見出し画像

殿堂施行後なのにcs準優勝!?ドロマー退化


WiZcs(アドバンス)準優勝のドロマー墓地退化

前書き(退化との出会い) 

(前書きであるため、各対面のプレイングや構築の考察、リストの改善点のみを知りたい方は、読み飛ばしていただいて構わない。)
初めてのcsに持ち込んだデッキが、墓地退化でした。当時はデュエマを否定するような圧倒的対話拒否性を持つこのデッキはあまり好きではありませんでした。(私怨)当時はジョー星リペア(ジョー星好きなのに退化嫌いとかダブスタやめろw)やアナカラーハンデス用のデドダムやジルコンが余っていて、cs出るなら環境トップをとりあえず組もうと考えました。これが私と墓地退化(バルカディア)との出会いでした。正直、当時はこのデッキにあまり愛着を持てませんでした。(ただ勝つために握るという感じでした。)当然デッキに愛されず、プレイングも甘い点が目立ち、全く勝てませんでした。しかし、プレイングなどを磨くことで退化というデッキの理解が深まり、ここをこうケアしてあげないと退化できないといった考察を深めるうちに少しずつ愛着がわくようになってきました。他の環境デッキをcsで握るという発想には至らず、墓地退化最強の切り札である竜魔神王バルカディアNEXがかつては私怨増し増しの敵だったけれども、殿堂施行前までの最高の相棒になってくれて非常に思い出深かったのを覚えています(csでは少しずつ勝てるようになりましたが殿堂時期と重なり、入賞はできませんでした。)。しかし、夏の殿堂発表でせっかく出会えたバルカディアNEXと別れることになり、さらにcsでは使わないが、好きではあった青ムーも使えなくなり、非常に寂しくなりました。それ以降はオリジナルではアナカラージャオウガ、アドバンスではカリヤドネや直近ではオービーメイカーを握り、プレイングも相当練習しましたがcsであまり良い勝率は出せずにいました。(正直、この時のデュエマのモチベーションは過去最低を記録していました。カリヤドネが上達すると多少は戻りましたが効果はなかったです。)そんな中ある優勝、入賞報告が耳に入ります。ドロマー退化がまだ少数ではありますが結果を残していたのです。構築はいずれも現環境には対応しきれていないように見受けられ、再現性にも疑問が残りましたが(流石に引きが強い人が勝ってるだけだと思っていましたが)、私はそこに一縷の望みをかけて現環境に対応したまったく新しい退化の考察に尽力しました。

デッキをリペアする際に気を付けたこと

・4枚使えないからといって妥協的な構築にはとどまらず、規制前の構築には無い強みで勝負していける構築にすること。

筆者の成績等

第10回WiZCS アドバンス 準優勝 2022/11/11
第35回大垣書店びわ湖CS アドバンス 5位 2022/11/13
デュエマ京都龍星杯 オリジナル 16位 2022/11/17
690pts 全国ランク963位 滋賀県ランク13位

vs赤緑アポロ(アドバンス・オリジナル)

・基本的には受けて返すしか勝ち目はない。
・2ターン目の行動として、出来ればエマージェンシータイフーンではなく、アストラルの海幻(破壊されにくいタマシードであることが後に響く。)で白騎士の精霊ヘブンキッドを落としたい。これは、影世界のシクミやシラズ死鬼の封を確実に有効トリガーにするための動きである。(ヘブンキッドを蘇生し、自分のアストラルの海幻をシールド化することでアポロを選択せずにそのターンをしのぐため。)
・オリジナルでは邪杯と魔術の決断を採用しているが、アポロ対面ではクロックが最低2枚は欲しいところ。入れ替え枠としてはここだろうか。(魔王と天使のカナシミを採用しているため枠がない。)
・当然だが、オリオティスジャッジを踏ませればほぼ勝ちである。この対面でのカナシミでの盾回収はこうした有効トリガーを自ら手札に加える自滅行為になりかねないので、絶対に控えたい。(それよりナスロスチャやアストラルの海幻で自分の動きをしなければ返しのターンで勝てなくなる可能性が出てきてしまう。)

vs赤単(アドバンス・オリジナル)

・赤単対面は1枚程度のトリガーではケアされてしまう可能性が高いため、アポロ対面より厳しい勝負となる。(ヘブンキッドのガードストライクが有効となるのが唯一の救いだが。)
・受け方は基本的にはアポロと同じであるが、異なるのは我我我ガイアールブランドや罰怒ブランドのSA付与、バルチュリスのSAに対する動きである。
・先行の場合、2ターン目の行動で意識したいのが、退化先で落としてバリューが最大なのが実はゲンムエンペラーであるという点である。これは、3ターン目にデスマーチを立ててブロッカーにした後、龍脈術落城の計をトリガーしたときに退化できればコスト5以下のクリーチャーに付与されたSAがすべて無視されるため、受けきれる可能性が最大化されるというわけである。
・後手の場合は厳しいと言わざるを得ない。影世界のシクミ×1とシラズ死鬼の封×1が入れ替え枠であろうか。(赤単が多いのであればシラズ死鬼はピン投でも構わないかもしれない。)

vsアナカラージャオウガ(オリジナル)

・若き大長老アプルの関係上、不利対面であることは否めない。
・魔王と天使のカナシミの真価が発揮される対面といっても過言ではない。アナカラージャオウガの行動パターンとして、2ターン目に悪魔妖精ベラドンナのブーストや、メタクリ展開が予想される。返しのターンに、こちらが意識外の魔王と天使のカナシミを打つことによって、相手が先行の場合は、手札4枚から1枚減った、3枚の内1枚をハンデスすることになるため、デドダムや有象無造といった強いリソースカードや希望のジョー星などの強いメタカードを落とせる確率が最大化される。結果、こちらは手札5枚をキープしつつ、相手はたったの2枚で勝負しなくてはならず、互角の展開に持ち込める。この対面ではカナシミを2回以上打てるかが勝敗を分ける。ヘブンキッドの盾化による除去が強力で、有象無造でのアプルの蘇生を防ぐことができ、万が一貼られたジョー星を除去できるため、手札にぜひともキープしておきたい。リソースの関係上、後手を取ったほうが有利な稀有な対面と言える。
・この構築に採用されているシラズ死鬼の封と邪杯と魔術の決断の真価が発揮されるのがこの対面である。運用方法として、邪杯と魔術の決断で、アプルなどのメタカードを除去しつつ、シラズ死鬼の封を蘇生することで、そのままデスマーチとヘブンキッドを展開し、退化を決めることが可能になる。さらに、邪杯と魔術の決断はエマージェンシータイフーンや、アストラルの海幻で引き込んでコスト3で詠唱することも可能であるため、お互い手札が枯渇しがちなこの対面においては強力なトップ解決札になり、高い継戦能力が担保される理由がこのカードにある。ハンデス対策と言えば斬隠蒼頭龍バイケンが入れ替え枠として考えられるが、こちらを採用するとエマージェンシータイフーンさえ有効トリガーとなるため、こちらも検討したい。

vs青魔導具(オリジナル)

・基本有利体面であるが、新規カードによる青魔導具強化が入ったため、油断は禁物である。それが「無月」の頂$スザーク$である。このカードはなんとバルカディアNEXで作り上げた制圧盤面を返すことができてしまうカードである。相手方の墓地の魔導具の枚数を常に把握し、何ターン目に退化しなければならないのかといったゲームプランを組むことが重要である。
・基本的には新世壊が出てきた瞬間にヘブンキッドで盾化すると相手のデッキは機能不全に陥る。または、カナシミで、ゴンパドゥウ等の強い魔導具や新世壊そのものを落としに行くのもいい。(ただし、墓地の魔導具の枚数には細心の注意を。)
・最も気を付けたいのが、フィニッシュである。バルカディアNEXでフィニッシュする場合、バルカディアNEXで投げたいのがヘブンキッドである。相手の新世壊が0枚の盤面で盾を確実に殴り、トリガーを無効化できるかが勝負を分ける。(ここでジャスキル+1が形成できていれば完璧。)新世壊が存在する状態で誤ってボルバル8やゲンムエンペラーを出してしまって、ギャプドゥウやカージグリからのゼニスザークで盤面を返されては目も当てられない。
・オリオティスジャッジが刺さるので覚えておいて損はないだろう。(ゲンム退化で自分のオリオティスジャッジの効果を無効にしてしまわないようにしたい。そのため、ゲンム退化でのフィニッシュの場合、相手の魔導具の宣言自体はできてしまうため、ガルラガンザークやゼニスザークの宣言があったとしてもとどめまで行けるジャスキル+2が要求される。)

vsその他ソリティア(ゼーロベン・グラスパー・DOOM)

結局、速度勝負という結論に収束するが、ここでも活躍するのが魔王と天使のカナシミである。カナシミを2回以上打つことによってゼーロベン側の要求値を高くすることが可能で、速度負けが少々否めないこの対面でもこれで覆る可能性は大いにある。相手のアルケミストやデドダム、ゼーロをハンデス出来れば儲けものである。グラスパーに対しては速度負けはしていないが、オリジナルフィナーレやデドダム、ループパーツそのものをハンデス出来ればこちらがさらに有利になる。DOOMに関しては対面経験がないため、確実なことは言えないが、ここでもカナシミを打つことで、速度負けを防ぐことができるのではないだろうか。ここでのあたりはネバーやデドダム、エザワやDOOMそのものになるのではないだろうか。

vs4C邪王門 (オリジナル)

・4C邪王門からは退化対策として入っていたバサラが抜けたことにより、バルカディアNEXで退化しても安心してゲンムエンペラーで蓋ができるようになった点が非常に大きい。これにより有利対面となったと言えるだろう。
ただし、ミラダンテを出されると非常に厄介であるため、返しのターンにカツキングを出される場合は伊達人形ナスロスチャなどの的になるクリーチャーは極力出すのを控えて、むしろカナシミでハンデスしたほうがバリューは大きいと言えるだろう。最悪、相手が動く前の4ターン目であればゲンム退化でも十分に勝てるだろう。

vs5Cコントロール(アドバンス・オリジナル)

・アプルに並ぶ天敵であるお清めシャラップが入っており、それを最もうまく使えるのがこの5cコントロールといってもいい。
・プレイングとしては、4C邪王門同様、カツキングをケアしたプレイが必須である。
・ここでも真価を発揮するのがカナシミで、相手のデドダムやお清めシャラップを落とす役割を持つ。お清めシャラップに関しては、メタカード兼初動でもあるため、カナシミを打てる場合はナスロスチャを出す前にもう一度考えて、カナシミを優先してほしい。単色としてシャラップを置かざるを得ない状況に追い込み、安全に退化してほしいものである。実際に勝利した試合では相手の手札を1枚、2枚(0枚もあり)まで追い込み、ゲンムorバルカディアNEXいずれの退化でも勝利できた。(最悪ゲンム退化でも十分に勝てるが、大地門ライフゲートには注意。)

vsケンジキングダム(アドバンス・オリジナル)

・墓地退化の後釜とまで言われるこのケンジキングダムだが、運ゲーと前環境最強ソリティアとの格の違いを見せてほしいものである。
・基本的には速度勝負だが、この対面ではモアイランドが絡まない限りはオリオティスジャッジでいつでも盤面を返して退化できるということを忘れてはならない。
・ケンジキングダムに希望のジョー星を入れる構築があるため、カナシミは、相手の手札が進化設計図等により6枚以上に増えていなければ基本的には打つべきである。不意なジョー星をワンチャン回避できるという強みを生かしたい。
・こちらの手札に余裕があるのであれば(退化に支障がなければ)、タマシード等をヘブンキッドで盾化するプランもある。
・ゲンム退化でも十分に勝てるが、ゲンムで制圧した後、返しのターンでCRYMAXジャオウガで解決されることもあるためその点に注意してゲンム退化を検討したい。(相手に6マナがなく、ジャスキル+2程度を組めていれば全然OKである。)

vs赤緑モルトNEXT(アドバンス)

・THE主人公デッキである。こちらが最高にラスボスをやれる非常にテンションの上がる対面である。(余談はさておき、)
・基本的には有利体面である。カツキングが入る構築であればラフルルやダンテの可能性が0ではないが、こちらが攻撃を受けて返すことが現実的になる対面である。
・まず、ボルシャックドギラゴンや、革命の絆等の受け札が強力であるため、基本的にはバルカディアNEXによる退化を成功させたうえで、ボルバル8の踏倒しまで決めなければ、とどめまで行くことは難しく、ゲンム退化で甘えてしまえば、こちらの有効トリガーがすべて腐り、打点を通されて負けてしまう。(最速4ターンで退化できる場合でもゲンム退化は控えるべきであろう。)
・オリオティスジャッジが非常に刺さるこの対面では、踏ませればほぼ勝利が確定するだろう。これは、助けてモルトやその他踏倒しにより展開がスタートするため、5マナしかたまっていないケースが割とあるためである。(上手い人はこれをインフェル星樹などでケアしてくるのが怖いが。)
・カナシミで相手の単色カードやボルシャック栄光ルピア、メンデルスゾーンなどの初動を落としてしまえば、もうこちらのペースである。(先行2ターンであれば当たりが実質2枚といった破格の性能に化けるのがこの対面である。)そのため、カナシミを打つバリューが最大化されるのは2ターン目である。さらには、ブーストを行った後は手札が減っているため、インフェル星樹を落とせるのはそのあとのカナシミである。爆発力が高いデッキではあるが、それに対してこちらからその動きに限界を与えることが可能なのがカナシミの強みである。(さらにはこちらの手札が減らないため退化に一切の支障がない。)

vs緑単オービーメイカー(アドバンス)

・アドバンスのオービーメイカーには若き大長老アプルが入っていない構築が非常に多いため(ミラー対策のキャディビートルやソイソイミーが優先され、結果投入される場合のほうがレアケースとなる。)こちらが何と有利となる対面である。
・この対面はゲンム退化のほうが平均的には強いという稀有な対面である。
・基本的なプレーとして、相手のほうが先にコンボが決まる確率が高いため、こちらは、手打ちのオリオティスジャッジで返す必要が出てくる。(相手のマナはコンボ成功後、3マナ以下であることがほとんどであるため、オリオティスジャッジで全ての殴れるクリーチャーを吹き飛ばすことができるためである。)そのため、魔王と天使のカナシミで妨害してターンを稼ぎつつ、オリオティスジャッジを引きに行く動きが重要となる。
・オリオティスジャッジで盤面を返した後は、ゲンムエンペラーに退化し、蓋をしてしまおう。あとはジャスキル+2で十分に勝てるだろう。(これがtier1のこのデッキに対して有利たる所以である。)

vsガイアッシュ覇道(アドバンス)

・退化の宿命として、ガイアッシュカイザーを素出しされるのがキツイのは否めない。
・ここでも活躍するのが、魔王と天使のカナシミである。相手のガイアッシュカイザーや6マナまで至るためのブースト札を落とすという、デッキコンセプトそのものでお清めシャラップ等の天敵を対策できるのが今までの退化にはない強みであろう。
・この対面ではロージアの関係上、バルカディア NEXによる退化を決めつつボルバル8でとどめまで決めることが必須である。

後書き

・他にも入賞している構築は見かけるが、流石にコンスタントにそのような成績を出すには難しいのではないかというのが今回の構築の出発点であった。
・「魔王と天使のカナシミ」が今までのドロマー退化とは一線を画す採用カードとなっているのはご覧の通りだろう。確かに墓地退化はオリジナル環境のアプルや、アドバンスとオリジナル両方に採用されるガイアッシュカイザーやお清めシャラップに弱い点は否めない。しかしここで重要なのがそれらが採用されているデッキである。アナカラージャオウガは意外とリソースが枯渇するデッキで、そこにハンデスを逆に打たれてはジャオウガまでつなげることが難しくなる。お清めシャラップは5cやガイアッシュ覇道に採用されるが、多色が多いこれらのデッキにとって実はマナに置きたい単色カードである事が分かる。

上の画像は想定される5c側の手札であるが、マナの色があればお清めをマナに埋めて、デドダムを出すことが想定されるだろう。その前のターンのランダムハンデスの当たりはデドダム、ドラゴンズサイン、お清めシャラップの3枚であることがお分かりいただけるだろう。よって、3枚のうち、どれを失っても最速の動きで攻めることができなくなり、最悪こちらの動きを止めることもできなくなる。2回カナシミを打たれてはもうシャラップを打つことはほぼ不可能になるのではないだろうか。さらに、こちらの手札は一切減っていないため、退化には支障がない。これが、メタカードに対する、デッキコンセプトそのものによる対策の内実であって、今までの退化には存在しなかった強みの正体である。
・魔王と天使のカナシミが行っているのは単なるランダムハンデスではないことが分かる。それもそのはず、このカードにはたったのワンアクションで4つの役割をこなしているのである。一つ目はお清め等のメタの除去、二つ目は相手のデッキを機能不全にすること、三つ目は盾回収により、自分の退化のパーツ(主としてバルカディアNEX)の盾落ちをケアすること、最後は、自分のデスマーチやヘブンキッド、アストラルの海幻及びエマージェンシータイフーン、ナスロスチャの盾回収によって事故率を最小化することである(しれっと手札入れ替えをしているのである。)。
・魔王と天使のカナシミの採用はドロマーギャラクシールドの動きが大きなヒントとなった。なぜ、殿堂カードのパラノーマルが毎回登場するのか?という些細な問いから、カナシミでの盾回収でその動きが現実的なものになっているのではないだろうかという結論に達しそれはこの退化にも十分応用可能なものであった。
・盾落ちの確率をまとめた。
バルカディアNEX×1が盾落ちする確率を求める。(確率をPとおく。)k=n(魔王と天使のカナシミを打った回数とする。ただし、0≦n≦4である。)
P(k=0)=12.5%
P(k=1)=10.0%
P(k=2)=7.5%
P(k=3)=5.0%
P(k=4)=2.5%
となり、2回でも5%も盾落ちのリスクを回避できている事が分かる。

上のデッキリストはアドバンス環境の現状の構築です。今後の研究にさらに期待がかかりますが、今回はここでお暇とさせていただきます。ここまでお読みいただいて本当にありがとうございます。(当方、退化の母数が復活することを切に願っているところではございますが、母数が増えたら増えたで、まるで自分の彼女が寝取られたかのような感覚に陥るのではという矛盾で思わずゼニスになってしまわないか不安でございますw)その他のご質問などは気軽にDMやリプで返していただいても大丈夫です。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?