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僕があなたと手を繋げなかった理由① 1,000文字モーニングノート

おはようございます!

眠いです!

今日も乱筆です!

今日はいきなり本題です!

ではどーぞ!




僕は小学四年生の頃
初恋をしました

小4の秋
始業式がおわって数週間経って

明日は
山登りの遠足

他の班は6人だけど
うちの班だけ
男子3人の女子2人の
5人の班
僕は班長

サッカー部のライバルで
仲良しの友達も
班長を任されていた

9月になってからは
そのサッカー部の友達と
どっちの班が先に山登りできるか
そればっかり
ずっと話していた

でも向こうの班は
班長のあいつ以外やる気ないなぁ

うちは
めっちゃくちゃ運動できる人ばかりだし
女子も足が速いし
やる気もみんなあるし
これは勝ったよね

今日の朝
先生がニコニコと
話し出したのを思い出した

「実はですね
 明日から新しい生徒が
 このクラスに増えます」

「その女子の転校生は九州から来て
 しんや君の班に入ってもらいます。
 みんなと初めて会うのは
 遠足の日になります。」

みんなざわざわしていた
そしてすごく楽しそうに

僕だけは違うことを考えていたんだ
その子が来たら
どうやってチームをまとめて
山登りをして
一位でゴールするか

だって
サッカー部のライバルのあいつには
そういうところだって
勝ちたいからね

そして日が変わり
山登りの当日
すごい背の高い
見たことのない女の子がいたんだ
この子が転校生?

先生が転校生をみんなの前で紹介する

『この子が転校生かぁ
でもなんか全然話さない女子だなぁ』

うちの班に来て僕が挨拶しても
その女の子は声を出さない

『ま、いっか
 山登り勝つぞー!』

「みんなー!一位で登るよ!」

うちの班はやっぱり
びっくりするほど早かった

6班あった中
3番目に出発したのに
三分の一のところまで来て
もうぶっちぎり一位
後ろからは誰も来ないし
誰も見えない

うちのみんなも余裕そうだ!

勝った!

え?

また後ろを振り返ると
背の高い転校生が
10メートルくらい後方の切り株に腰掛けている

すましている顔に腹がたった
僕は背がすごく低くて
スタミナもなかったけど
今日のために努力してきたんだ
こんなことで負けられるか!

僕は怒りをむき出しで
降りていく

「みんなは先に頂上でゴールしていて!
 すぐに追っかける!」

転校生のそばに近寄ると
背の高くて
すましてるように見えた
その女の子の手は震えていた

すましているのではなくて
怖いのを隠すために
普通でいるフリを頑張っていた

全然思うように動けないのに
僕たちのペースについてきていた
それでもダメで休んでいた
それを隠そうと
普通でいるフリをしていた

すぐ僕は全部分かったんだ

転校初日だもんね

本当にごめんね

背の低い僕はなにも話さず
背の高い転校生の隣の切り株に座った

5分経ってもお互い話さない

僕のライバルの友達は6番目の最後の出発なのに
一番最初に僕たち二人を追い抜いた

友達は

「もう疲れたの?
 あんなに偉そうに勝つって言ってたの
 あっはっはっはっー」

友達の班はすごい勢いで上がっていった

同級生に追い抜かれるたびに
転校生の顔色は曇っていった

全部の班に追い抜かれた

担任の先生が最後に来て

「立てそうですか?
 そろそろ行きましょう」

僕と転校生は目配せして
少し笑った

最後のゴールだった

ゴールしたあとに
先生が僕を呼び出した

「転校生の子は方言といって
 東京と違う言葉を話すんです
 少しそのことがはずかしくて
 話せないのを分かってあげてくださいね」

何回も顔色が曇った転校生だけど
山をのぼりきったら
今日の空みたいに
顔色は晴れていた

あとごめんね

山を上るときに手を繋いであげられなくて


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