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僕があなたと手を繋げなかった理由③ 1,000文字モーニングノート

今日も乱筆乱文乱舞でまいります!
おはようございます!

ではでは今朝もまいりましょー!




俺は高校2年生になった
東京湾で秋の海を見ている

ここに来たのは
今年の夏に
花火大会の設営のバイトで来た以来

やっぱり
中1から後悔だけの人生を送ってる
それを変えたくて
俺はまた海に来てみた

ゆうこは小学6年生の秋から冬まで
ずっと引っ越しについて
ご両親を説得していたらしい
そして
中学を卒業するまでは
東京にいられることになった

ゆうこのことは良かった
そう思う

でも
サッカー部の友達は
小学校を卒業したらすぐに
お父さんの仕事の関係で
北海道に行くことになった

ツラかった

中学校の生活はつまらなかった

もう中3の3月には
ゆうことも
離れ離れになって
この悲しい気持ちは
もっと大きいものになるって
分かっていたから

そう決まってる気がしてたから

それならいっそ
もう
ゆうことは
話さなくても・・

中学では
ゆうことは全学年で
別のクラスになった

でも選択科目の授業は
たまたま
ゆうこと全部同じで
いつもゆうこがいて
本当にびっくりした

俺はゆうこが好きになっていた

でもすぐに
すぐに離れ離れにならなければいけないなら
仲良くなれないほうが
いいんじゃないかって

そう考えてた

ゆうこを傷つけたくないから
女子とは誰とも話さなかった

してもあいさつだけにしてた

『女子に感じが悪くなったしんや』


それでいいや

でもズルいって!

ゆうこは話が楽しいから
話しかけられちゃうと
ついつい話しちゃう

そして卒業式は
逃げるようにすぐ帰った

あれから1年半
どうだろう
今見えてる東京湾の波は

いつも思ってしまう

ゆうこと
ゆうこの仲良しの友達と
俺の友達と
そこにいる俺と
みんながいるのが
ここならいいのにって

中学卒業して1年半になるのに
そう思ってる


高校一年の修学旅行の時も
隣にゆうこがいたらって

郊外の高校から
都心の新宿に帰るときに
中央線の車内から
徐々に変わっていく夜景

静かな夜景から
キラキラした夜景へ

そのグラデーション


これをゆうこと二人で見れたら

時々でいいから

隣りにいてくれたら

俺は家に帰ることにした

海を見ても

ゆうことは一緒にいられない


スマホのまだない時代

俺は家についたら
もう何も考えていなかった
何も悩んでいなかった

気づいたら
九州にいるゆうこの家に電話をかけていた

「はい。」

『あっ、木下さんですか?』

「そうです」

『あっ、ゆうこ?!』

「ふふ。違いますよ。」
「しんや君よね。いま代わります」


うおおおおお!

ツラい!ツラい!

ゆうこのおかあさんかよおおおお!!!


「なんだー。しんやじゃん」

「どうしたの?」

『え、いや別に』


「用が無いのに電話してきたのー?」
 

『・・うん』

「でも私はしんやに用があるから電話しよう?」


『あっ。うん。』

『なんか東京にいたときと同じ話し方なんだね』

「え?そうだよ?」

『まーいいや!話って何?』

「小6の時に、しんやの右に座ってた子は覚えてる?」

・・

東京にいるのに
ゆうこが居ないからって
東京の友達と遊んでない俺

東京にいないのに
東京の友達を大切にしていて
俺よりも東京の同級生について詳しいゆうこ

もう小学5年生に戻ったみたいに
大声で家の電話で話す高校生の二人

ゆうこの電話の奥から
うるさいって言われてるのが聞こえる

『そろそろさ、俺、電話切るよ』
『話してくれて、本当にありがとう』

「ありがとうなんていいよ!」
「それより来週も電話かけてよね!」

『え?来週も?』

「そう!来週も!来週の水曜日は部活無いから!」
「じゃあまたね!」

ガチャ‥

え?


電話を切ったあとに
手を握りしめて
ガッツポーズしてる俺

それに気づいたとき
すっごいはずかしくて
すぐ電話機から離れた

なんていうか分からないけど

すごく嬉しい


あっ!!


あっ‥


嬉しいけど

また最初に
ゆうこのお母さんと話すの‥

緊張するんですけど‥

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