ケムリクサはなぜ第2の初代けものフレンズになれなかったのか?



今回の記事は福原元Pの時にちらっと話したテレビアニメ版ケムリクサをより詳しく話したいと思いたい



本作は初代けものフレンズを製作したirodoriとヤオヨロズが製作したアニメ作品で、初代けものフレンズはニコニコ動画を中心に一大ブームを起こしたが、2017年9月25日にたつき監督が外れてしまいそれ以降は作品が出ていなかったそして、2019年1月9日に待望のアニメ版ケムリクサはドンキホーテやローソンや一番くじ等のコラボウルトラジャンプでのマンガ連載やブルーレイの売り上げなどかなり上々だったが、残念ながら今は知る人ぞ知る名作的立ち位置になってしまった。

なにより初代けものフレンズの様な社会現象がなぜ起きなかったのかそれを解説していきたい。

ケムリクサの概要



ケムリクサは元々はirodoriが自主制作したオリジナルアニメ基本的な設定は2019年にリニューアルした地上波版と同じだが、キャラクターの背が高かったり、わかばの髪型が普通だったり、わかば以外のキャラクターの名前が漢字だったり、りつの病弱設定が無かったり、作中の重要アイテムケムリクサの形状がタバコだったりと違いがあり、そして前述した通り2019年にテレビアニメ版ケムリクサが放送された。

本作は福原元Pの記事でも触れたが、たつき監督作品の独特な雰囲気とポストアポカリプス味はあるが、様々なアニマルガールとの出会いと自分探しの旅を描いていたけものフレンズとは違って、主人公とヒロイン及びヒロインの家族を除くと生き物が存在せず、ムシと呼ばれる機械の様な怪物が跋扈する世界で資源を求め旅をする点やヒロインの家族の一部旅先で出会う友好的なムシ過去の世界の人物など意外と亡くなるキャラが多いややハードなSF作品と言った違いがある。




テレビアニメ版ではオリジナルアニメ版では描かれていなかった資源を求める旅路、死んだ筈の家族の登場、赤い霧や荒廃したビルのある世界になった原因の判明、始まりの人間やわかばとヒロイン及びその家族の正体、宇宙との意外な接点など新しい要素がありファンからも好評であった。また、テレビアニメ版の前には世界観が知れる趣味のアニメなるショートアニメをX(旧Twitter)に投稿し、放送終了後にはけものフレンズの時と同じく12.1話がニコニコ動画とYoutubeにて投稿された

しかし、前述した通り今現在ケムリクサは「あのたつき監督が作った知る人ぞ知る名作」と言った立ち位置で初代けものフレンズの時の様な熱狂的な流行にはならなかった

原因1 関連作品や続編が出なかった



まず考えているのはヤオヨロズのケムリクサがアニメ版1作で終わったことが大きいだろう。良く一部のたつき監督のファンが「ケムリクサは綺麗に終わった(だから続ける必要がない)」と言うが本当にそれがケムリクサにとって良いことだろうか。例えば12.1話の死んだ筈の裏姉妹とワカバ(わかばの前世の星の保護が目的で地球に来た宇宙人)が一緒にいた事や地上に外に出たわかば達のその後やワカバと始まりの少女の生活やその前の話等続編を描ける部分が大量にあるのにそれを活かせなかったのはヤオヨロズやirodoriサイドにとって非常に痛かっただえろうアニメでなくても例えばスマホアプリにしたり、ゲームや漫画などマルチメディア展開やゲームやアプリでのゲストキャラでも熱心なたつき監督のファンは買うだろう



現にケムリクサはドンキホーテでの限定商品やプリンセスカフェとのコラボメニュー等ファンの購買意欲を高める商品を提供していたので、そのままの流れでアニメは無理でも違った形でケムリクサ作品を出せば少なくとも現在のけものフレンズシリーズを遥かに越えた影響力を持てた筈だと私は考えている。しかし、なぜケムリクサキャラクタービジネスは終わってしまったのだろうか



恐らくその原因と思われるのは、ストロベリー・ピクチャーズの商標騒ぎだ。この会社はケムリクサを製作したヤオヨロズの親会社ジャストプロが運営している別会社で、ケムリクサのアニメにも出資していた。ジャストプロ側はケムリクサの商標を確保することで、自社コンテンツを保護したかったのか、はたまたケムリクサを管理するのかわからない。結局ストロベリー・ピクチャーズとっては残念ながらケムリクサの商標はたつき監督の物と判断され拒絶された。その後ケムリクサを製作していたヤオヨロズは解散し2017年に密かに立ち上げた新法人8milionはアニメ制作に積極的ではなく、たつき監督とも別の道に行ってしまった


原因2 パートナシップ方式の失敗



また、ケムリクサの制作に時間をかけていたことも大きいだろう。そもそもケムリクサはAnimeJapan 2018のTBSフジpresents アニメギルド2018放送作品発表スペシャルステージにて「昨日、おとといに、(一度作った)1話をなかったことにした。とかなり時間がかかっていた。結果、けものフレンズ2の放送開始時期とぶつかってしまったが、皮肉なことにけものフレンズ2とストーリーやキャラクター性を比較されたことで、ケムリクサの評価が上がった

なぜここまで時間がかかったのか。おそらくは福原元Pの野望であるパートナシップ方式のプロトタイプとして作っていたからだろう。パートナシップ方式をおさらいすると、製作委員会方式と個人製作の間に位置する新しいアニメの運営方針でアニメ制作の主導権はアニメスタジオにあり、パートナーとなるのはAmazonやNetflixのような海外の配信会社で、それらは制作費全額に相当する価格で映像配信権を購入するものの、あくまで配信権購入が主目的で作品の著作権はアニメスタジオに残るため、スタジオが権利を個別にライセンシーに販売したり、二次利用ビジネスを展開したりすることができるという夢の様なシステムだった

この様な前人未到のアニメ制作では矢張り時間が異常なほどかかったのは当然で、結局ケムリクサは最終的にパートナシップ方式ではなく、大手がスペシャルサンクスとして入った製作委員会方式となった。ただAmazonやNetflixやHulu等のサブスクリプションサービスの活用等を積極的に利用する姿勢は先見性があったばっかりに惜しかったと思う。

最後に




初代けものフレンズの様な熱狂的な人気を得られなかった原因はケムリクサが売れていなかったのではなく、ヤオヨロズ側やジャストプロ側のゴタゴタで売り上げがでなくなったというのが私の結論だ。現にケムリクサはけものフレンズの時に得たコネクションである日清食品でのコラボCMを行っていたのに、ケムリクサ放送後の12.1話以降はコラボが控えめとなった。これは嘗て福原元Pが力を入れていたVtuber事業ジーヴス・プロジェクトと同じ結果なのかもしれない。しかもあれだけ「たつき監督という“クリエイター”を中心にしたスタジオになってる。」はずだったヤオヨロズがたつき監督ごと消えてしまい、残ったのが様々な事業に手を出した結果クリエイター向けのバックオフィス支援企業向けのダイバーシティの観点での第三者チェック及び動画編集スタッフの採用のミスマッチを防ぐために独自の検定をしている8milionなのが笑えない状況だ



最後にケムリクサのファン層だが、どうやら多くが健全な二次創作や考察などを楽しんでいたが、一部のけものフレンズアンチを兼任していた勢力はけものフレンズアンチ行為に専念するようになったらしい彼らにとってケムリクサは正義のたつき監督連合VS悪のKFPコアメンバーと戦う神話として都合が良かっただけで、心から愛していなかったようだ。残った純粋なファン層はケムリクサ衰退後も二次創作を続けており、最近だとTRPGや小説を作っているようだ


おまけ 逆襲のけものフレンズ


2019年 けものフレンズコンテンツは炎上の炎で包まれた!けものフレンズ2最終回はとっても満足したが2.5%とニコニコ動画至上の最低の評価を喰らい、関係者(細谷Pや木村監督や原作者吉崎観音氏)は勿論関連団体に対する誹謗中傷が止まず、けものフレンズコンテンツは絶滅したかに思えた・・・だがけものフレンズコンテンツは絶滅していなかった!

・・・などと某世紀末救世主伝説のOPのナレーションみたいなことを言ってみたが、大体現在のけものフレンズはこんな感じである。嘗てけものフレンズ界隈はネット史上最大級の炎上していたが、現在までしぶとく続いているなぜケムリクサは消えて、けものフレンズは生き延びたか不思議ではないだろうか。それは戦略の違いで、けものフレンズはケムリクサと違い最初からメディアミックス作品だったことでアニメの失敗を他のコンテンツで挽回することができるからだ。

今のけものフレンズはアプリであるけものフレンズ3とVtuberであるけものフレンズVプロジェクトに力を入れている。けものフレンズ3ではケロロ軍曹、ぷよぷよ、サンリオ、にじさんじ、手塚プロダクション、ガチャピン、くまモン、沼津港深海水族館、のんほいパークとコラボしており、けものフレンズVプロジェクトもにじホロやななしいんくやぶいすぽやあおぎり高校などと比べると登録者数が低く地味だがその分ニッチなファンが多く少ないながら切り抜きやMADなどがある

また、公式が衰退している時も二次創作は活発だったことも大きいだろう。中にはけものフレンズRの様な公式への当て付けを目的とした作品や関係者やキャラクターに対するヘイト創作を目的としと作品も存在していたが、ちゃんとした二次創作も存在していた。その当時の状況をけもフレアンチサイドは公廃二栄公式を廃れさせ、二次創作を栄えさせる。腐敗した公式の影響がない、二次創作を新たな公式にするという意味の造語)と称していたが、まさかケムリクサ側の公式が消滅するとは思わなかっただろう

結果として、「平成最後のクソアニメ」やら「見てて吐き気、寒気、重度の頭痛に襲われて体調崩したと散々非難されていたけものフレンズが生き延びたのだった。現在のけものフレンズは2017年頃の大ブーム期と比べるとかなり減ってしまったが、細々と続いている。

10月10日追記 版権管理はジャストプロだった


遅くなって申し訳ないがどうやらsmith jhon氏なる人物からのコメントで衝撃的な内容が出てきた。それはストロベリー ミーツピクチャーズはジャストプロの関連企業ではないこと、放送時から現在までケムリクサの版権管理はジャストプロがやっていたことだったと言ったのだ。



ミーツピクチャーがジャストプロの関連企業ではないのは調べたところ良くわからなかったが、版権管理の件は恐らくこれがソースだと思われる。この人物はけもフレアンチ兼たつき信者として有名な方だが、これが事実だとするとケムリクサは最初からヤオヨロズの管理体制にあったと思われる商標そのものはirodorにあったようだが、管理はヤオヨロズにあったのは盲点だった。



また、別のけもフレアンチ兼たつき信者の方がケムリクサの商標の件を冷奴(けもフレ業界で考察を表す言葉)していた。その人によるとゲーム、文房具、抱き枕、衣服、おもちゃ、番組製作の商標利用が目的で、福原元Pの著書「アニメプロデューサーになろう!(2018)」で今後放送予定のアニメのゲーム化がありそれに向けた準備だった可能性を指摘している。そして、ケムリクサの商標登録が認められなかった原因としてirodoriがアニプレックスと仕事をするという話が横から出てきた事をあげているストロベリー側は何度もお金を払って期間延長申請をしており、最終申請は2019年10月28日から2ヶ月後であ12月いっぱいまでケムリクサの展開についてirodoriとの交渉の用意があったのかもと指摘している

以上がケムリクサ商標騒ぎの実態だ。

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