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恐怖図鑑 エルム街の悪夢

1.2.freddy's coming for you.

眠るな。-ヤツ-が来る。
ある時は寡黙な殺人鬼。
ある時は魔女っ子に。
そして、ホッケーマスクのアイツとも善戦した。ホラー映画界のレジェンド。

それがエルム街の悪夢 夢の支配者フレディ・クルーガーだ。

言わずと知れたホラー映画…と言いたいところだが、40年経った現在の知名度はそうでもないようだ。クロスオーバー、リメイクも含めると、9作も作られた立派なレジェンドホラー映画だが、20代前半に「エルム街の悪夢」「フレディという名前の長い鉤爪を持つ殺人鬼」と言っても「あ~、ウルヴァリンみたいな。」と一蹴されてしまう。この現状にはフレディ・クルーガーも若者達の夢の中で人知れず、地団駄を踏んでいることだろう。

さて、簡単にストーリーを説明すると「寝ると夢の中で殺人鬼が殺しに来る。」というモノ。この斬新すぎる発想は、当時の試写会では散々なモノだったが、後にビデオリリースされてから大ヒット。日本でもフレディはジワジワと知名度を上げていき、フレディ役のロバート・イングランドは現在もこの役にかなり誇りを持っている。

フレディの特徴的な右手の鉤爪は、全て本物のナイフだったというのも驚きだ。ロバート・イングランドは何度も手や顔を切ってしまったらしいが、やはりイカれた映画にはイカれた人間が不可欠だ。徐々に扱いに慣れてきて「見てくれ!テーブルのウィンナーを突き刺せたぞ!」と大喜びだったという。シリーズが進むと器用にリンゴを剥いたりも出来るように。映画より恐ろしい対応力だ。

初期は寡黙でニヤニヤ笑い、たまにブラックジョークを吐く殺し屋だったが、後の作品では高笑いを響かせながら、べちゃくちゃとジョークを言い放ち殺戮を繰り返す愉快な男になった。コレは多分、他のホラー映画のキャラクターと差別化したかったのだろう。ジェイソン、マイケル・マイヤーズ、ピンヘッド。当時のホラー映画のキャラクターはどいつもこいつも寡黙なのが多かったから、アタイはこの改変が大好きだ。特にキャラが変わっても違和感がなかったのも、実に上手いと思う。

後期では楽しそうにゲームをしたり。もちろん、コレも夢の中での彼の殺り方だ。

しかし、その奇抜すぎる発想故に8種類ほどのエンディングが用意されてた他、低予算、会社は借金だらけ。スタッフ、キャストに「ギャラは待ってくれ!」と引き止めるところから始まったなどメタ的にもいわく付きな映画だが、「この映画は作ってみたいし、僕らも仕事が欲しいからね。いいよ。」と皆が残ったなどの裏話も今となっては魅力の1つだろう。
撮影監督のジャック・ヘイトキンは「金はなかった。けど、僕らはよくやったよ。誇らしい。」と語っているのが、撮影の難航を物語っている。
キャスト、スタッフで言えば、忘れてはならないのは、まだ無名時代だったジョニー・デップのデビュー作というのもほっとけないところだ。

ちなみに夢の共演であるフレディVSジェイソンは、意外にも製作陣は続編を期待してるらしいが、「続編は期待してる。まぁ僕らはやらないけどね(笑)。」と完全に視聴者目線で楽しみにしているようだ。仕事してくれ。

マイケル・ベイのリメイクからは14年、オリジナル版からは今年で40年経つ。夢の支配者、フレディが再び王座に座る未来はまた来るのだろうか?

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