不運な男

お雑煮の出汁はもちろんカシミール

 問題発覚後もビッグモーター内では、従業員仲間の耳にボールペンを刺したり、買取査定の車の部品をメリカリに出品し220万円せしめたり、いろいろやらかしているみたいですね。元のオーナー親子は新たに軽井沢に豪華別荘建築とか。それでも、ニュースとしては旬の時期を過ぎたのでほとんど報道はされていませんね。

 一人の不運な男。
 小学生のころからイケメンで運動神経も良く、特にダンスや歌も得意だったことから、親からの勧めもあってジャニーズ養成所に入所。順調に成長したが中学生の頃、養成所内でいくつかのセクハラを受け、我慢できず退所、普通の中学生に戻った。
 その後、高校時代はサッカーやラグビーなどに精を出し健全にたくましく育っていった男。
 大学はごく平均的な知性の持ち主らしく日本大学に。そこで前々から興味があったアメフトに挑戦。リーグ優勝35回、甲子園ボウル優勝21回の名門日大フェニックスに入部し頭角を現す。しかし、選手層の厚さからレギュラー一歩手前、リザーブメンバーどまり。おかげで、監督から関西の強豪校との試合で無茶苦茶なタックルをしろと言われることは無かった。
 寮生活の最後に煙草のような何かを吸わないかと同僚に誘われたが、幸か不幸かもともとタバコを吸わなかった彼は、僕はいいよとかたくなに拒否し、仲間もそれ以上は誘わなかった。
 就職は中古車販売業界で急成長していた「どでかい発動機」の愛称で知られる会社へ。彼の誠意あふれる営業は顧客からは好評だったが、会社から、特に小柄で彼をいつも見上げるオーナーの息子でもある副社長からは、罵詈雑言を浴びせられる日々だった。
「客は車の素人だ!いくらでも理由つけて利益を上げろ。次に同じ客が来るのは数年後だ。その間にお前は異動している。問題ない」
 この会社は自分と合わないな、と思いだした頃、友人から飲みに行こうぜ、と誘われ、御徒町の「焼肉ごち」に行った。コスパよく働いている店員たちも楽しそうに見えた。聞くとアメ横入り口から御徒町にかけてグループが急成長しているそうだ。客も満足、働いている人も満足、こういうところで汗をかいて働く方が自分には向いているかも……と、ふと思ったりした。

 全てに当てはまる人はいないと思うが、日大アメフト部からビッグモーターへ就職とかは実際にいらっしゃるかもしれないです。
 世の中には自分が関与せずとも、色々なハラスメントや不正、犯罪への誘い、事件に巻き込まれるなど、どこでどうなるかわかりません。映画にもなった『嫌われ松子の一生』とかそんな感じでしたね。
 ~ 浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ ~ 

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