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トゥーンは無敵デース ←は?

昨年、「あだ名をつけられたことがない。あだ名がある人がうらやましい」というnoteを書いた。

30歳が書く内容ではない。ないのだが、そういえば僕にも実はあだ名があったことを思い出した。「シオンボーイ」である。

これは学生時代、バイト先の先輩・松倉さんが唐突に呼び始めたものだ。松倉さんいわく、

・『遊☆戯☆王』というマンガにペガサス・J・クロフォードというキャラがいる
・ペガサスは相手を「名字or名前+ボーイ」で呼ぶ
・主人公は「武藤遊戯」なので「遊戯ボーイ」と呼ばれる
・遊戯ボーイ→結城ボーイ→シオンボーイ

という三段論法(四段だが)で「シオンボーイ」にたどり着いたという。さすが早稲田生だ、と僕は感心した。一見「名前+ボーイ」というシンプルな構造であるが、裏にはなかなか複雑なプロセスが隠されているではないか。

バイト先という狭い範囲で使用されていた「シオンボーイ」だったが(それも定着したとは言い難かった)、当時のメンバーとは大学卒業して10年近くたった今でも緩やかなつながりがあり、いまだこの名前で呼ばれることが年に何度かある。

30歳で「ボーイ」など笑止、と思われた貴君は「あだ名」に対してまだまだ考えが浅い。WW2時代のドイツ軍といえば「パンサー」「タイガー」といった愛称の戦車が有名であるが、そのなかに「マウス」という機体がある。これを小型機と思った貴君はすでに術中にはまっており、マウスとは当時の大型戦車の1.5倍の120tを誇る“超重戦車”なのだ。特徴とあえて真逆のものをつけることにより敵を撹乱するのも「あだ名」の力なんである。あだ名をナメるな。ちなみに大戦末期には「ラット」という1000t戦車の開発にも着手しており、ドイツは地球の重力をナメていると思われる。

話がそれたし撹乱する敵もいないのだがとにかく、先日久しぶりに当時のバイト先メンバーで飲む会があった。5人で集まる予定で、4人しか来ず、ひとりは「with Bの練習がある」と言い30分で帰り、来たメンバーのうち会社員は2人だけという「出版社でバイトなんてするもんじゃねえな」という惨状だったのだが、そこで最年長の高等遊民・鈴木先輩が少し怒った調子でこう苦言を呈した。

「結城くんもさ、一生懸命頑張ってるんだからさあ。みんなも『シオンボーイシオンボーイ』って言って馬鹿にしちゃだめだよ」

えっ、シオンボーイって蔑称だったんですか!?

10年も呼び続けられてたのに?

ちなみに「鈴木先輩」は「サンプラザ中野くん」と同じく「鈴木先輩」でひとつのあだ名である。

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