機材の電源の管理について
こんにちは。レコーディングエンジニア兼、機材メーカーのShinya's Studioです。
今日は電源の管理について。
ごく稀に、
「電源スイッチをフロントパネルにつけて欲しい」
「電源スイッチがついていない機種につけて欲しい」
と言うようなご意見を見かけますが、Shinya's Studioの方針として、
機材は使いやすくないといけないが、機能を追加することで機材に影響を出してはいけない。
と言うのがあります。
懸念点
電源スイッチに関して、懸念点は2つあります。
1つはスイッチなどの接点部品は劣化しやすいということ。
機材において一番早く劣化する部品は真空管でも電解コンデンサーでもなく接点です。
スイッチ、可変抵抗、コネクタ、などです。可能な限り減らすことが重要です。
可能な限り。
もう1つは電源スイッチをつけることで機材内部に交流100Vを引き回すことになり、ノイズの原因になる。ということ。
たとえばインレットはリアパネル右に、電源スイッチはフロントパネル左にだと機材内を引き回すことになりオーディ回路でノイズを拾いやすくなります。
対策をすれば良くなりますが、コストがかかります。
この2点のため1Uラック機材はインレットのすぐ横に電源スイッチをつけています。
またACアダプター製品に関しては基本的に電源スイッチをつけず、ACアダプターの1次側(コンセント側)で切っていただくことを推奨します。
なぜならACアダプターになにか問題があった場合に、機材側だけ切ってしまうとACアダプターが動作し続けるからです。
問題がなくてもACアダプターの電源が切れていないと寿命が短くなります。
1次側で電源を切るのは鉄則!
1Uラックの電源スイッチもトランスの1次側についています。
でも面倒じゃない?
で、電源スイッチが後ろについていたり、無かったら不便じゃない?と思われる方にShinya's Studioの電源管理についてご説明します。
現代にはスタジオでなくても電源が必要な機材がたくさんあります。むしろ個別で電源を落とすのは不便で、Shinya's Studioではディストリビューターを使っています。
機材は主なものですが、100Vコンセントからディストリビューター3台に行き、そこに機材を接続。
スタジオに到着したら3つのスイッチを入れることでシステムが起動します。
ディストリビューター3台のうち2台はシーケンス付き。スイッチ1つで順番に電源が入っていきます。
電源が入る最後にスピーカーなどを繋ぐことで、スピーカーが立ち上がった後にインターフェースなどが立ち上がってしまい「バツッ!」と言うこともありません。それが自動化されています。
そして、ディストリビューターの3台目はAtmos関連のスピーカー(MTMが7本と、サブウーハーなど)がつながっていて、Atmosのシステムを構築するときに一発で立ち上がります。いちいちスピーカー8本の電源を入れに行く必要はないです。(特に吊ってるスピーカーの電源を入れるのは厳しい、、)
さっきも書いた通り、機材の電源スイッチはトランスの1次側(一番最初についていること)が鉄則。なのでShinya's Studio的に外からオンオフするのも同じという方針です。
ちなみにディストリビューターの前面は非連動であることが多いです。
電源を間違って切ってしまったときに落ちてはいけないMacや、電源を切っていても使いたいもの(スマホの充電器など)を繋ぐと便利です。
そんな大掛かりなものは必要ないよと言う方はスイッチ付きの電源タップを買ってください。
僕も家はスイッチ付きの電源タップを使っています。
たとえばハンダゴテみたいに、電源スイッチはついてないけど常時空焚きはまずいみたいなものは電源タップのスイッチでオンオフしています。
電源が切れてない時がある?
過去にご相談いただいたことがあるのですが、電源が切れていないことがあります。
電源タップなどでスイッチを切っても、たまに一瞬電源がつくと言うような内容。
これはコンセントの仕組みにあります。
コンセントは交流100Vです。2極のものはみためどちら側にも挿せますが、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが極性があります。
詳しくは割愛しますが、Neutral側(接地側、0V)とLive側(100V)があります。
そして電源スイッチは片切りであることがあります。どちらか片方を切っている電源スイッチ。
基本的にはスイッチはライブ側を切るということですが、コンセントがどこかでひっくりかえっていると、接地側を切っていてかつ接地はどこかからか繋がっていたりすると、不安定になって電源が入っているような状態になることがあります。
その場合はコンセントの差し方をどこかひっくり返してみたり、コンセントの両方を切る両切りのスイッチを使ってみてください。
極性を調べるには検電ドライバーと言うものもあります。
以上、第2種電気工事士を20年くらい前に取得したShinya's Studioおじさんでした(
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?