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投資家になった訳「一話目」

寄り成り買い!カチカチっ
静かな部屋にマウスのクリック音だけが響く。厚めの売り板が何枚も何枚も出てくるが、瞬時に大きな買いによって消えていく。

株価の勢いは一向に止まる気配はない。
「ふぅ……」
椅子から立ち上がり大きく背伸びをする。ずっと同じ姿勢でモニターを見ていたせいか肩と首が痛い。
「コーヒーでも飲むかな」
部屋を出てキッチンに向かい湯を沸かす。いつもならインスタントコーヒーにお湯を入れるだけだが、今日は気分を変えてドリップ式のやつを使う。
豆を挽くところから始める本格的なもので、香りもよく味も良いのだがその分値段も張る。
コーヒーメーカーもあるがあれはどうにも好きになれない。機械任せでは自分の好み通りの味にはならないし、なにより手間という名の時間を楽しめないからだ。
そうしてできたコーヒーを手に再び自室に戻りパソコンの前に座ると、先ほどまで見ていた画面を開く。
「さて、次はどこだ?」
モニターを見ながら呟いた。

株式市場に上場している会社は数千社もあり、日々刻々と新しい銘柄が増え続けているため全てをチェックするのは至難の業だが、俺はとある理由からそれら全ての情報を集めている。
それは……続く

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