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ホントのクリエイトの目撃者

もう何度目なのか覚えていないけど、「今回のはマジでスゲー!」そう言葉にせずにはいられない程に凄かった。

仲間が、ついに発明したのだ。新しいコネクターを。コネクターと言っても、機械とか器具の話ではない。概念の話だ。俺達の仕事を、世間の人にどうやって理解してもらうかについてこれまでたくさん思案してきたけど、それらのどれもが今一つだった。つい昨日までは「届く人には届くけど、大部分の人には届かない」という状態だったのだ。ここまでやってそうなんだから、そういうもんなのかなという事で一旦は受け取ってくれる人に向けてやっていくという方針でそこそこ反応も増えてきていたところだった。もちろん何とかしたいとは思っていながらも、どれだけ考えてみても俺には何のアイデアも浮かばない。

だけど、そんな状態を仲間が一気に打開してくれた。

元々、仲間がやっていたのは、自分が行う某所でのスピーチの原稿作成だった。そのスピーチの中で、いかに短く事業内容を伝えるかという事を考えてみたから聞いて欲しいと言われてその内容を聞いていたのだ。その中に盛り込まれていた発想と表現が、今まで俺達がずっとぶつかり続けてきた壁を一気に越えていくためのモノになっているんじゃないかと思ったのだ。そう思った瞬間、これまでにも何度も体感してきたあの感じが俺の全身を駆け巡った。

いきなり新しい世界に続く扉が開いたようなあの感覚。ずっとなんだか分からないけど何かが足りなくてモヤモヤしていたものが一つのピースによって全部理解できたようなあの感じ。何があるのか見えてなかった部分が見方を変えたらそれにしか見えなくなるあの感じ。そんな、アハ体験にも似た、一気に世界が違って見えるあの感じがやってきたのだ。

だから俺はもう安心した。もうこれで俺達の会社は大丈夫だ。これでどんな人にも俺達のやっている事を理解してもらえるという確実な手応えを得られたからだ。まだ外部の人には誰にも試していないけど、俺にはもう分かる。もうこれで大丈夫だって。これがただの楽観視じゃないことは、あと1ヶ月以内にハッキリしてくるだろう。この期間中に俺達には様々な予定が入っている。つまり、たくさんの人達にこのコネクターを使って手渡していく機会が待っているからだ。

そんな事を一瞬にして考えてしまった俺は、当の発明者である仲間を置き去りにして一人で高揚して興奮して捲し立てて、社内で仲間に完全に引かれるという、たまにしか無い状況を久々に産み出してしまったのだ。

すみません、取り乱しました。

でも、これだけは言っておきたい。

俺達は、これからメチャクチャに忙しくなるだろうから覚悟しておいて下さいね。