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デンタルリテラシーを高めよう(1)


●歯はQOL維持に欠かせないもの

健康や美容についての有益な情報は、SNS上でちょくちょく共有されています。しかし、なぜか歯についてはそうでもありません。せいぜい「ホワイトニングしましょう」くらいではないでしょうか。あまり気にしてない人も多いようですが、歯は健康にも美容にも深く関係しており、死ぬまで高いQOLを維持するためには欠かせないものです。そこで、このnoteではデンタルリテラシーを高めてもらうための情報をお届けしていきます。(たくさんあるので数回に分けます)

歯に関する知識や意識を示す言葉として、一般的には「デンタルIQ」という言葉が使われていますが、ここでは「リテラシー」と表現しています。理由は、医療においては「何が正解か」は日進月歩で変わっていくからです。いつも自分で情報を集めて、考えて、自分で決めることが大切です。しかし知識がなさすぎると何をどう調べて考えたらいいのかもわかりません。そのファーストステップとして、このnoteをお役に立てていただけると嬉しいです。

このnoteでは、「特別な」ことは何も書いていません。本来なら誰もが知っておくべきことのなのになぜか知られてないことを、お伝えしていきます。(医療においては「特別な」情報というのはむしろ避けるべきでしょう)


●どういう根拠に基づいて書くか

仕事で数百人の歯科医師に会って詳しく話を聞く機会があったので(数年間に渡る)、たぶん一人の専門家よりも「全体観」を持って情報をお届けできるかと思います。実際、仕事してて歯科医師に「いまはこういうのやるクリニックが多いみたいですよ」とアドバイスすることもあります。

もちろん仕事の機密情報に触れるようなことはお伝えできませんが、一般的な歯の知識を広めることは歯科医師のみなさんも望まれていることですので、noteに書くことにしました。

なお、他の分野と同様、歯科医療業界においても派閥のようなものがあり、何をよしと考えるのかはバラツキがあります。そのため、このnoteでも、意見が分かれているものについてはそう明記します。(繰り返しますが「特別な」情報をお届けするわけではありません)


●まずは歯のことを知る

治療や予防の方法以前に、そもそも「歯」というものに意識を向けていない人が多いと思いますので、まずはそこからいきましょう。手元に鏡をご用意ください。

みなさん、歯って何本あるかご存知ですか? 中心から奥に向かって以下のような構成になっていますので、ご確認ください。下の歯を見るとわかりやすいです。

・前歯が2本
・犬歯が1本
・小さい奥歯が2本
・大きい奥歯が2本

で、通常は7本あります。これが上下左右にあるので、合計7本×4=28本ですね。これらにプラスして、親知らずが生えている人もいると思います。

それで、この28本ある歯がジジイ/ババアになるとどれくらい残っていると思いますか? いろいろな調査結果があるのですが、日本人の場合、80〜85歳の歯の欠損数はなんと平均12.9本、85歳だと17.5本にもなります(平成28年時点)。これでも実は改善された方で、例えば平成11年ですと85歳の人は平均24.0本の歯を失っています。自分の歯は4本しか残っていなかったわけですね。(いずれも厚生労働省『歯科疾患実態調査』より)

日本では「年を取ると歯が抜けるのは当たり前」という感覚がありますが、歯科先進国のスウェーデンは数年前の時点で既に80歳の欠損歯数はわずか3本と言われています。

大人になるともう新しい歯は生えてこないので、今ある歯をどれだけ守るかが勝負になります。まずはみなさん、いまの自分の歯の本数を認識しておきましょう。

(続く)


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