夜行バスの中で

本当はずっとわかっている。
脆弱な体に不釣り合いな承認欲求を抱え、というセリフを聞いた時それはまさに自分だとハッとした。
私は好きだと言いたいのではなく、好きだと言われたいだけで。
だから無機質で中身のないアイドルの言葉に耳を傾けた。
誰でも良いわけでもなかった。
時間はお金だった。
私は時間をかけて、満たされようのない莫大な承認欲求だけを抱えて会いに行って。
時間は無限にあるような気がしていた。
そんなはずは無いとずっとわかっている。
誰かに面倒くさいと笑われるだけだとわかっていた。もう1人の私がはやくそんなことやめてしまえとずっと言う。
本当はずっとやめたかった。
やめたいのか、やめたくなかったのかどっちが本音かもわからない。
私は1番になりたかった。たぶん本当は。
でも誰の一番にもなれないとわかっていた。
私があの子に縋ったのは1番になれるかもしれない、と思ったからじゃないのか。なんなら、もう既にとすら思っていたんじゃないのか。
でもそんなずないとそんな簡単なことに気づくのにまた時間を要した。
アイドルなんてカルト宗教だ。でも誰も、神になる覚悟なんかあるやついるわけないから。
それもわかっていた。
自分の退屈さばかりが露呈する毎日に嫌気がさした。でも誰かに認められていたかった。
好きだよと言った時に私も好きだよと返してくれればそれが嘘だとわかっているのに信じてしまいたくなった、信じてしまった。嘘なのかな
心が弱かっただけ。ちょっとメンヘラなだけ。誰にも愛されないのにとか思って、でもわかってる。時間もお金もかけなくても私の話を聞いてくれる目の前にいる誰かを大切にすればいいんだって。
でもきっとそれじゃ満たされないから。
ワロタ。


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