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4000 Buscompの中身を考察!

2020年も明けて2月半ばになって来ました。すこしずつ暖かい日も増えて来ましたね。今回は4000 Buscompについていろいろと書いていこうと思います。長めになってしまいましたので目次と太文字で飛びながらみてください。

続々4000 Buscomp取り扱い!

さてShinya's Studioの4000 Buscompですが実は2013年から販売をして来ました。販売を開始してからいろいろと改良を加えて今年でおかげさまで8年目に突入します!

去年渋谷のイケベ楽器 Power recさんで取り扱いを開始となりましたが、この度、神田の宮地楽器さんでも取り扱っていただくこととなりました!🎉

私個人としてはレコーディングエンジニアとして、レコーディングで使えるもの、ある程度機材が揃ったレコーディングスタジオでさらにリズム録りなどでコンパクトで実践的なものをと機材開発をしていましたが、その中でも4000 Buscompはレコーディングをしない方でもミックスやマスタリング時の2MIXにかけたりなど有効であると考え楽器屋さんと相談の上取り扱いとなりました。

4000 Buscompとは?

4000 Buscompとは一体なんなのでしょうか。みなさまもうご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、今回は「Shinya's Studioの4000 Buscomp」をエンジニア目線と機材設計者目線でご案内したいと思います。

まず4000というのは1億円クラスのSSLのレコーディングコンソール 4000シリーズのセンターセクションに搭載されていたという意味です。4000Eや4000Gなどが有名です。ちなみにinstagramで4000Gで検索をすると元気な赤ちゃんが出て来ます(笑)

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画像は4000シリーズの後に出た9000J

Buscompというのは複数のトラックをまとめたBusの回線に使用するために設計されたCompということです。卓ではセンターセクションについていますが単体のトラックに使用しても問題ありません。

なのでBuscomp=SSLというイメージが強いですが卓の最後には大抵バスコンプがついていますのでAPIの2500やNeveの2254、33609もバスコンプになります。

4000 BuscompはVCAコンプ

コンプの種類はVCA、オプト、FET、ダイオード、バリミュー管などありますが4000 BuscompはVCAコンプです。VCAという素子でコンプレッションをしています。

VCAとは「Voltage Controlled Amplifier 」の略で電圧でアンプのゲインを可変できる素子です。コンプに入って来た信号を検出回路によって直流の電圧に変換しVCAに送ることで音声信号をコントロールできます。

VCAは物理的にどう行ったものかというとトランジスタ、FET、抵抗、コンデンサなどでできた集積回路です。ディスクリートのものもありますが主にDBXやTHATといったメーカーのICが有名です。SSLもDBXかTHATなどのICが使われている事が多いです。

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VCAのイメージ

VCAはコンプの他にレコーディングコンソールだとVCAフェーダーや、シンセのVCAモジュールなどにも使われていますね。どれも電圧でゲインを調整するものです。

もう「VCA」がゲシュタルト崩壊を起こし始めました、、、

VCAコンプの特徴

VCAコンプの特徴は半導体なので、反応速度がかなり速くFETコンプと似ている部分があります。回路的に遅くすることはできても速くすることはできないので速さを求めるならVCAかFETのコンプということになります。

速いとどうなるかというとコンプレッションした感が出ます。さらに速くしたことよる倍音が増えますので歪みっぽくなります。ドラムなどでコンプ感を出したい、またはちょっと歪ませたいなんて時に便利です。

そして他のコンプと一線を画すのがSNの良さです。加えて構造上ガリも出づらいです。

コンプレッサーの構造は基本的に最初の回路でゲインリダクションをして、次の回路でその分のゲインを上げます。そうするとどうなるかというとゲインを後で上げた分、10dBなら10dB分SNが悪くなります。実際にはゲインリダクションの回路のSNやアンプのゲインも絡んでいるのでもっとSNが悪いです。

VCAコンプの場合はVCAという素子でゲインを管理しています。ゲインはマイナス側もですがプラス側もです。10dBゲインリダクションとそのあとの10dBゲインアップをVCA単体で行うためSNはほぼ変わりません。

通常のコンプだと音が通る回路は10dB下げて10dB上げるためSNは10dB以上悪化しますが、VCAコンプは10dB下げて10dB上げるを制御回路が同時に行うためVCA的には0dBとなりコンプがかかっていない時と近いSNのままということです。

SN(SN比)はSingnalとNoiseの比率。SN比 100dBなら信号に対して-100dBの音量でノイズがいるということ。これが10dB悪化すると-90dBになるということ。

そして回路的にゲインやその他をコントロールするのは制御信号なので物理的に部品にガリが出ていたとしても音声信号にガリは現れません

SNにシビアな2MIXにはもちろん、オケが薄いピアノのトラックや、ゲインを上げる必要があるドラムのアンビエンス+ゲインの低いマイクなどにも効果的です。私もドラムのトップ、アンビ、ピアノのオンマイクかオフマイク、シンセなどレコーディングで多用します。

Shinya's Studioの4000 Buscomp

さてようやく本題です。Shinya's Studioの4000 Buscompは何が違うのか。

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基本的には前述の4000 Buscompを押さえつつ、機能を盛り込んでいます。

まずそれぞれのポジションを追加しています。レシオ、アタック、リリースは本来3〜5ポジンションですが、どれも微調整ができるように6ポジションにしてあります。レシオは特に1,5:1や6:1、8:1などが増えて使いやすくなっています。

さらにS.C.HPFの追加。制御信号にハイパスフィルターを追加しています。低域になるほど波長が長い分エネルギーが強く、コンプの検出がされやすくなります。スピーカーのユニットでも低域が入ると大きく動きますね。S.C.HPFで余分な低域を検出回路に送らないことで変にコンプレッションされるのを防ぎます

これが結構便利で、プラグインでもBuscompが各社出ていますがS.C.HPFがついてないものも結構ありWavesなども付いていないので「つけてくれ!」と思っています(笑)

さらにMSによるWidth機能の追加。ビンテージのアナログ機材は通すとステレオ感が狭くなる事がたまにあります。Shinya's StudioのBuscompは最新のためそのようなことはないのですが(笑)、MSによるWidth機能によってLRをさらに広げる事ができます。各トラックでエフェクト的に広げてもいいですし、2MIXの最終段で広げたいシチュエーションは結構出て来ますので若干広げるということもできます。

プラグインでもOzoneやDigital V2、S1などステレオイメージャー的なものは付いていますがデジタルでやるかアナログでやるかということと、広げるために何かを使うかコンプを通す時にステレオ感も同時に調整できるかということはあります。

さらにオプションで入出力トランスの追加もできます。もともと回路的にソリッドステートを売りにしているので野暮かもしれませんが、録音されない環境、例えばソフトシンセやサンプルを使って2MIXまで行く場合などはアナログ感も欲しい場合があるかと思います。そのような場合は有効です。

肝心の音はどうなの!?

肝心の音はめちゃくちゃいいです!

といっても説得力がゼロなので是非動画をみてください(笑)使っていただいた方にはかなり好評です。

2MIX↓

Drum↓

Piano/Vocal ↓

いかがだったでしょうか。今後も他機種も含めて機材の動画を上げ続ける予定ですのでチャンネル登録も是非お願いします!

さらに前述の通り渋谷イケベ楽器さんと宮地楽器さんでも取り扱いいただいておりますが、どちらも展示をしていただいております。お近くの方は是非お問い合わせの上直接ご試聴してみてください!

渋谷イケベ楽器 Power Recさん↓

宮地楽器 神田店さん↓

https://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-200216-ta01.html

最後まで読んでいただきありがとうございました。長文失礼しました。

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