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商売スタイルの考え方は、イニエスタから学べる

Jリーグが開幕しました。「ヴィッセル神戸 vs. セレッソ大阪」をDAZN観戦。ボール支配率62%の神戸が0-1で敗けました。

ぼくはサッカーを商売(ネットショップなど)に置き換えて考え事をするのが趣味なのですが、
 
「ボール占有率を高めるスタイル(神戸) vs. カウンターを活かすスタイル(C大阪)」という構図は、ボールを「お客さん」に見立てると商売に通じてくる気がします。
 
「お客さんとのコミュニケーションが大事だ」と考えて、コンテンツやコミュニティつくりに注力するのは、ボール占有率を高めるスタイル。

一方、「セール」で瞬発的に売り上げをつくるのは、カウンターを活かすスタイルに似ているなぁと。
 
売り上げを「得点」に見立てるなら、やはり前者(コンテンツ・コミュニティ)より後者(セール)のほうが手っ取り早く結果を出しやすいです。
 
「イニエスタ選手」は、コンテンツマーケティングをやろうとしているお店が「カリスマYoutuber」を連れてきたような感じでしょうか。そこではお客さんが全然離脱しない(ボール取られない)わけです。
 
ただ、お客さん(ボール)がほかのページ(選手)に回遊すると、「つまんないな」などと離脱されがち(ボール奪われがち)になる。
 
ボールを奪われないようにがんばる選手は、どうなるか。
 
データで評価される「パス成功率」を上げることに必死になります。自分にボールが回ってきたとき、誰でもいいから味方につなげばパス成功率は上がります。
 
その結果、安全な横パス・バックパスが増えます。なかなかシュートまでいきません。商売に置き換えるなら、次の面白コンテンツへのリンクは出てくるけど、一向に「そのお店の商品が欲しくなるコンテンツが出てこない」みたいな感じでしょうか。ただ飲み会をやるばかりで、みんな仲はいいけど内容がないコミュニティとかも当てはまりそうです。
 
その点、イニエスタのプレーを観ていて気づくのは、パスを出すたびにチャンスができること。すなわち、イニエスタは「自分のパスを受けた選手が有利になるか」をパスの判断基準にしているのがわかります。「誰でもいいからパスミスしないこと優先」とは次元が違う。
 
「相手にとってイヤなところ」を最優先に探しています。
 
そこで思い浮かんだのは、「惜しいコンテンツマーケティング」でありがちな、「せっかく商品を欲しくなるところまで接客できたのに、購入の際は最安値のお店に行かれてしまう」パターン。ボールばかり見ていて、相手選手(他店)のポジションが見えていないわけです。いわんや、「相手にとってイヤなところ」をや、です。
 
つまり、「あなた(のお店)から買いたい」と思ってもらえるにはどうしたらよいか、を常に第一に考えているのがイニエスタ的な商売スタンスだと思います。
 
というわけで、そこまで考えてやらなければうまくいかないのが「ボール占有率を高めるスタイル」なので、手っ取り早く結果が出やすい「カウンターを活かすスタイル」に流れるチームが多くなります。
 
三木谷さんは、FCバルセロナと提携した理由を、「哲学が似ていたから」と言っていました。ボールを支配してファンを魅了するバルサのサッカーが「Shopping is Entertainment !」を謳う楽天市場と似ている、ということだとすると、安易なセールに流れないようにするのが楽天の大事な仕事のひとつになります。
 
イニエスタ・ビジャ・ポドルスキという世界的タレントがいたって初戦で敗けるくらいなので、中小ネットショップの商売なんてもっとうまくいくわけありません。でも「ボール占有率を高めるスタイル」を諦めず、うまくいくまで長くやり続けると、そのうちすごいことが起こる。

イニエスタも、試合後に「このスタイルをめげずに続ける」とコメントしています。一朝一夕にできるようなスタイル・世界観ではないことを深く理解しているからこその一言です。

というわけで、先週参加したICCサミットとJリーグ観戦の刺激が頭の中をぐるぐるしていて、こんなことを考えた日曜日でした。

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