見出し画像

「シカでした。」の名シーンを演出したのはタペタムだった

北海道テレビ(HTB)制作のバラエティ番組、『水曜どうでしょう』の、『マレーシアジャングル探検』(1998年)において、
「シカでした。」の名場面を演出したのはタペタムでした。

ミスターさん(鈴井貴之さん)ばりに「沈着冷静に」解説していきます。

映像を振り返ってみると、マレーシアジャングル奥地の動物観察小屋(ブンブン)において、午前0:03にどうでしょう班4人は、深夜のジャングルの茂みの中にいる野生動物と遭遇します。

嬉野ディレクターの「こっち見てるって」からはじまり、暗闇の中、茂みの奥に見える動物が何かについて、緊迫感にあふれた言葉が交わされます。

「デカかったよねぇ ネコ以上あったよね」「こいつトラだよあれ!」「ウソ言え」「トラだって! デカイって!」と緊張感はMaxに!
(そんな会話の中に「トラえた」というダジャレのような言葉がちょいちょい差し込まれており、つい笑ってしまう。)

嬉野さん 「トラえた! 目玉が光ってる!」

はい、ここで光る動物の目がはっきりと映像に映り、タペタムが堂々の登場です。

藤村ディレクター 「あれ何だ? ほんとにトラかあれ」
鈴井さん 「ちょっと 冷静 沈着冷静に!」「万が一の場合に バリケード作る」
藤村さん 「バリケード」(半笑いのように聞こえる)
大泉洋さん 「でもあれトラにしてはさ 縞(しま)じゃないじゃん」
藤村さん 「シカじゃねぇの?」
大泉さん 「いや でもね シカっぽいよ」

ここでまた光る目が映りました。タペタム再登場。
さらにその後、角(つの)もはっきりと映る(笑)。

嬉野さん 「あっ! シカだ」「今僕はトラえました角を」

シカでした。」1)

ミスターさんが沈着冷静に作ったふにゃふにゃのスポンジのバリケードはご愛嬌ということで。

と、この名シーンを振り返ったのですが、ライトの光があたって動物の目が光ったときに、タペタムが登場と書きました。

タペタム(輝板(きばん))とは、夜行性動物の網膜の奥にある構造であり、網膜を通過した光をタペタムが反射して網膜で再感知することで、少ない光を効率よく利用でき、暗闇でも見えるようになるそうです。2),3)

暗闇でキラッと光る動物の目は、タペタムのせいなんですね。

はい、勉強になりましたあ。とともにあの名シーンを演出してくれたタペタムに感謝せずにはいられません。

『水曜どうでしょう』屈指の名シーンでは、
タペタムが非常によい働きをしたのですな!(笑)

キラーン!✨

あの時タペタムは、マレーシアのジャングルに住むシカの網膜の奥で、日本から来た4人のおかしなやりとりに、確かに目を光らせていたのでした。



参考文献

1)  北海道テレビ放送株式会社(HTB)制作『水曜どうでしょう』「マレーシアジャングル探検」(1998年)

2)   浜松科学館 みらいーら(2020年).「ネコとヒトの「見え方」の違いから「生き方」の違いが見えてくる話。 」.note.URL:https://hamamatsu-sci-museum.note.jp/n/n3fc71a422222.(参照2023-05-30)

3)  井の頭自然文化園飼育展示係 坂上琴音(2021年).「光る目、広がる目、縮む目―瞳孔とタペタム」.東京ズーネット(TOKYO ZOO NET) ニュース 井の頭自然文化園.URL:https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=ino&link_num=26662(参照2023-05-30)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?