人いたのですがどうも水が合わなくて、3人目が彼女(Shangdi)だったんです。
最初の人が同い年でうまくいかなくて、2人目の人が年下でうまくいかなくて、じゃ次は年上だと。
Shangdi:私のほうが4つ年上になります。介護していただいて(笑)


* 音楽性について/「POPS made in Tokyo」

AMidado:irodoriの音楽性やジャンルは特に決めていませんでした。
この2年は「とにかく何でもやってみる」という気持ちで、バンドっぽい音やポップス等思いついたままに作っています。
ただし、同じ作曲者だから癖みたいなのは出てきます。例えばメロディのラインとかリズムが、こうなったら大体次はこうだよね、みたいな。
基本的にパソコンに打ち込んで曲を作るので、例えばオーケストラとかバンドっぽい表現を出すには限界があります。パソコンの打ち込みで出来る範囲で試行錯誤していますね。
Shangdi:最初に言ってたのは、テクノとエレクトロニカ。私は個人的にはフレンチポップも入れてほしいんですけど、「作れない」って彼が言って。
AMidado:あんまり得意じゃない。雰囲気を掴みにくい、みたいな。
Shangdi:いや、できると思うんですよ。でも、彼の言い分を聞いてたら本能的に好きじゃないのかな。私はおしゃれな感じがいいなとは漠然的に思っています。

AMidado:irodoriは2人とも東京以外で生まれ育ったんですが、今の生活圏は東京です。東京で生きてて感じる音とか、東京の中で生活してて生まれてくる音とかをうまく切り取って表現できればいいなと思ってて。
ロックでもジャズでもないから、ポップスだなと。「POPS made in Tokyo」を一番のテーマにしています。曲がサラっとしてるのは「都会感」の現れなのかも。
Shangdi:都会で生活する寂しさみたいなエッセンスはちょびっと込めています。東京のイメージは、ものが多すぎて人が多すぎる。自分の家以外で1人になれる場所がない。
AMidado:僕は、東京ほど面白い町は世界を探してもないだろうなと考えてます。
例えば原宿と渋谷と六本木が地続きじゃないですか。歩いていける狭い範囲に全く異なった雰囲気の街、空間がある。だから色々なインスピレーションが湧くし。
Shangdi:そうかな。私はあんまりない。曲が都会っぽいからそれでいいんじゃない?って。新宿は便利だけど特別好きじゃない。代官山とか青山とかゆっくりできるとこが好き。
AMidado:俺は渋谷と原宿かな。今のところ5曲ほどirodori.comとして作ってみたけど、最初の『Highway』が一番方向性が出てるかな。
前のボーカルさんのときもそうでしたが、最初にできた曲が大体キャリアハイでそれを中々越えられない。最初だから変に張り切ってるのかも。
Shangdi:『Highway』は最初のメロディーが難しかったんですよ。私は歌いづらかったんですけど。そこで高音とかギターとかすごく考えてくれて。そのがんばりが表れてますね。
魂が入ってるっていうか。その後は、お互いがあまり無理しないようにやっていますね。このくらいなのかなって感じで。
AMidado:他のミュージシャンが「ライブやらなきゃ」とか「次の曲作らないと」とかがんばってる間に、僕らは2人して「このご飯おいしいね」って、言ってるという。


* 楽曲の制作フロー/マイペース#1 

AMidado:曲作りは基本的にスマホやパソコンでやりとりをしていて、会って何かをするのはだいたい月に一回です。会うまでの間に準備をして、会ったときにボーカルを録音したり、次の曲を決めたりします。
Shangdi:私の方は録音までの間に歌詞を仕上げたり歌の練習をしたりしています。ボイトレをしつつ、曲に対する要望も随時伝えています。

(AMidadoさん注文した料理が出て来る)今日は鶏肉の気分だったんですね。

AMidado:肉の中でも鳥率が高いかも。
Shangdi:私は肉全般だな。
AMidado:特にひき肉でしょ。
Shangdi:ひき肉は日本人に合ってるらしいです。牛肉は消化にいい。
AMidado:女子だなー。ひき肉は女子っぽい。
Shangdi:女子ってひさびさに言われました。ありがとう。

AMidado:曲作りの話に戻すと、「こんな曲作ったけど、どう?」みたいなところから始まって、「歌詞できそう?」「変なとこある?」といったやりとりを重ねて、ほぼほぼできあがったら「会って録音しようか」という流れですね。
で、録音したものをエディットして「どっか変なところない?」って聞いて何もなかったら完成です。マイペースではあるけど、完成して「あれ?」って曲はないかな。おおよそイメージ通りに仕上がる。
Shangdi:1人でやるよりは締め切りがあるよね。休みの日を合わせないといけないので、レコーティングの日が締め切りになってくれます。だいたい1レコーディングで1曲できます。2曲録りは声がもたなくてやめました。
AMidado:毎回2曲目の方がクオリティ落ちるんですよ。
Shangdi:ピッチが低くなるんです。スタジオにいると喉がからっからになるんですよ。3時間まるまるは歌えないです。


* 影響を受けた音楽

Shangdi:そう言えば、影響受けた音楽ってある?
AMidado:え。俺言うの?
Shangdi:インタビュアーやってみた。
AMidado:影響を受けたのは……ビートルズになるのかな。
Shangdi:えー。
AMidado:なんだかんだ。一番底にあるな、と。洋楽だとビートルズとマイケルジャクソンが別格のところにある。邦楽だと、スピッツと大瀧詠一。
ビートルズは確実に今のポピュラー音楽の基礎になってると思う。マイケルジャクソンは時代によって一番フレッシュなジャンル/プロデューサーたちを使っているのにマイケル本人は全くブレないし何年たっても曲が風化しない。
スピッツは親の影響で生まれた頃から聞いていて、好き嫌いを超えて習慣化している感じ。大瀧詠一は、今デビューしても普通に売れると思う。いつの時代でもマッチ出来る音楽性。影響を受けているのはそれぐらいかな。
Shangdi:意外なところが出ましたね。
AMidado:一番奥底にあるのはロック、フォーク、ニューミュージックがある。最近はダンスロックとかベタなポップスとかも割と聴きます。

Shangdi:私は、影響っていうか、中学生の頃、90年代のアイドルっぽい女の子たちを見て歌詞を書くようになった。この子たちが書けるんなら私もやってみようかなと。
高校に入って出て来たのがUKロック。The musicとかKasabianをずっと聞いてて。周りがB・スピアーズとかA・ラヴィーンとかを聞く中、どっちかというとおじさんが好きそうなものを1人で聞いていました。あとはピンクフロイドとかビョークとか。日本だったらCocco、UA、chara。ジュディマリよりはソロになったYuki。あとはその時々で、ミスチル、椎名林檎、aiko。影響っていうよりは、そういうのが好きで聞いていました。
憧れで書き始めたのではなく、自分のフラストレーションやうまく消化できないものを、絵とか作品とかで吐き出してたという感じが近いです。日記みたいに書き溜めていましたね。今は充実してしまっているので、マイナスの歌詞があまり書けなくなってきてて。ときどき相談したいけれど、彼は歌詞に興味がないし。


* 作詞と作曲

AMidado:僕は歌詞はどうでもいいというか。洋楽ばかり聞いていたのもあるのかな。メロディーに対して、「あ」とか「い」とかの音が乗っている、という風に捉えています。曲に対して人の口から出た音が乗っているだけなんだけど、それが言葉として意味を成してる、みたいな。
Shangdi:あんまり歌詞に言ってこないよね。それでも、録音の最中に母音のおかしさを指摘されてレコーディングが止まってしまう、なんてことは結構あります。その場で詩を変えるほどの技術がないから、直すように言われても(頭で意味は分かるけど)できない。ボイトレの先生が言ってくれたらすっと入ってくるんですが(笑)
AMidado:言葉じゃなくて、音の話として言ってるので噛み合ないんですよ。もっとぶっちゃけると、僕、最初の方の歌詞はほとんど見てないです。どうせ歌えるように作ってるから俺がどうこう言わなくても問題ないでしょ、みたいな。
Shangdi:そうだったんだ。捉え方が違うんだろうね。
作詞ですが、1人でやっていたときとは作り方が変わってきていますね。小さなまとまりを書きためておいて、歌詞を作りながらそこから足していくような感じでしょうか。
AMidado:僕の方は、昔は常時5、6曲ぐらいはストックしていたけど、今はしなくなりました。結局ストックしても聞き返さないんですよ。
すぐ仕上げずにストックして置いておこう、なんて思った時点でそんなにたいした物じゃないです。本当にいいメロディとかフレーズは一度忘れてもまた思い出すし。
それに、良い曲ができるときは頭から最後まで一発で出来ます。曲のパーツができてその前後はこうして、こうなって、はい完成、みたいな。
だけど、そのタイミングが電車の中だったりすると困りますね。電車の中で全部完成しても忘れるから。あと一番多いのが風呂で浮かんできたとき。
Shangdi:分かるー! 本当にそうなんですよ。頭洗って、上がって、タオルで拭いていると忘れてしまう。
AMidado:珍しく風呂を出ても浮かんだままで、「全部譜面にして聞いてみたら、「オアシスの曲じゃんこれ……」なんてこともありました。そりゃ良い曲だわ。だってCD化されてるし、っていう。
ない? 書いたら人の歌詞だった、みたいなの。
Shangdi:あるある。書いてる途中で「あ、パクリだ」と気づいて。あとは土日のお昼寝したい時間に出てきますね。秀作が。


* マイペース#2

AMidado:こんなインタビューが載ると、noteの他のクリエイターさんになめんなって怒られるかな。音楽やってる周りの人みんなに「もっと焦ろ」と言われるんですよ僕らは。
Shangdi:焦ったら他の日常生活に支障をきたすよね。
AMidado:生活削ってまで音楽する歳でもないよね。10代とか20代前半ならまだしも。
Shangdi:そのときにがんばっとけっていう。
AMidado:10代でデビューしちゃう人もいっぱいいるけど、僕は19歳になって初めて音楽を作ったんですよ。
だからもうその時点で「今注目の若手人気ミュージシャン」みたいなのにはなれないから別にいいや、と思って。そんなに素晴らしい才能があるんだったらもっと早い時期から音楽に開眼してると思うし。
Shangdi:ロックとかバンドでやるんだったら体力も求められるし。ミックジャガーは別だけど。体力ないよね。私たち。結成当時も私がちょこちょこ体調を崩してて。
AMidado:(音楽制作のための)「パソコンを買い替えないと」って言って2年経つよね。
Shangdi:それより、私、時計がほしい。
AMidado:これだよね。俺らのマイペースぶり。これ文章に書き起こされたら、かなりやる気ないだけのユニットになっちゃう。
Shangdi:やるきがありそうな答えを出せる質問をください。


* 音楽で一番大事にしていること

AMidado:音楽で一番大事にしているのは「瞬間」。今思っていることとか、今浮かんだことを曲にできるのが理想です。
で、今の時代の技術と人に敬意を払いながら、今の時代に適した形で作って提示していく。
3年前に書いた曲をひっぱりだしてアレンジしても今の自分が納得しないんですよ。瞬間、瞬間のものを常に出す。
よく「昔の曲の方がよかった」「昔の機材の方が質が良い」みたいな言い方で過去のミュージシャンに敬意を払っている人がいるんですけど、じゃあ今の時代にシステムや楽器作ってる人は何十年も耐えないと評価してくれないのか、と。先人以上にナウ戦ってる技術者に敬意を払わないと数十年後とんでもないことになりそう。
「音楽神経」みたいな?のが頭にあって、それが頭の中で曲を作ってる。で、そのよく分かんないけど凄い音を凄いままアウトプットしたい。それができたら100万枚とか楽勝だと思う(笑)
でも残念ながらアウトプットするときに劣化するんですよね、多かれ少なかれ。自分の技能不足だったり、そもそも今の機材環境じゃ再現出来なかったり。「このよくわからない音を適切に出せる楽器がない!」ってなって作業が止まってしまうことがあります。

Shangdi:2年ぐらいユニットをやっていると、この曲の音は彼が最初思い描いていた音とは違うんじゃないのか、というのがだんだん分かってくるんですよ。不思議なことに。
私も最初は言わなかったんですけど、最近はちょこちょこ「嫌」みたいに言ってます。
AMidado:「曲の中に明らかに不機嫌な音がある」って言われて。
Shangdi:別に彼に意地悪をしようとか、プレッシャーをかけようとか、そういうのはないんです。
でも、言ったら返ってくる、がんばってくれるので、言ったほうがいいのかなと思って。言い方には気をつけないといけないんですけど。あんまり傷つけないような言い方ができればいいな。
私は理論も彼ほど勉強したわけではないので。ひっかかるところまでは言えるけど、うまいことアドバイスできないんですよ。先生のような人じゃないと難しいのかな。それが私の壁です。申し訳ないな、こんな言い方でって感じで。
AMidado:だいたい予想していたところが突っ込まれるから、「やっぱりだめか」と作り直しますね。
うまく「再現」出来なかった音を一番近い音にしようとするけど、どうしても見つけられなかったら、あきらめて全部変えちゃいますね。「悩むだけ無駄だ」と。
Shangdi:音楽で大事にしていること……ないかなあ、私は。ないって言うより、感情なので、思うがままに。その時々聞いてた音楽、自分にあった出来事。テーマがあればそれに沿って書きますね。
AMidado:テーマは例えば2人して同じ映画を見たり、同じ本を買ったりはします。映画や本をそのままモチーフにはしないにせよ、意識の共有は必要かなと思って。まあ映画の趣味は合わないんですけど(笑)


* irodoriの期限と未来 

Shangdi:irodoriも最初に何年続けるかの目安を決めていて。
AMidado:俺が26ぐらいまで。
Shangdi:私が30ぐらいまで。来年? わお。
AMidado:そこまで続けていれば何かしら起こるだろ? という。来年、「何かしら」がないと惰性で続いちゃいそうで何か嫌。
Shangdi:分かんないよね。私、irodoriやりながら子供育ててるかもしれないし。もしかしたら結婚してるかも。
AMidado:俺も例えば人に理論教えながらやってるかもしれないし。
Shangdi:まあ、別に今のままでもいいんですけどね。仕事をやりながら。でも、ある程度ほしいよね。目に見える成果。世間から自分たちがどの位置にいて、どの程度受け入れられるか。受け入れられればお金になるっていう。
AMidado:何かしら収益がでれば。「売れるんだね俺たち」ってなれば変わってくると思う。今まで見えなかったものが見えるようになったりしそう。
Shangdi:なので、みなさん、note買ってください。私たちのモチベーションは上がるよね。
AMidado:もらうものもらっちゃったし、頑張って応えるか、と。今までSNSは色々やってみたけど、発信するツールはnoteとyoutubeがベースになりそうです。

AMidado:irodoriの今後としてやってみたいこと。何かある?
Shangdi:えー。とりあえず新しい曲を作る!フレンチポップやればいいよ。
AMidado:フレンチポップって難しいんだもん。フレンチポップはJPOPと同じで、時代によって全然違うんです。
Shangdi:結局フランフランとかでかかっている曲が好き。
AMidado:……って風に言われて、フランフランに行ったら、普通にハウスミュージックがかかってて。え、これで良いの?って。
Shangdi:いい、いい(笑)
AMidado:ハウスポップって言ってくれよっていう。そしたら作れるよ俺別に。
Shangdi:それだ。それだよ。それでいこう。ハウスミュージック作ろう。
AMidado:曲を作って、それをどう発信して行くか。昔のミュージシャンみたいな稼ぎ方はもうできないし。CD売れない、ライブはチケット捌けるような一部のミュージシャンが儲かってるだけ。
Shangdi:ミスチルとかね。
AMidado:チケット全部売って、物販でTシャツなどのグッズを売って収益になっているわけですね。グッズすら作れないアマチュアの人もいっぱいいます。「ライブで稼げる」って表現は大きな間違い。
一部の稼げてるミュージシャンと、全く稼げてない大多数のミュージシャン、って形で完全に二極化してます。「多分音楽だけで月20万=年240万とか稼げたら万々歳だと思う」とこの前も話してました。
Shangdi:1人20万なので2人で40万ですね。
AMidado:新しいツール、技術、サービスを上手く活用して人並みに生活できるのが理想です。今毎日のように新しい物が生まれてますから。具体的な数値が見えるとやり甲斐も出てきそう。
Shangdi:音楽の収入なら月に1万円でも嬉しいですもん。


* こぼれでた話、そしてまとめ 

AMidado:最後にこれは今まで1回もしていない話なんだけど。
Shangdi:え。なんですか。なんだなんだ。
AMidado:僕、何もアクシデントがなければ、最初の女の子と今でも曲を作り続けてた気がするんですよ。
Shangdi:あーーー。
AMidado:最初のボーカリストの子は容姿も歌もうまくて、趣味もあって、年齢も近くてすごくうまく行ってて。音楽を始めて10ヶ月ぐらいのときです。
Shangdi:あー、あれか。
AMidado:みんなにすごいほめられて、この人となら行けるとこまで行けるわって思ったけど、社会人的なところがだめで。連絡とか時間とかそういうのが。で、俺の方からクビに。だから、あの子の幻影をこの人(Shangdi)に重ねないように気をつけてる。
Shangdi:へええーー。へえ。
AMidado:あの子だったらこういう所もすぐ出来るのになー、みたいに比べないように。こっちの人はこっちの人で、思ってた通りにやってくれるところもあるし、思っている以上にやってくれることもあるし。

Shangdi:私の方もソロの時にちょいちょい手伝ってもらったりもしてて。でもけっこう私、要求が高くて。その人が思い描いているものが出来てたらいいけど、出来ていなかったらはっきり指摘してしまうんですよ。「あなたはそう言ってるけど、そうでもないよ」みたいに言ってしまう。結果的に1人のメンタルを壊してしまった。良いものはできつつあったのですが……。だから、お互いあまり追いつめないように気をつけています。特に言い方ですよね。相手がこういう性格だからこう言った方ががんばってくれるかな、みたいな。でもまだまだですね。誰かとやるのは難しいことですよ。
AMidado:それが楽しい理由でもあるのかな。お互いにうまく折れて付き合っていく、みたいな。もうケンカしながらやるような年でもないし。
Shangdi:今の年齢で会ったからこそ2年も続いてるのかもしれないよね。

AMidado:ちょっと前までは年齢的なタイムリミットに近づくのが怖かったけれど、最近は開き直っています。
Shangdi:そうなんですよ。あの頃の体力も情熱も見た目も戻らない。
AMidado:若いミュージシャンを見ても嫉妬しなくなりました。今、手元にあるカードで戦って行くしかない。
それにnoteを始めて、年齢関係なくアクティブに活動してるクリエイターさんが沢山いるのを知りました。20代半ばまでに大きな成果がなければ人間として終わりなんじゃないの俺、とまで思っていたけど、そんなでもないかって。
で、そんな話を家族にしたら「誰もお前がすぐに成果をあげるとは思っとらん」と言われてしまった。
Shangdi:分かってくれてた(笑)
AMidado:あと「夢を持ってるうちは結婚できないよ」と。「夢とか目標に折り合いが付いてから結婚しないと大抵うまく行かないから」と。孫を見せるのは当分先になりそう。
年を重ねると色んな事が出来なくなってくるけど、代わりに色んな事が見えてくる。悩みが1つ解決すると新しい悩みが出てきて…。
Shangdi:体しんどいとかね。ボーカルは声質も変わってくるし。
AMidado:今までと違う曲が出来るようになると今まで出来てた曲が出来なくなったり。
俺、年を重ねるとものづくりに対する葛藤は終わると思ってたけど、多分この葛藤っていうか、闘い?は永遠に終わらないんだろうなー、って。だからこれからも葛藤し続けますよ。こんなシメでどうですかね。(笑)


+++ あとがきの一部 +++

今回も読んでいただきありがとうございました。今回も有料特典は、あとがき「本編」になりますが、購入が5人を超えましたら、irodoriさんが新曲へのリンクをおねだりしてみようかと思っております。現在作っておられるとのことですので、購入されたかたは、通知を楽しみにしていただければと思います。それではあとがき「本編」をお楽しみください。それにしても今回は……。


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