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文劇7にいってきたおはなし

特務司書は4年目、汐海うみです

先日、舞台文豪とアルケミスト 旗手達ノ協奏の京都昼公演を見に行ってきました!
今回はその感想を書いていこうと思います。


ざっくりとしたあらすじを

あらすじをざっくり説明します※細かいところは少し間違っているかもしれません

まず今回の劇7図書館には志賀直哉、武者小路実篤、有島武郎、里見弴、石川啄木、高村光太郎、広津和郎が転生していました。
その中でも白樺派は特に強く無敗と呼ばれるほど(最強だったかも?このあたりうろ覚えです)強く、皆が頼りにしていました。

そんなある日、里見弴の著作「善心悪心」が侵蝕されます。
この作品は白樺派にとって”いわくつき”の作品で、というのも里見がかつて志賀をモデルにした登場人物をこの作品に出し、その登場人物を悲惨な結末に導いたことで志賀と絶縁したからでした。
白樺派で潜書しますが、敵が強く選書は失敗に終わります。

この本を浄化することはできるのか…?そもそも勝てるのか…?
勝機を失いつつあるとき広津が言いました。
「小林多喜二を転生させるのはどうだろうか」
小林多喜二は生前、人の心を大きく動かした作家だった。彼のもつ強い思いがあれば、この本は浄化できるのではないかという話でした。
しかし、特務司書の話によると有魂書の中に侵蝕者によって閉じ込められているため助けられるか分からない、助けられても再び図書館に帰ってこれるか分からないという状況に置かれていました…

感想を一人ずつ

志賀直哉役 谷佳樹さん
沼すぎる。今回初めて生で見ました。沼すぎる。
普段はキリっとして頼りになる志賀お兄さんなのに武者さんが絡んだ瞬間緩むの最高でした…
個人的に
・本物の志賀なのか?クイズ
・広津くんのメモ探しの時のVAR
が面白かったです大爆笑してました
戦闘シーンでジャケットがめくれるわスカーフが舞うわなのに全く崩れない王子フェイスこれはもはや本人では…?
偽志賀さんも冷酷で普段の優しいところをすべて排除したようなキャラになったのに演じきるところすごかったです
顔は一緒なのに明らかに正反対だってわかる動きができるのやばくないか

武者小路実篤役 杉江大志さん
コメディ兼メンタルサポーターポジ
武者さんが入るとコメディ展開になりがちなので来た瞬間「さあ何をする…!」とワクワクしていました
まじで細かい話なんですけど座るシーン全部きれいに足閉じてて、最高にいいとこ育ちって感じがあふれてましたあれは本物。
私が一番好きなのは偽里見を倒した後の「偽物だと分かってても気分はよくないね」からの刀降って血を落とすシーンのところ(多分みんな好き)なんですけど
私がこれまで持っていた仲間想いな武者さんイメージにぴったりだったんです
仲間を傷つける者として許せないから容赦はしないけど見た目は仲間だから倒すのは気が引けるっていう二つの感情をあの一瞬で表現するとは…

有島武郎役 杉咲真広さん
これが噂の劇島か…となりました
しゃべるし叫ぶ。図書館の5000倍は元気。
私が見た公演では兄弟で話している最中に寝てしまい、「武郎兄…?」と声をかける里見くんに対して「いけ!!!!!差せ!!!!!弴!!!!!!」(競馬ネタ)と叫んでいました
(この後「うわあああああ!!!」と言いながら舞台上を走り回る里見くんもかわいい)
おもしろさ割り増しな劇島さん。この性格ずっと残してほしい。
真面目なシーンの話ですが結構今回辛かっただろうな…と
偽の弟に切られるって結構辛いし、武者さんと口論になるシーンが志賀さんがいないと弟が助けられないっていう不甲斐なさがほんのり感じられて泣きそうになりました
ハッピーエンドで安心です。よかったね!

里見弴役 澤邊寧央さん
多分ゲームからでてきたDMM生まれ三次元育ちだと思う
あざといかわいいあっ…これCV石田彰だって一発で分かるようなキャラをそのまま出してきたって感じでした。なんなら声も似ていた気がしてきた
お兄ちゃんと同様結構苦しい役柄だったと思います。最初は「みんなに追いつけない…!」という思いから生まれた焦燥感をもっていたけど、最後には焦らずゆっくり追いついて見せるからという決意が感じられたような気がして感動でした。武郎も感謝です
それから偽弴シーン。最初は偽物だと気が付かなかったのでなんか動きぬるぬるしてるな…?と思っていたのですがそのあとお兄ちゃんを裏切ったのを見て合流シーンから役に入り切っていたのか…!と驚かされました
人間らしくない動きが盛りだくさん且つ、堕としてやるという非道な性格がにじみ出ていてあと一時間は見れました…むしろ見せてくれ…

石川啄木役 櫻井圭登さん
啄木さんって個人的に借金とかお酒とか放浪人っていうイメージが強い人だったんですが、この劇見てそれだけじゃないんだよ(クソデカ感情)ってなりました
特にそれが現れているのが志賀を追って多喜二くんを助けに行くシーンで、
生きて帰れるかわかっていないと知っていながらも志賀に加勢しに行くところ、魂が半分ない多喜二くんを励まし、守りながら脱出を試みるところ、
拘束されてた志賀を銃で助けるところ…優しさが言動からにじみ出ていて
彼の作品を具現化したようなそんな演技と役柄だったなと思います。
真面目じゃない(?)シーンではわちゃわちゃしていて高村さんに構って構ってと絡みにいっている様子がたくさん見られて幸せでした
一生仲良くしてて….
もっと競馬して….金はやる…

高村光太郎役 松井勇歩さん
所作の一つ一つがなんというか丁寧でとてもお上品でした
しゃべり方も穏やかで表情も仕草も美しいのに戦闘シーンになった瞬間別人でした
多分劇7図書館でもトップを争うレベルで強いのでは…?
撃つときは必ず致命傷になるところ狙うし、遠く離れたところでも仕留めるし、近距離戦になったら蹴りも入れるし…
何度見ても良すぎましたずっと戦うところ見てたい…
そしてみなさん大好き智恵子さんとの回想シーン!
私は智恵子抄が大好きなのであのシーンで泣きました
劇中で見せた彼の唯一の弱みであり、力の根源であるような胸をぐっど捕まれるシーンでした
その前にある「里見さんは思い続ける相手がそばにいる。それを忘れてほしくない」のセリフも本当に大好きで…
思い続ける相手がそばにいないことを知っている彼にしか言えないセリフで…もう…辛い….

広津和郎役 新正俊さん
個人的一番似ていた大賞
多分私の脳内で描いていた広津和郎という人物を丸ごとトレースしてきたと思う。
動くたび、戦うたびマントがひらひら舞ってそこに美しさと上品さを感じるのにどこかにぬぐい切れない殺意というか雄々しさのようなものが感じられて控えめに言って最高でした
(あと足首が遠くから見ても細くてずっと足見てた)
それから途中侵蝕者に操られてませんでしたか…?
あのシーンだけ広津くんが違うもののような気がしてじんわり怖かったのを覚えています
もしかしたら広津くんは今回他よりも強い繋がりがある人がいる!といった立場じゃないから外から操ろうとしてたのかな~と
色々な考察とかを含めて今思うのは人形みたいに美しくて少し不安定な立ち位置だったように感じました。私は。

小林多喜二役 泰江和明さん
初っ端から私たちを殺しに来ていた
最初の方(だったはず)の「生きるということはすなわち書くことそのもの。逆説的に言えば書けなくなるということは死んでると同じ」
のセリフが好きすぎました。このセリフ、全文豪さんに当てはまるんじゃないかな
志賀さんと話すシーンは大体雰囲気が柔らかくて、にこにこしていることが多くて、本当に心の底から師を尊敬していて大好きなんだなというのが伝わってきました。
しかしそんな穏やかな印象とは一変して戦闘シーンは「想いが強い」とだけあって豪快で、力強くてかっこよかったですこれがギャップ
おそらく明言はされていないけど数十年は幽閉されていたはず…
ほんとうにしあわせになって….しあわせにしてやるから…

侵蝕者役のみなさん
私が公演を見に行く前にグッズ化が決まったり感想に侵蝕者応援勢現れたりなど…人気があることを小耳にはさんだ状態で見に行きましたが
あれは、好きになる。これは、まじで(語彙)
高村さんが客席付近を歩く侵蝕者を撃ち抜くシーン、私の前で侵蝕者の方々が撃たれていたのですが「ほんとに死んじゃった?」ってレベルでお上手でしたびびった
侵蝕者のもつ人間じゃない気味の悪さとか戦闘シーンの立ち回りとかあの人数で回せているのが不思議なくらいです分身した?
色々な姿(智恵子さんとかラスボスとか)ころころ役柄が変わってる方もいるのに切り替えが上手なので全く違和感がなかったです

…やっぱり侵蝕者あの場に三十人はいたんじゃないかな

最後に


これ私が見た日にどうにか絞り出した感情をまとめたnoteなんですけど
今でもそうだなと思っています。
小林多喜二という文豪の話をすると彼の思想や壮絶な人生に焦点を当ててしまいがち(彼を語るうえで大事な要素でもあります)です。事実、私自身自身ゲームを始めたての頃は彼の説明文の”追われていた”の所に特に目が向いていたと覚えています。
しかし、蟹工船という作品においても作品の構成、進め方、表現の美しさなど思想や題材となった社会の状況とともに描かれた文学としての彼の才がそこにあって、社会的価値ではなく文学という面からみてとても素晴らしい作品を描いていた人物でもあります。
あの時代に死ぬ気で作品を書いていた文豪である、このゲーム内においてもほかの文豪さんと同じだということを改めて伝えられたような気がしました。
それから、今回に限らず文劇のテーマともいえる”想い”が各々まじりあって、それが敵を倒す大きな原動力となっていく様が素敵でした
(各々の想いの交り方の違いが文劇6との違いだったんだよな…というのは余談)
志賀さんの今度こそ守ってやりたいという想い
武者さんの志賀に褒められたい、志賀がいるから頑張れるという想い
有島さんの弟を守りたい、お兄ちゃんらしくしてあげたいという想い
里見さんのおいて行かれたくない、対等になりたいという想い
多喜二くんの自分のせいで人を傷つけたくない、師を守りたいという想い
高村さんの最愛の人を愛することに対する想い
広津くんの白樺のみんなにかつての恩を返したい、みんなの助けになりたいという想い
啄木さんの同郷の者として自分を慕うものとして多喜二くんを助けたいという想い
ぶつかり合って、想い同士のせめぎ合いが起きたりしながらも最終的に”文学を救う”という一つの道に向かっていく…そんな作品でした

今回私は初めて文劇を生で見ましたがやっぱり臨場感とか作品の雰囲気の味わい方が全然違いました
参戦、神か。
今度は劇8!ぜひ参加しようと思います!

最後まで読んでくださりありがとうございました
文豪とアルケミストがこれからも大好きです!

p.s.ゲームの回想「志賀と小林」見てください
みなさん、是非。

好きすぎる


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