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デンタルリテラシーを高めよう(3)


●歯の根っこの治療とは

前回、虫歯にはいくつかの段階があるとお伝えしました。普通は歯の表面から虫歯が発生し、放置しておくと最終的には「歯の根っこ」まで侵食されていきます。今回はこの「歯の根っこ」の治療について説明します。(根管治療、あるいは歯内療法と言います)

まず、歯というのはものすごく長い形をしています。口を開けた時に見えるのは一部分だけで、実は長い根っこが、骨と歯茎によって支えられています。しかも奥歯の場合、根っこの部分は枝分かれしています。


画像:http://www.urban.ne.jp/home/kame/frame/ideal.html

一般的な虫歯の治療は、歯を削って、樹脂か金属かセラミックなどの材質を詰めます。あるいは被せます。しかし、根っこの治療をする時は、内部にある細い空洞の中をきれいにして、無菌状態にする特別な処置が必要になります。簡単に言うと、まずは細いドリルみたいなもの(ファイルやリーマー)を使ってガリガリほじくって、水で流して、消毒剤を詰めます。そして、後日その消毒剤を取り除き、ゴムみたいな素材を詰め込んで細菌の感染や繁殖ができない状態にします。

画像:http://www.11846182.com/original13.html


●根管治療の実態

根管治療(歯の根っこの治療)については、実はあまりよろしくない診療の実態があります。

治療のポイントは、とにかく根っこの中の空洞を無菌状態にすることで、そのためにはそれ相応の設備と治療時間が必要になります。具体的には、まずラバーダムと呼ばれるゴムシートみたいなのを使って患部だけを露出させた状態で治療しなければなりません。これを使わないと唾液(細菌がたくさん含まれている)が患部と接触するからです。

画像:http://www.healthcare-mdc.com/root_canal/


そして、歯の根っこの中は細いし暗いので、マイクロスコープで患部を数十倍に拡大した状態で、丁寧に処置をする必要があります。

画像:http://www.nakaya-dc.net/about/microscope/


しかし、保険診療では根管治療の点数がめちゃくちゃ低いので、ラバーダムもマイクロスコープも使っていない歯科医院がかなり多いです。そして、一回の処置時間を短くして、何度も通院させて、歯の根っこの中を掃除する処置を繰り返すということが普通に行われているのです。

その結果、根管治療が終わって数年後に、また歯やほっぺたの辺りが痛くなるという人が続出しています。理由はもちろん歯の内部に細菌が残っているから。場合によっては、細いドリルの先端が折れて、歯の中に埋もれていたという事例もあります。


●根管治療を受ける時にチェックしておきたいポイント

根管治療は、言わば建築における基礎工事のようなものなのです。根っこをきちんと治療しておかないと、その上にどんなに効果な被せ物をしても意味がありません。

では、もし根管治療を受けることになったら、どうすればいいのか。まずは先程説明しました通り、ラバーダムやマイクロスコープを使っている歯科医院を選ぶのはマストです。さらに根管治療(正確には歯内療法)の専門医や指導医を持っている歯科医師に治療してもらうのがいいと思います。この辺は歯科医院のホームページを見れば書いてあります。(ちなみに、保険診療での根管治療しかやっていない場合、あまりにも儲からないので、ホームページに根管治療の項目を載せないでくれと言う院長もいるくらいです)

ただし、そこまでちゃんと根管治療をしてくれる医院の場合、自由診療となります。ごく稀に保険診療でも採算度外視で徹底してやっているところもありますが、レア過ぎますし、選別するのは難しいかもしれません。自由診療の根管治療だと、歯1本あたり5万円〜15万円くらいが相場となりますが、超大事な歯の根っこを守るためなので、ここはケチらない方がいいでしょう。なお、保険だと5回以上通院して何度も歯の中をほじくることが多いのですが、自由診療(最良の方法)だと基本2回で終わります。

もちろん、そもそも正しい歯のケアを行い、万が一の時は早期発見・早期治療をしておけば、根管治療なんて基本的には必要ありません。歯の治療って本当にお金も時間も身体の負担も大変なので、今ある健康な歯を大切に守っていきましょう。

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