き◯たんとイ◯コと異世界口寄せ

肌寒い日々が過ぎ、ようやく少しずつ春を感じ取れるような暖かさに移り変わってきたある日のこと。
私、きりたんは偶然ネットで見つけたサイト『n◯t◯』で見つけた"ある記事"を表示させたスマホを持ったまま
私の姉であるイタコ姉様の元にやってきていた。
「タコ姉様~、ちょっと聞きたいことがあるんですが」
「もう、きりちゃん?イタコ姉様でしょ?」
なんて言いながら少し頬を膨らませるイタコ姉様。
そんなイタコ姉様は相変わらず、
ずん姉様が主役の同人小説を執筆している真っ最中。
ほんと、そんな事してたらいつかずん姉様にまたこっぴどく叱られますよ?
イタコ姉様はいつもそんなんだから。
そんなイタコ姉様の日常的風景に私は心底呆れたようにため息をつくと、イタコ姉様のPC(何故かwinXP)の画面を覗き込む。
「あら、きりちゃん、このお話が気になるんですの?」
「いえ別に、いつも言ってますが、ずん姉様は私の嫁なので私以外とくっつくなんて話は解釈違いだと常日頃言ってるじゃないですか」
「くっつくのは男じゃなくて枝豆ちゃんですわ?」
「同じです」
全く、ずん姉様の魅力が分かるのは私しかいないんですから。
「それより、きりちゃん?何かあったんですの?」
ふとイタコ姉様の突然の切り出しに目的を思い出した私は「あぁ、そうでした」と姉様にスマホの画面を見せてやる。
そこには先程まで私が読んでいたファンタジーモノのちょっとしたSSが書かれていた。
「イタコ姉様って降霊術が使えますよね?それでふと気になったんですが、異世界転生的なものとかできないのかなと…」
「異世界転生的な?きりちゃん、降霊術は亡くなった霊しか降ろせませんわよ?いくら私(わたくし)たちの周りが色々ぶっ飛んでるからってそんな非科学的な事はできませんわ」
非科学的の代名詞みたいな事をやってる人が何言ってるんですか、なんてツッコミは心の中だけに留めることして。
確かにイタコ姉様の言う通りなのは百も承知なのです、流石に二次元の存在を宿すなんてのはいくらイタコ姉様でも不可能。
ですが、こちらとしても気になってしまったものは今更引けません!
何せずん姉様のずんだアロー、突然増殖するずんだもん、パラレルや異世界に飛ばされる私たち。
まさに非科学的な事情に事欠かないのが東北家なのです。
もしかしたら、こんなファンタジーみたいな創作の人物を呼びよす事はできるかもしれません!
「そこはなんとか、イタコ姉様♪」
「むぅ…、そんなに気になりますの?確かに私たちは色々巻き込まれたりしますけど、流石に口寄せで異世界の人を憑依なんてのは」
「お願いします!一度だけ、一度だけでいいんですから!」
イタコ姉様の前で何度も手を合わせて『お願い』のポーズをして頼み込む。
そうこうしていると流石に"可愛い妹"のお願いに折れたイタコ姉様は一旦書いていたSSの執筆を止め。
「仕方ないですわね、そんなに言うのならやってあげますわ。でも…、失敗しても拗ねないでね?」
「無問題です、私も100%成功するとは思っていませんので」
「それはそれで傷つきますわね…。ちゅわぁ…」
不服そうに言いながらもイタコ姉様はその場に座り直し、一度深呼吸。
そして手を合わせる。
「口寄せ!」
ボフンッ!イタコ姉様が口寄せをした瞬間、イタコ姉様は煙に包まれてしまいました。
いつもと違った降霊に私はつい身構えてしまい、煙に包まれたイタコ姉様に恐る恐る近寄っていく。
だ、大丈夫…なんですか?これ……っ。
「い、イタコ姉様っ?その、大丈夫ですか…?」
「………」
煙の中のイタコ姉様の返事はない、聞こえてないんでしょうか?
これ、本当に大丈夫なんでしょうか、もしかして失敗して気絶したんじゃ。
流石に心配になってしまい、私は煙の中に入ってイタコ姉様の様子を確認しようとする…が。
そう思っていた矢先に煙が晴れていき、イタコ姉様の姿が薄らと見えてくる。
「イタコ姉様!?大丈夫ですか!?」
ついつい心配したせいか声を荒げてしまい我ながらちょっと恥ずかしい。
しかし、次に目に映った現象に私は困惑してしまった。
「はぇ……?」
そこにいたイタコ姉様は、いつものキツネ耳はそのままだった姉様だったのですが、ふさふさとした白と黒のツートンカラーのような尻尾が生えていたのです。
その尻尾の色はまるで、スカンクのような。
「にゃあ……?あんた、誰?」
イタコ姉様は口寄せをした時に現れるいつもの語尾の『にゃあ』だったので恐らく成功したということなんでしょうか。
それにしても、まさか戦士や魔術師とかお約束のような職業ではなく、
所謂『〇〇娘系』が選ばれるとは予想外でした。
しかも私の予想が正しければ、イタコ姉様が口寄せしたのはスカンク娘、私が読む創作の中では見るのがほとんど稀って感じる娘が来るとは、これも東北家のサガというやつなのでしょうか。
「ぽわ……」
ついついその状況に思考の整理が付かない私は我ながらアホっぽい声を漏らしてしまう。
そんな私にスカンク娘になってしまったイタコ姉様が顔を近づけてくる。
「あんた、見ない顔だにゃ、此処がどこだか教えろにゃ」
「え、あ、えっと…すみません突然お呼びして…。此処は東北家、えっとあなたがいた世界とは別の世界というか…、異世界っていうか…」
「異世界?」
私にとっては今目の前にいるイタコ姉様に憑依した存在が異世界なのですが、向こうからしたら私たちが異世界の存在って事になるんですよね。
説明が難しい、改めて自分たちの世界を説明しようってなるとこんなに面倒臭いんですか。
「ふーん、よくわかんないにゃ」
やっぱりその反応になっちゃいますよねぇ……。知ってましたけど。
「それで?どうして僕をこんなところに呼んだのにゃ?」
「あぁ、それについては興味本位というかなんというか…、あなたの体の持ち主、私のお姉さんなのですが。イタコ姉様の体にあなたを憑依させたんです」
なんとか私なりに分かりやすく説明していく、イタコ姉様に現在取り憑いているスカンク娘さんに現在の状態について私なりに説明するが、こういうのは慣れませんね。
とはいえ、成功してくれたわけですしあとはイタコ姉様が戻るまで放置がいいかもですね。
そんな事を考えていたが、ふとスカンクの尻尾が生えたイタコ姉様が私に顔を覗き込んでくる。
「ねえねえ、ちょっといいかにゃ?」
不思議そうに私の方もきょとんとイタコ姉様を見ていたが、少し頬を赤らめた姉様は小首を傾げてくる。
普段のイタコ姉様からは想像が付かないようなあざとい仕草にちょっとドキッとする。
実際イタコ姉様は普段はお淑やかではあるが、他の霊を口寄せする事でいつものイメージからはかけ離れたような仕草をする。
偉人を口寄せすればその時"だけ"は頼れるお姉さんになったり、逆に色々やらかしてくれたり。
そんな姉様は、今回はまるで少女のような仕草をしてくる。
悪くないとは言えますが、相変わらずちょっと気味が悪いような…。あとで撮影してイタコ姉様に見せてあげる遊びでもしますかねこれは。
「どうかしましたか?」
そんな事を考えながらも、尋ねてきたのなら反応しなければ失礼なもの。
スカンクになってしまったイタコ姉様に私は小首を傾げる。
「おなら…してもいいかにゃ?」
「………はいっ?」
返ってきた言葉はあまりにも突拍子もなく、私は目を点にしてしまう。
お、おなら?いや、待てよ…確かに今のイタコ姉様はスカンクですし、スカンクといえばギャグ漫画とかならおなら…屁をこくという描写があるのは当たり前っていえば当たり前でしょうか。正確には臭液という分泌液みたいなものですが。
「したくなったんですか?それなら普通に出せばいいと思うんですが…」
「だって、恥ずかしいし…っ。見たところあなたは女の子なのは分かるんだけど、知らない相手の前でこくのは失礼だと思うにゃ」
ごもっとも、親しき中にも礼儀ありと言いますし、一応体は身内でも今のイタコ姉様の中身は他人。
私も友人宅に出かけた時もできる事ならトイレを借りてそこでガス抜きするようにはしてましたね、ちょっとデリカシーなかったでしたか。
「すみません、流石に失礼でしたね。私は気にしませんし聞かなかった事にするので出してもいいですよ?」
「ほんとにゃ?良かったにゃ、じつは此処に呼ばれる前から我慢してて、ちょっとお腹が苦しくなってきてた所だったのにゃ」
体はイタコ姉様ですけど、体質まで引き継ぐんでしょうか。
恥ずかしそうにモジモジとしながら尻尾を振る姉様の様子を見ながらまた私はそんな考察をあよぎらせる。
そうこう、そんな事を考えている間にイタコ姉様はピン!と尻尾を持ち上げ、着物越しでも伝わる大きなお尻を突き出す。
おぉ、これは面白くなりそうですね、せっかくですしビデオでも撮って…。
あれ、スマホは……。
「ん…っ。あっ…もう出そうにゃ……んくっ……出る…っ」
「え、あっ!ちょっと待ってください、もう少し我慢とか!」
イタコ姉様のちょっとおかしい姿を撮影してやろうとスマホを探す私を他所に、お尻を突き出していたイタコ姉様は小さく発射宣言をする。

ぶうううううぅっ!!ばふっ!!ボブオオォッ!!ブボオォッ!ブズゥッ!ブババブブルブウウゥウゥッ!!!ぶすううぅぅ………ぶっ……

「ふぐぇっ!??げほっ…!??くっさ…!??ぐざああぁっ!??」
イタコ姉様の普段の様子からは到底想像すらできないほどの大音量の連続放屁、それだけでもビックリするが直後に漂ってきたその臭いに私は悶え苦しむ事になった。
イタコ姉様のおならは凄まじかった、スカンク娘を憑依させてるとはいえその強烈さにはまるで私の鼻がもげるような感覚…、そう、このおならのニオイを例えるなら、『1週間近く便秘の子がひり出したう◯ちにシュールストレミングをぶっかけたようなニオイ』、自分でも語彙力の低下で訳のわからない例えをしてしまうような尋常ではない屁臭が私の鼻を襲ってきたのです。
「あっ、ごめんにゃ…いつもより強烈なの出ちゃったにゃ、くっさ…♪」
そして出した本人も臭がるが、それでも『くっさ♪』くらいのリアクションである、あんなに強烈な屁で…。
うぐっ…、出した本人は自分の屁に鈍感とかってのもありますが、こんなのを『くっさ♪』程度で済ませられなんて…。
あまりの強烈なその屁臭に鼻だけではなく目まで染みてしまい少し涙も溢れる。
「あの、大丈夫かにゃ?」
「ぐっ…ごほっ……だ、大丈夫…ですっ……うぐっ……げほっげほっ…」
涙で視界が少しぼやけるし、まるで鼻がバカになったかのように嗅覚がほとんど感じられなくなってしまいましたが、私はイタコ姉様に精一杯の強がりの顔を向けてやる。
「あ、それならもっと出してもいいかにゃ?」
「えっ…?」
「じつは今の、少し出しただけなの。今度は結構な量ぶっ放すけど、その様子なら我慢できそうって事でいいにゃ?」
強がった私を後悔と絶望に叩き落とすような、
慈悲も何も感じられないイタコ姉様の一言。
私の中で血の気が引いていくのを感じる。
「ま、待ってください!今出さないでください…!」
「それじゃあ行くにゃ♪んっ……ふうぅ……んっ!!」

ボヒイイイィィッ!!ブビビビブブウウゥッ!
ボスゥッ!!ぶううううぅっ!!ぶすううぅ~~~~~っ!
ブボボッ!ボムゥ~~~~ッ!!ぶ…ぶっ……ブッ!
ぶうぅぅぅ~~~~~~っ!!!

「ほぎュアッ!??」
私の必死の懇願を他所に、イタコ姉様は先ほどよりもさら大音量での放屁。
視界と嗅覚がほぼほぼ機能しなくなった私にはその爆撃にも似たガス攻撃がトドメと言わんばかりに顔面直撃する。
まるで視界が黄土色に染まっていくような錯覚に襲われていき、私の意識は真っ暗闇に包まれていった…。
完全に真っ暗になる直前、頬を染めたイタコ姉様が映ったような…、そんな気がした…。

そして、どれだけ気を失っていたか…。薄らとだが目を覚ました私。
しかし、今度は視界が何やら黄土色でも真っ暗でもなく、真っ白に包まれていた。
「うっ……んっ……げほっ……えぅ……?なにこれ……」
「あ、やっと目を覚ましたかにゃ?あまり暴れないでほしいにゃ、お尻がくすぐったいにゃ」
お尻…?どういう事…?
確か私…。そうだ、イタコ姉様に憑依させたスカンクの子が思いっきりおならして、それで気絶して…。
待てよ、今お尻がくすぐったいって…それじゃあ、もしかして今…。
「まだ意識がはっきりしないにゃ?しょうがない、気つけしてあげるのにゃ」

ぶすぅっ……

「むぐぅぅっ!!??」
臭い!?臭い臭い臭い!??くさいぃいぃっ!!??
突然、私の鼻にあの時嗅いだ屁臭が叩きつけられる!
そうだ、これイタコ姉様のお尻だ!しかもいつもの着物じゃなく、下着が丸見えってことは下着一枚の裸になってる…!?
「ほら、しっかりするにゃ、軽い一発でそんなに悲鳴上げてたらこれからのが耐えられないと思うし」
今だにイタコ姉様の憑依が解けていないのか、語尾が戻ってない状態でスカンク娘に憑依された姉様ば呟く。
取り憑かれた影響でイタコ姉様から生えたスカンクの尻尾が私の顔にかかって少しくすぐったく感じてしまう。
その上に上乗せされたかのように先ほどの『気つけ』称して放たれたおならの残り香がムワッと私の鼻腔を刺激し、それだけで気分が悪くなってしまう。
「ぐっ…む…っ、ごほっ!げほっ!えぐっ…うぇっ」
「よしよし、しっかりと意識がハッキリしてきたにゃ?それじゃあまだまだ沢山出そうな気がするから次はもっと…もっと、たっぷりと出してあげるにゃ!」
何処か上機嫌なイタコ姉様に困惑してしまう。
え、なんでそんなに機嫌がいいんですか?というかこの姿勢。私の顔にどっかりズムゥ…っと乗せられたイタコ姉様のお尻。
それだけで圧巻なのだが、こんな態勢になってるというか事はもしかして…?
まさか、そんな…この状態でさっきみたいな死にそうなくらい強烈な、まさに毒ガスみたいな放屁を私に嗅がせようとしてるんじゃ…!
「ま、待ってください!この状態になってたらおならが直接私の鼻に注がれちゃうじゃないですか!?やるなら部屋から出てトイレとかにッ!」
「ダメにゃ♡あんた、気絶する前の反応すっごく可愛かったし、もっと嗅がせて…僕のおならで臭がる反応を見せてほしいにゃ♡」
そう言うイタコ姉様はなんだか息が荒くなってるような、
そんな印象まで感じてしまう。
そして心なしかパンツ越しの姉様の秘部が濡れてきているような…?
まさか、こんな状態で私に嗅がせる事に興奮してきてる、とか?
ま、まずい…!このままじゃ本格的にあの死んじゃいそうなくらい強烈なおならを無尽蔵に嗅がされて私が終わってしまう!
なんとかして抜け出さないと…!!
「んっ?さっきから何してるにゃ?そんな力でお尻を押したって動かないけど?」
「ぐっ…!?っ……!…ッ!!」
イタコ姉様がクスクスとおかしそうに笑いながら私の行動をからかってくる。
姉様の言う通り、小学生の力では大人の姉様のお尻はうんともすんとも言わなかった、いくら力を入れて押しても全く微動だにしない。
それどころか押した事で時折くっきりと浮かび上がるイタコ姉様のアナルがまるで何かを我慢しているかのようヒクヒクと収縮を繰り返すばかりであった。
そのイタコ姉様のアナルは、今の私にとってはまるでおならの銃口にすら見えてしまう。
「んんっ…でも、そんなに押されたらくすぐったいにゃ、なんか出ちゃいそうにゃ…♡そろそろやめてほしいにゃ」
「だったら!このお尻を、どけて…ください…!」
「嫌だにゃ♪仕方ない、そんなに待ち遠しいならこのまま少しだけ出してやるにゃ」
「っ!?な、出すって…ま、待ってください!待って…ッ!」
「ダメにゃ♪スカンク砲…発射だにゃ♡」

ブゴオオオオッ!!ブブブッ!ブビブオオオッ!
ブスっ!ブズズッ!ブムウウウゥッ!ブボッ!スウゥ~~ッ……
ブッフウゥ~ッ!!ぶぼうっ!!

「むぐううぅうっ!??ぐざあっ!げほっ!?ぐっざぁぃぃっ!!?」
イタコ姉様が放った怒涛の9連発の爆屁、それはまるで黄土色の煙を吹き出すロケット。
尻尾のせいで逃げ場もなくそのおならを全て私の鼻に注ぎ込まれ、その威力の高さから体が反射的に拒絶し、私の意思に反して痙攣を起こしてしまう。
頭の中もチカチカと点滅するような感覚で思考は『クサイ』で埋め尽くされそれ以外考えることすらできなくなる。
クサイ……クサイ……クサイよ……やめて……クサイ……… クサイクサイ……クサ……ッ。
「ほらほら、たったこれだけでダウンするなんてだらしない、まだ数発しか出してないのにゃ!」

ぶううぅぅむうぅぅ~~~~~~~っ!!!

「ぐむっ!??んむっ!?むぐううぅぅぅっ!??」
グザアァァァっ!??あ……ぐっ……ぇ……ぐ……あぅ……くさ……くさ……い………くさ……。
さらに追加の屁によって私の思考もバグり、クサイとしか考えられず全身からどんどん力が抜けていく。
なんとかして抜け出そうとするも手足に全くと言っていいほど力が入らない。
流石にこのままだとマズイというのは本能で理解するが理解するだけで体が反応してくれない。
「んー、僕のおならを嗅いで耐えれるの、子供にしては凄いにゃぁ。でも安心するにゃ、これでも加減はしてあげてるのにゃ♪加減しないとほんと危ないし」
加減していて、この威力…?イタコ姉様の発言に自然と体が身震いしてしまう。
スカンク娘というのは、私の想像を遥かに上回ったおならをこくって事ですか?
それじゃあ、このまま私の鼻はさらにイタコ姉様のおならで侵食されて文字通り鼻が壊される…?
「んぐっ……う…ぐぅ……!」
なんとか抜け出そうと最後の力を振り絞って顔だけでも揺らして次に放たれるであろうおならを吸い込まないようにする。
もちろん、完全にお尻がマウントを取られてしまっている現状、そんな事をしたって無駄な事は分かってはいるけど。
このままなんの抵抗も出ずやられるのは、私としても嫌なんです…!
「あ、こら!暴れるにゃ!しっかり全部嗅いでもらうって決めてるのにゃ、逃げ出そうなんて許さないのにゃ!こ、こら!やめて…!」
「む…ぐ…うぅっ!」
これ以上嗅ぎたくない、その一心で私は必死に抵抗する。
マウントを取られていてもイタコ姉様のお尻から鼻の位置をズラす事くらいはできそうです!
よし、このまま…このまま暴れて……!
「んにゃっ♡!?」
ヌチュ…必死に暴れていた私、しかしいきなり鼻が何かに刺さるような違和感を感じた。
な、なんですか…?何か、生暖かいような、変な香りがするような…。
「な、ど、どこに鼻押し込んでるにゃ!?や、やめ…やめるにゃ…!そんなところに押し込んだまま暴れるにゃぁ!あっ……んっ……くっ……ふっ…♡」
イタコ姉様の声が上擦ったような声になる…。な、なんですか?何か我慢してるような…。
ふと、鼻が挿さった箇所がまるで蕾が広がるような膨らむ。
え、まさか…私の鼻が今入っちゃってるところって……っ。
「あっ…んっ…♡だ、ダメ…にゃ…♡全部…くっさいのが全部、出ちゃう…♡奥のおならが全部っ…あ、んっ…だ、ダメ…もぅ……で……る……ッ♡」

ぶむううううぅーーっ!!ぶっしゅううぅぅうっ!!
ブボッ!プッスウゥゥ~~~~ッ!!!!
ブッフオォオォオオーーーーッ!!

「~~~~~っ!??!?!?」
あ、あがぁ……、く、くさ……い……くさいいいぃぃぃっ!!??
イタコ姉様の蕾から一気に解き放たれた大量のおならの濁流。
まるでダムが決壊して中に溜め込まれた水が勢いよく噴き出したかのような勢いとおならの量、それが私のは何すべて注がれていく。
またもや私の視界は黄土色に染まっていき、グリンと…まるで視界が半回転したかのように回る。
「あっ……♡…ふああぁんっ……♡」

ぶぶううっ!ブスゥ~ッ!ブブウウゥ~~ッ!! ブバッ!スゥ~~~~~……ッ………プッスウゥー……ふすうぅ……すっ……ぷすぅぅ~~~~……すぅ……

あ、ダメ……臭すぎるぅ……くさすぎるぅ……くさいよぉ……こんなの嗅がされたら私…壊れ……ッ。
「はあぁ…♡全部、出ちゃったにゃ……♡スッキリ…したにゃ…♡……って、あれ?大丈夫かにゃ?おーい」
イタコ姉様に取り憑いたスカンクさんが私を心配して声をかけるが、最後のすかしっぺを浴びた事で私の意識は完全に闇に落ちてしまっていたのでした。

「えっと…きりちゃん、その…ごめんなさいですわ」
それからまたしばらく経過して…。次に私が目を覚ましたのは夕方でした。
イタコ姉様も事情を私の話から察したようで、まるで湯気が出るほど真っ赤になりながらモジモジと私に謝ってくれた。
今回ばかりはイタコ姉様のせいではなく、こんなアホらしい事を頼んでしまった私の責任なのですが。
「い、いいですよ!その、今回は私が悪いんですから…、イタコ姉様に変な事をお願いしてまった私の落ち度です、まさかあんなに……あっ、失礼」
イタコ姉様を責めるつもりは毛頭無かったですが、つい屁のことを言及しそうになってしまう。
それを察してかイタコ姉様は更に小さくなってしまい顔を両手で隠してしまった。
「まぁ、その…なんですか?今度からはこういう口寄せは頼まないように善処します。イタコ姉様のためにも」
「き、きりちゃん…」
「だから、顔を上げてくださいイタコ姉様、今回はきりたんが全面的に擁護できないレベルでやらかしただけなんです、イタコ姉様は何も悪くありませんので」
自分の意識がなかったとはいえ妹に、それも超絶臭すぎるおならを大量に浴びせたという事実は変わらないのかもしれません…。
ですが、私なりにイタコ姉様の心のケアをしようと膝の上に座ってあげる。
顔を上げると今にも泣きそうなくらい目をうるうるとさせた姉様のトマトくらい赤くなった顔が近くにあった。
「でも、きりちゃん…その、私のおなら、きりちゃんが言ってたほど、臭くありませんからね?」
「分かってますってば、あれは口寄せした子の影響でしょ?私でも分かりますよ」
「ず、ずんちゃんには内緒にしてくださいまし!絶対ですわっ!」
妙に釘をし刺してきますね、イタコ姉様に言われなくたってずん姉様に言いふらしたりしないのに。
私だって、ずん姉様の前でおならしちゃって。しかもそれが尋常じゃないレベルのニオイたったら死にたくなりますし。
『分かってますってば』とイタコ姉様の頬を撫でながら私なりの最大限の励ましをしてあげた。
しかし、それでもイタコ姉様は引きずってしまってる様子で…。
あぁ、もう…!ほんと恥ずかしがり屋なんですから!
「はぁ…ほんと、タコ姉様はしょうがないですね……んっ」

ぷぅ♪ぷぅ~~~~っ♪ぷっ……ふすぅ………ぷっ…

「へっ?き、きりちゃん?」
「……これでおあいこって事で、いいですか?」
先日に食べた料理が食物繊維が豊富であったからか、朝からたまっていた分をイタコ姉様の前でこいてやる。
まぁ、イタコ姉様ばっかり恥ずかしい目に遭わせるのは私としても少し忍びなかったので…。
そして少し遅れてムワッと自分がこいたおならのニオイが自分の鼻にも届いてきた。
くっさ……、イタコ姉様のよりマシですが、私のも結構匂いますねコレは…。コレも東北家の血筋なんでしょうか。
「え、えっと、きりちゃん…」
「なんですか、おあいこだと言ったじゃないですか」
「きりちゃん、お腹…腐ってるんですの?」
「~~~~~っ!!」
いつものようなデリカシーのないイタコ姉様の一言、安心したような複雑な気持ちで真っ赤になった私はイタコ姉様の大きい胸に向けて包丁(刺さらない)の形をした髪飾りをグリグリと押し込んだ。
「あ、ご、ごめんなさい!ちゅわぁ、その髪飾りでグリグリしないで~っ!ちゅわぁ~っ!」
いつもの調子に戻ったイタコ姉様の独特の悲鳴がカラスが鳴く夕暮れの空に溶け込んでいった…。

部屋の中で私とイタコ姉様の屁臭を漂わせたまま。

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