「トライアングル2」


✨香菜side✨

香菜にはね瑠偉っていう4つ上のカッコイイお兄ちゃんがいます。お兄ちゃんは小学校からバスケットボールをしていて背が高くて優しくて大好きです。香菜の初恋の人なんだよ。中学生位からカメラに目覚めて香菜はよくモデルにされてた。お兄ちゃんには志音君っていう親友がいて彼は美容師とメイクアップアーティストをしてる。何処か出かけるときは香菜も連れて行ってくれるから楽しかった。志音君から好きって告白されたのは彼が成人式の時だった。「香菜が大好きなんだ、僕と付き合ってほしい」って告白されて香菜も好きだったからOKしたの。お兄ちゃんが突然カメラの勉強をしたいってアメリカへ行ったのは成人式の翌年だった。めちゃくちゃ寂しくて辛くていっぱい泣いた。志音君がいたから気は紛れたけど、しばらくは夜眠れなくて泣いてばかりだった。ママのおばぁちゃまからお兄ちゃんのある話を聞かされたのはお兄ちゃんがアメリカへ行って1年半位経った時だった。おばぁちゃまの家へ遊びに行ってるときに叔母さまがお兄ちゃんの話を始めておばぁちゃまは話を辞めさせたんだけど、香菜は聞いてしまったから叔母さまが帰った後におばぁちゃまからその話を聞いた。お兄ちゃんはパパの親友の人の息子で親子で出かけてるときに事故に巻き込まれてお兄ちゃんだけが助かって両親は亡くなったらしい。おじいちゃまの家に引き取られたらしいけど病気がちのおじいちゃまが亡くなりおばぁちゃまも亡くなってパパは親友であるお兄ちゃんのお父さんと何かあったら瑠偉を引き取ると約束していたからと養子にした。その後香菜が生まれたの。香菜は全く知らなかったし予想もしてなかった。おばぁちゃまから全て聞くまではね。そういえば香菜はお兄ちゃんが大好きで、なんでこんなに好きなんだろうと思ったことがあった。でもそこには血の繋がらない兄妹って壁があった。アメリカから帰ってきたお兄ちゃんはカメラマンとして仕事を始めた。ある時清涼飲料水のCMモデルが決まらなくてテストで写真を撮られたの。その写真をみた会社の人が香菜を気に入ってモデルになることになった。香菜を撮るのはお兄ちゃんだけだから安心だった。それをきっかけに読者モデルとかCMに出るようになりアニメ映画の声優まで始めちゃった。お兄ちゃんはいつもと変わらない優しい香菜のお兄ちゃん。だけど知ってしまった!お兄ちゃんとは血が繋がらない他人なのだと。その事がそれからの香菜の心に影を落とした。血が繋がらないとわかるとそれまで平気で出来ていたハグや甘えることが躊躇われた。だけどお兄ちゃんにその事を勘づかれてはいけないから、なるべく冷静に普通にしていた。その事で香菜の心は少しずつ堕ちていった。

✨トライアングル✨

ある朝起きてから胃が痛くて吐きそうになった。ママに言って叔父様の病院ヘ連れて行ってもらった。病名はストレスによる神経性胃炎だった。ママが心配そうに見つめていた。「香菜、おばぁちゃまに聞いたのよ。あなたに瑠偉の事を話してしまったこと」「ママおばぁちゃまは悪くないのよ?」「わかってるわ、大丈夫よ。ごめんなさいね、黙っていて」「ううん、知らなければ知らないで済んだんでしょう?香菜ね瑠偉が好きよ。初恋の人なんだよ?」「そうなの?」「だって瑠偉素敵でしょ?香菜には志音がいるけど瑠偉も大好きなの。どちらかなんて選べない」「香菜どちらかを選ぶ必要はないと思うわよ。香菜にとっては二人とも大切な人でしょ?ママねパパと出会う前に付き合っていた人がいたの。素敵な人でね、でもその人は白血病で亡くなってしまったのよ。その人とパパとママは高校の時から仲良しだったの。パパは彼が亡くなってから落ち込んで憔悴するママに言ったのよ。無理に忘れる必要はない、俺たちはトライアングルみたいだっただろ?って。きれいな三角形でお互いがお互いを想い助け合ってきた。だからこれからも空から見てるあいつの分もきれいなトライアングルを描いていこうって。だからママはパパと結婚したの。パパには瑠偉のパパとその人と大切な人が二人もいたの。香菜も瑠偉と志音君の間で揺れてるかもしれない。だからこんなに痩せるほど苦しんだ。でもいいのよ志音君も瑠偉も香菜の大切な人なんだからトライアングルでいいんじゃないの?志音君ならきっとわかってくれるわ」「うん、ありがとうママ、香菜自分の気持ちに正直になるね。二人とも大切だし好きだからママみたいに二人への想いを大切にしたい」「ええそれがいいわ、それでこそママの娘よ」「ふふっママ香菜を産んでくれて瑠偉と出会わせてくれてありがとう」「良かったわ」二人の話を部屋の入口で瑠偉と志音が聞いていた。それから二人は部屋を離れた。「トライアングルかぁ、いい例えだね。三角関係じゃないトライアングルな関係いいと思わないか瑠偉」「そうだな、オレ香菜を好きでもいいか?」「いいよ、オレに遠慮しなくていいから香菜を好きなら自分の想いに任せてみろ。お前とオレで香菜を愛して幸せにしてやろう?」「ん、ありがとう志音」「さて出直して姫君に愛を」「ん」二人はもう一度病室に向かった。瑠偉はアレンジフラワーを志音はチーズケーキを手にしていた。「姫君ご機嫌いかが?」瑠偉は笑顔で傍に進み花を母に渡して香菜を抱きしめた。「香菜ゴメンな。オレの事でこんなに痩せちまって」「ううん瑠偉のせいじゃないよ?香菜は瑠偉も志音も大好きだから、どちらかなんて選べなくて悩んじゃったの、だけど二人とも好きでいいよね?香菜の宝物だから」「あぁもちろんだよ。心配するな」志音はチーズケーキを母に手渡して香菜にハグをした。「香菜はオレと瑠偉で守っていく。お前はオレたちの天使だからな」香菜が退院してから瑠偉は香菜と二人でデートをした。ディズニーランドへ行きその夜はホテルに泊まった。お互いがお互いを想いながら告げることのなかった想いが少しずつ開いて今満開の花となった。愛しくて世界中の誰より愛しい香菜と瑠偉はその夜初めてを迎えた。「香菜…愛してる、お前はオレと志音で幸せにするから、ずっと傍にいろよ」「はい。瑠偉愛してる、香菜の初恋の人なんだよ瑠偉は」「ふふっ、ありがとう嬉しいよ。これからも志音と香菜とオレできれいなトライアングルを描いて行こうな」「はい、ありがとう、きれいな音、奏でて行こうね瑠偉」「あぁ愛してる。お前と出会えて幸せだよ香菜ありがとう」それから3人はお互いを尊重しあいトライアングルな関係を続けていった。


終わり


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