中級ミクロ経済学の教科書・演習書おすすめまとめ
はじめに
このページでは、学部上級レベルのミクロ経済学の教科書と演習書を紹介していきます。
学部上級というのは、おおむね需要曲線や生産曲線の背景を議論するあたりの内容、微分を使った内容と理解しています。
(書いているのも初学者なのであまり信用はしないでください)
初級レベル
経済学を何も学んだことのない方でも問題なくとっつけるような初級レベルのミクロ経済学の本としては、次のような本が良いようです。
もっとも、学部上級といっても、どの教科書も初学者がいちおうとっつけるように書いてはいます。自身がある方は初級レベルの本を買うのはもったいないかもしれません。(かくいう私も中級レベルを1章かじった後初級レベルのアセモグル・レイブソン・リスト(2020)を少し読んでみましたが、数章読んで初級はいらないと悟りました)
2冊だけ紹介します。
アセモグル・レイブソン・リスト(2020)『ミクロ経済学』東洋経済新報社
自分が少しだけ読んだというその本がこれです。分厚いですが、非常に読みやすいですし話が流れるようにすすんでいて面白いとは思います。
途中で読むのをやめたのは、ただもっと早く先に進みたかったから、というだけです。
マンキュー(2019)『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編(第4版)』東洋経済新報社
かなり有名な一冊です。4版ですしね。
中級レベル
ここから本題の中級レベル3冊です。
神取(2014)『ミクロ経済学の力』日本評論社
評判的には一番の教科書。
解説が非常に丁寧で、経済現象とのつながりも非常にわかりやすい。
それでいて、それなりに高度な内容まで踏み込まれているのも魅力的。
自分もこれを最初の本にしていて、後悔はありません。
ただ、解説が多い分数学的なコンパクトさには劣るという印象。
ゲーム理論や情報の経済学への言及も十分(何より著者がゲーム理論の専門家)。
これを読んである程度理解したら次の2冊のどちらかに進むとよいだろう(逆に難しいと感じたら、最後に紹介する初中級の井堀本を読むとよい)。
武隈(2018)『新版 ミクロ経済学』新世社
既にふれた通り、神取本より数学書に少し近い本。
自分は神取本の理解の補強で使った。
ミクロ経済学の応用トピック(国際貿易、公共経済)への言及がある一方、ゲーム理論方面の扱いは少なく、弱点の一つだろう。
奥野(2008)『ミクロ経済学』東京大学出版会
自分は使っていないが、パラパラ見た限りでは数学的にもっともコンパクトな本のよう。
数学に自信のある人はいきなり奥野本をやるのが一番効率が良いかもしれない。
ゲーム理論といったモダンな部分への言及も十分ある。
初中級レベル
井堀(2019)『入門ミクロ経済学 第3版』新世社
ただ需要曲線や供給曲線を動かすだけでなく、中級で出てくる概念に触れながら、線形の関数(y=ax+bみたいなの)に議論を限定している本。
もし神取本で理解がいまいちだったら、井堀本を読み進めるとよいと思う。
逆に、これ以上易しい本では中級レベルの内容にはそんなに届かないのではないかという気がする。
中級演習書
中級レベルの演習書も紹介していきます。
おすすめの順番で。
武隈(2017)『演習ミクロ経済学 第2版』新世社
数学がそんなに得意でなくとも、例題が豊富で力をつけてくれる本だと思う。
微積分を使った中級レベルだからこその内容にもしっかり触れられている。
奥野(2018)『ミクロ経済学演習 第2版』東京大学出版会
いきなり問題に突入するので、教科書同様数学的にそれなりに力がないと難しいかもしれない。
が、中級レベルで必要な力はこの本でも獲得できるだろう。
神取(2018)『ミクロ経済学の技』日本評論社
教科書は神取本の評判はすごくよいみたいだが、演習書は、うーん、教科書の再確認にはいいのだが、もっと力をつけるには、あまりお勧めできないように思う。
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